テロ概要 本編 - 外務省 海外安全ホームページ

April 28, 2018 | Author: Anonymous | Category: N/A
Share Embed


Short Description

Download テロ概要 本編 - 外務省 海外安全ホームページ...

Description

【インド】 1. 概況

インドでは、ジャンムー・カシミール州のカシミール過激派、北東部州の分離・独立主義過激派、中部州の極左過激派 (マオイスト)等のテロ組織が存在し、テロ活動を行っています。 また、これらの地域以外でも、都市部でイスラム過激派によるとみられるテロが散発的に発生しています。

2.主な組織の動向

(1)カシミール過激派を始めとするイスラム過激派

2008 年は、インド各地の都市部でイスラム過激派によるテロが多数発生しました。11 月にインドの経済の中心地であ るマハーラーシュトラ州ムンバイで外国人を対象としたイスラム過激派(カシミール過激派のラシュカル・エ・タイバ (LeT)の犯行と疑われている。)によるテロ(165 人(日本人 1 人)死亡、304 人(日本人 1 人)負傷)が発生したほか、 5 月に観光地として有名なラージャスタン州ジャイプール(63 人死亡) 、7 月に産業都市であるグジャラート州アーメダ バード(49 人死亡) 、9 月に首都デリー(25 人死亡)で、イスラム過激派のインディアン・ムジャヒディン(IM)による 連続爆破テロが発生しました。 2009 年には、都市部において大規模なテロ事件は発生しませんでしたが、2010 年には、2 月にマハーラーシュトラ州 プネーで爆破テロ(17 人死亡)、12 月にウッタル・プラデーシュ州バラナシで爆破テロ(2 人死亡、37 人(日本 2 人)負 傷)が発生したほか、2011 年には、7 月にムンバイで連続爆破テロ(27 人死亡、130 人負傷) 、9 月には首都デリーの高 等裁判所前で爆破テロ(15 人死亡、約 70 人負傷)が発生しており、引き続き注意が必要です。 また、インドではこれまで北部のジャンムー・カシミール州を中心に、カシミール過激派がカシミール地方のパキスタ ンへの帰属、同地方からのヒンドゥー教徒排除等を主張し活動してきました。2010 年のジャンムー・カシミール州にお けるテロによる一般市民死亡者数は 47 人(前年比 31 人減少)となるなど、州のテロ発生状況は、沈静化しつつあると言 えますが、同州では、インド中央政府の支配に反対する市民による騒擾が頻発し、不特定多数の市民を巻き込むテロ事件 も後を絶たない状況にあります。

(2)北東部州過激派

2010 年のアッサム州、マニプール州等の北東部州におけるテロによる一般市民死亡者数は 94 人(前年比 170 人減少) であり、減少傾向にあります。 アッサム州では、従来からアッサム統一解放戦線(ULFA)やボドランド民族民主戦線(NDFB)等の過激派が、インドか らの分離独立を要求して、州政府要人暗殺、組織離脱者殺害、遠隔操作の地雷を使った治安部隊襲撃等のテロを行ってき ました。これに対し、2003 年 12 月、ブータン政府が同国南部に設置された前記過激派の訓練キャンプの掃討作戦を行い、 壊滅的な打撃を与えたとされました。 しかしながら、2011 年も、NDFB による爆弾テロや無差別攻撃などの活動が散発的に続いています。 マニプール州では、統一マニプール解放戦線(UNLF)等の過激派が、治安部隊、他の部族民への襲撃等を行ってきたと ころ、2011 年中も各種テロ活動を行いました。

(3)極左過激派

極左過激派(マオイスト)とは、極左思想を背景として、貧困層、部族民の利益擁護を掲げて武力闘争を行う過激派組 織の総称です。2010 年の極左過激派(マオイスト)のテロによる一般市民・治安関係者の死亡者数は 1003 人(前年比 95 人増加)であり、高い水準で推移しています。

-1-

中部州のチャティスガール州、ジャールカンド州、西ベンガル州、ビハール州等においては、極左過激派の大規模集団 による治安部隊、反対住民への襲撃事件等が多発しています。 特に、チャッティースガル州、西ベンガル州、ジャールカンド州は極左過激派による全国のテロ事件の 8 割近くが集中 しており、治安維持を始めとする政府の機能が及ばない地域が州内に点在するなど、深刻な状況にあります。 インド政府も本件を重要課題と捉え、関連州の州首相による対策会議を開催するなどしていますが、厳しい状況が続い ています。

3.誘拐事件の発生状況

インド各地では、政治目的又は身代金目的の誘拐事件が発生しています。 過去に外国人が被害に遭った事件としては、1995 年 7 月、ジャンムー・カシミール州パハルガムで発生した外国人旅 行者 4 人の誘拐事件(依然として未解決) 、2003 年 3 月、ドイツ人経済協力関係者がマニプール州過激派により誘拐され た事件が挙げられます。また、誘拐ではありませんが、2000 年 5 月、日本人コンサルタントの住居にマニプール州過激 派が立てこもり、警察と銃撃戦を展開した事件も発生しています。

4.日本人・日本権益に対する脅威

2008 年 11 月にムンバイで発生した連続テロ事件において、日本人が 1 人死亡、1 人負傷し、また、2010 年 12 月のバ ラナシでの爆破テロでは日本人が 2 人軽傷を負うなど、日本人が巻き込まれるテロ事件が発生しました。 現在までのところ、いずれの過激派組織も日本人・日本権益を積極的に標的とする意図は有していないものとみられま す。しかし、上記のテロ事件のように日本人が都市部でのテロに巻き込まれる可能性は否定できません。さらに、テロ情 勢が深刻なジャンムー・カシミール州、北東部州や中部州においては、前記外国人旅行者誘拐事件のように、国際世論の 注目を引く目的での誘拐事件等に日本人が巻き込まれる可能性も否定できません。日本人又は日本関係機関・企業等が資 金獲得目的の誘拐、恐喝等の対象となる可能性もあります。極左過激派(マオイスト)は、その影響力が強い地域に進出 する企業への攻撃を表明していることに留意する必要があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

-2-

【インドネシア】 1.概況

(1)インドネシアでは、2011 年 4 月に西ジャワ州チルボンで、9 月に中部ジャワ州ソロで爆弾テロ(いずれも自爆犯が 死亡し、30 数名が負傷)が発生したほか、同年 3 月には、ジャカルタで国家麻薬庁長官等を宛先とした書籍爆弾が送付 される事案が発生しました。インドネシアでは、これまでにも、ジュマ・イスラミーヤ(JI)関係者によって、2002 年 10 月のバリ島での爆弾事件、2003 年 8 月のジャカルタ市内ホテル前での爆弾事件、2004 年 9 月のジャカルタ市内オー ストラリア大使館前での爆弾事件、2005 年 10 月のバリ島での爆弾事件、2009 年 7 月のジャカルタ市内ホテルでの同時爆 弾事件といった多数の死傷者を出す大規模なテロが敢行されてきましたが、2011 年に発生した爆弾事件は、それまでの 事案に比べて、規模や組織的な背景が小さいという特徴が見られました。

(2)インドネシア政府では、2002 年のバリ島での爆弾事件の発生を受け、テロ行為の処罰加重、テロ容疑者の身柄拘 束に関する特例等を内容とする「テロ犯罪撲滅に関する法律」が制定・施行されたほか、2003 年 10 月には、国家警察に テロ対策特別捜査隊を設置し、テロ関係者の取締りの強化を図っています。また、テロに関与したJIの精神的指導者と されるアブ・バカール・バアシールをはじめ、主要なJI幹部を逮捕または殺害し、テロの封じ込めを図っています。2011 年には、アブ・バカール・バアシールに対し、テロ実行のための訓練施設の設置に関与したとして、一審で懲役 15 年の 判決が出されました。また同年 8 月には、2002 年のバリ島での爆弾事件に関与したとして手配されていたウマル・パテッ クについて、同人を拘束したパキスタン当局から身柄を引渡されました。

(3)なお、2011 年に発生した自爆事件や書籍爆弾送付事件については、それぞれ関係する被疑者が逮捕されています が、既存のテロ組織との直接の関連は見られず、インドネシアの独立以来に継続して見られるイスラム国家樹立運動の影 響を受けた個人らが敢行したものと見られています。

2.各組織の活動状況

(1)2009 年までの一連の大規模爆弾テロを首謀したJIについては、その主要幹部が逮捕・殺害等されており、テロ 実行能力は低下したと見られています。しかしながら、服役後出所して間もないテロ関係者やリクルートされた若者たち が関与して新たなテロを計画しているとの情報もあり、今後ともその動向に注視する必要があります。同時に、2011 年 は、インドネシア独立以来継続して見られるイスラム国家樹立運動の影響を受けた個人らが爆弾事件を企図する事案が連 続して発生しており、既存のテロ組織との関連の薄い個人や団体によるテロ事案についても警戒が必要です。

(2)アチェ州では、2005 年 8 月、インドネシア政府とアチェの独立を求める武装集団(GAM)との間で和平合意が 結ばれ、その後この合意に沿った和平プロセスが進展していますが、元GAM兵士の社会復帰を巡る問題や経済格差と いった問題も残っており、これらが原因と見られる要人宅への手榴弾投げ込み事件や要人殺害事件などが散発しています。 また、パプア州では、自由パプア組織(OPM)によると見られる治安関係者への襲撃事案や暴動、鉱山企業の労使争議 に起因する死者を伴う衝突事案が発生しています。

3.誘拐事件の発生状況

公表される誘拐事件の数は必ずしも多くありませんが、2011 年は、外国人を対象とした身代金目的の誘拐事件が 1 件 発生したことが確認されています。

4.日本人・日本権益に対する脅威

-3-

これまでのところ、日本人・日本権益を直接の標的とするテロ事件は発生していませんが、今後そのようなテロ事件が 発生する可能性は完全には排除できません。また、バリ島での爆弾事件のような無差別テロに日本人が巻き込まれる可能 性(2002 年の事件では日本人 2 人が死亡、十数人が負傷、2005 年の事件では日本人 1 人が死亡、4 人が負傷)も否定で きません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

-4-

【カンボジア】 1.概況

(1)カンボジアでは、現在も闇市場に小型武器や手榴弾等が出回っており、2006 年 10 月には反政府集団による政府の 転覆を狙った爆弾テロ未遂事件、2007 年 7 月にはカンボジア・ベトナム友好記念碑に対する爆発物設置事件(爆発せず) 、 2009 年 1 月には国防省前及びTV3 放送局前で爆発物設置事件(爆発せず)が発生しています。

(2)カンボジアでは、現在までのところ、宗教的対立を背景としたテロ事件の発生は確認されていませんが、2003 年 5 月から 6 月にかけてジュマ・イスラミーヤ(JI)の活動に関与していたとされるイスラム系団体の構成員 4 人が逮捕さ れ、カンボジア国内にもイスラム過激派テロ組織のネットワークが存在することが明らかになっています。また、2004 年には、 「Alah」を名乗る組織から、タイ・バンコクに所在するオーストラリア・カナダ両国の大使館に対し、プノ ンペンに所在する両国の大使館への攻撃を予告する内容の脅迫メールが送付されました。

2.テロ組織の活動状況及び治安情勢

(1)2000 年 11 月、ロケットランチャー等で武装したカンボジア自由戦士(CFF)の構成員数十人がプノンペン市郊 外の政府軍兵舎、同市中心部の閣僚評議会、国防省、鉄道駅等を襲撃する事件が発生しましたまた、CFFは、2001 年 7 月にカンボジア外務省、同年 8 月にフンシンペック党本部に対して、それぞれ手榴弾を投てきしました。2003 年 7 月に は、国民議会総選挙投票日の混乱・妨害を目的としてフンシンペック党本部前で手榴弾を爆発させ、通行人1人に軽傷を 負わせるとともに、王宮前広場にも手榴弾を仕掛けるなどのテロ事件を敢行しました。2005 年 6 月、CFFの指導者が、 米国当局によって米国内の自宅で逮捕されたことから、同組織の勢力は大幅に衰退し、現在では大規模な武装襲撃事件を 引き起こす可能性はなくなったとみられますが、サポーターが存在する可能性もあり引き続き注意が必要です。

(2)クメール・ルージュ(KR)は、1998 年 12 月に同派の最後の武装勢力が政府側に大量投降したのに続き、1999 年 3 月に幹部のタ・モックが逮捕されたことにより、組織としては完全に消滅しました。

(3)2006 年 10 月、政府の転覆を画策し、政府高官が集まる場所等で爆弾テロ等を実行することを企図していた反政府 組織のメンバー6 人が逮捕されました。

(4)2007 年 7 月、カンボジア・ベトナム間の関係悪化を目的とする過激派「カンプチア・クラオム解放戦線」が、カ ンボジア・ベトナム友好記念碑に対する爆破物設置事件(爆発せず)を引き起こし、メンバー5 人が逮捕されました。

(5)2009 年 1 月 2 日、国防省及びTV3 放送局前で爆発物設置する事件(爆発せず)が発生し、 「クメール民族和解戦 線」 (タイガーヘッド)のメンバー5 人が逮捕されました。また、タイガーヘッドの首謀者は警察の取り調べに対し、2007 年のカンボジア・ベトナム友好記念碑に対する爆発物設置事件(上記(4) )は、成功報酬を支払うとして「カンプチア・ クラオム解放戦線」のメンバーに実行させたものであると供述しています。

3.誘拐事件の発生状況

テロ組織等による犯行と認められる誘拐事件の発生は確認されていません。内務省国家警察の発表によれば、2011 年、 身代金目的の営利誘拐が 12 件発生しており、治安当局の捜査によって 11 件(うち 2 件は虚偽申告)は解決済みとされて います。なお、これに加えて、強姦を目的とした誘拐事案も複数発生しているものと見られます(統計上誘拐でなく強姦 事件として計上されているため発生件数は不明) 。

-5-

なお、2005 年 6 月には、シアムリアップ州のインターナショナル・スクールにおいて、韓国人児童を誘拐しようとし て失敗した武装集団が同スクールに立てこもり、カナダ人児童1人を射殺する事件が発生しています。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現時点では、カンボジアにおいて日本人・日本権益がテロや誘拐の直接の標的とされる可能性は低いとみられます。 しかしながら、日本人を含む外国人観光客が多く訪れるシアムリアップ州等の観光地、ホテル、飲食店等が、いわゆる ソフトターゲットとしてテロの標的とされ、日本人がその巻き添えとなる可能性は排除しきれません。また、日本を攻撃 対象として名指しする声明がアル・カーイダ関係者を名乗る者等によりインターネット等を通じて出されている現状を考 慮すれば、他国におけると同様、日本人・日本権益がテロの直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

-6-

【北朝鮮】

北朝鮮は、各種犯罪統計を公表しておらず、また、北朝鮮には我が国の在外公館が存在しないため、テロ・誘拐事件の 発生状況を含め、現地の事情には不明な点が多くあります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

-7-

【シンガポール】 1.概況

シンガポールでは、安定した国内情勢及び治安対策を反映して、2011 年もテロ事件の発生はありません。

2.テロ組織の活動状況

(1)東南アジア広域にわたり活動しているイスラム過激派組織ジュマ・イスラミーヤ(JI)の動向は、シンガポール にもテロの脅威を与えています。JIは、2002 年のバリ島における爆弾テロ等インドネシアにおける大規模なテロ事件 に直接関与したと言われています。2002 年以降、多くのJIメンバーがインドネシア等で逮捕されており、最近では、 2009 年 9 月に主要幹部であったヌルディン・トップが、2010 年 3 月にはドゥルマティンがインドネシア警察にそれぞれ 射殺され、その他のJIメンバーもインドネシア及び周辺国で相次いで逮捕または射殺されるなど、JIは組織的に大き なダメージを受けています。しかし、依然として爆弾製造等のテロ遂行能力を有するメンバーが逃走中です。

(2)シンガポールには、多数の観光客が来訪するだけでなく、地域の運輸・交通ハブの機能を果たしていることから、 周辺諸国を中心に世界各地から多くの人、多量の物が常時出入りしています。このため、空路、陸路及び海路から国際テ ロ組織のメンバーが潜入して、テロ活動を行う可能性は否定できません。シンガポール政府高官も、シンガポールはテロ リストにとって引き続き魅力的かつ重要な標的であるので警戒は怠るべきではない趣旨の発言をしています。

3.誘拐事件の発生

シンガポールでは、誘拐事件の発生は過去においてほとんど例がなく、2011 年中も発生はありません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、テロ攻撃に関する具体的情報はありませんが、日本を攻撃対象として名指しする声明がアル・カーイ ダ関係者と名乗る者等によってインターネットを通じて出されていること、また、シンガポール政府高官が、シンガポー ルはテロリストにとって引き続き魅力的かつ重要な標的であるので警戒は怠るべきではない趣旨の発言をしていること を考慮し、在留邦人、旅行者等が巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性もあり得ることは、十 分に留意すべきです。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

-8-

【スリランカ】 1.概況

(1)スリランカでは、2009 年 5 月 18 日まで 30 年近くにわたって続いたタミル・イーラム解放の虎(LTTE)と政府軍 との内戦終結以降、国内の治安情勢は徐々に安定化しており、LTTE の残党によるテロ攻撃も発生していません。

(2)コロンボその他主要都市では、テロの脅威の低下とともに街頭の検問所及び軍兵士・警察官の数もやや減少してい ますが、北部州を中心とした旧 LTTE 支配地域では、紛争終結から 2 年半が経過した現在でも、多くの軍兵士が隠匿武器・ 弾薬の捜索、地雷の除去及び治安維持にあたっており、テロに対する警戒態勢が維持されています。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件発生件数は、警察によると、2008 年 963 件、2009 年 942 件に対し、2010 年は 456 件と大幅に減少しています (2011 年統計は未公表。)。また日本人の誘拐被害は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

対日感情は概して良好であることから日本人・日本権益に対する直接的な脅威は低いと考えられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

-9-

【タイ】 1.概況

(1)タイ南部情勢 近年、タイのテロ事件の大半は南部で発生しています。2004 年以降、イスラム分離独立主義系過激派の活動が活発化 し、軍の武器庫襲撃・武器強奪事件、警察署襲撃事件、学校等への放火事件、空港、市場、歓楽街等での爆弾テロ事件、 教師、仏教徒及び公務員に対する暗殺事件等が頻発しています。これらの事件の背景は不明な部分が多く、タイ南部で「パ タニー王国」の独立を標榜する分離独立派武装組織のほか、地元マフィア等の犯罪組織の関与が指摘されています。2006 年以来、タイ政府は、南部における治安情勢の回復を最重要課題の一つに掲げていますが、爆弾テロ事件や暗殺事件等は 依然続発しており、事態が収まる兆しはみられません。報道等によれば、2004 年から 8 年間で 4,300 名以上が死亡した とされています。

(2)ジュマ・イスラミーヤ等イスラム過激派国際テロ組織関係 2002 年 10 月のインドネシア・バリ島における爆弾テロ事件の発生を受けて、タイ国内においてもイスラム過激派のテ ロの脅威に対する危機感が高まり、治安当局は外国人が多く集まる観光地を中心に警戒を強化しました。タイ政府は、国 内にはジュマ・イスラミーヤ(JI)等イスラム過激派国際テロ組織による組織的なテロ活動はないとしていましたが、 2003 年、JIの主要メンバーのアリフィン・ビン・アリ及びハンバリがタイで逮捕されました。ただし、JIによるテ ロ事件の発生は確認されていません。 2012 年 1 月には、在タイ米国大使館が、外国人テロリストが攻撃を実施する可能性があるとして緊急の警戒情報を発 出し、タイ治安当局が、爆発物の原料を無許可で所持していたとしてレバノン人を逮捕しました。また、同年 2 月には、 バンコク都内で手製爆弾が爆発し、犯人を含む 5 人が負傷、複数のイラン人が逮捕される事件が発生しています。両事件 とも、タイ当局による捜査が継続中ですが、イスラム教シーア派組織ヒズボラの関与の可能性も指摘されています。

2.誘拐事件の発生状況

公式統計では、2011 年には誘拐事件は 9 件発生し、8 件の検挙がありました。

3.日本人・日本権益に対する脅威

タイにおいては、大規模な無差別テロや自爆テロ等は発生していませんが、タイ国内に多数の日系企業等日本権益が存 在することを踏まえると、今後とも不測の事態が発生する可能性も否定できず、日本人・日本権益が巻き込まれる可能性 にも注意が必要です。

<2012 年 2 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2012 年 2 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもので あり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 10 -

【大韓民国(韓国) 】 1. 概況

韓国では、1986 年の金浦空港爆破事件以来、25 年以上にわたりテロ事件は発生していません。 しかし、韓国は、2007 年末までアフガニスタン、また 2008 年末までイラクに軍隊を派遣していたほか、2010 年 6 月か らは、再びアフガニスタンに地方復興支援チーム(PRT)を警護する軍部隊を派遣しているため、イスラム過激派が韓国 に対して幾度となくテロの警告を行っている状態にあります。 また、韓国は、現在もなお北朝鮮と軍事的な対峙状態にあります。2010 年 11 月には北朝鮮による延坪島砲撃事件が発 生しており、核問題を始めとする朝鮮半島情勢は、引き続き予断を許さない状況にあることなどから、潜在的なテロの脅 威は常に存在するものとみられています。

2. 誘拐事件の発生状況

韓国内においては、2011 年中、日本人を対象とした誘拐事件は発生していません。しかし、性的・金銭目的の犯行等、 韓国国内における誘拐事件の発生件数は少なくないとされていること、最近の円高の影響も受け、日本人は裕福であると の認識が根強いこと等から、日本人が身代金目的誘拐の対象となる可能性も否定はできませんので、注意が必要です。

3. 日本人・日本権益に対する脅威

韓国での日本人・日本権益に対する直接的なテロに関しては、これまでのところ、具体的な兆候や脅威は把握されてい ません。しかしながら、韓国と日本は、共にイスラム過激派からテロの標的として名指しされており、韓国内の日本権益 がテロの標的とされる可能性は否定できません。また、韓国内に多数存在する米国権益(大使館、米軍施設等)や米軍人 等の往来する地域がイスラム過激派にとって攻撃対象となり得るところ、日本人がこれらのターゲットに対するテロの巻 き添えとなる可能性も否定できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された平成 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集した ものであり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 11 -

【台湾】 1.

概況

台湾では、イスラム過激派も含め、テロを企図する組織の活動は確認されていません。

2.

誘拐事件の発生状況

警察発表によると、2011 年中の誘拐事件の発生件数は 9 件ですが、外国人を対象とした事案はありません。

3.

日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 12 -

【中華人民共和国】 1.

概況

(1) 中国政府の発表によれば、中国におけるテロ事件は主として新疆ウイグル自治区内で発生しています。



新疆ウイグル自治区では、ウイグル族を主体とする少数民族の一部がいくつかの地下組織を結成し、同自治区全域

を領土とするイスラム国家「東トルキスタン国」の建設を目的として民族独立運動を行っていると言われています。



特に 1990 年代以降、新疆ウイグル自治区では無差別殺傷事件、地元の政府・共産党要人の暗殺、行政府庁舎への襲

撃等の凶悪事件が頻発するようになったと言われています。2011 年中は、新疆ウイグル自治区ホータン市で暴徒が警察 署を襲撃し、4 名が死亡、4 名が負傷する事件(7 月 18 日) 、同自治区カシュガル市で爆発及び車両が群衆に突っ込み、 14 名が死亡、40 名余りが負傷する事件(7 月 30 日、31 日) 、同自治区ホータン地区で暴徒が人質 2 名を取って立てこも る事件(12 月 28 日)が発生しました。

(2) 中国政府は、2003 年 12 月、東トルキスタン・イスラム運動、東トルキスタン解放組織、世界ウイグル青年代表大 会、東トルキスタン情報センターの 4 つの組織をテロ組織として認定し、これらの組織の幹部等 11 名をテロリストとし て認定したと発表しました。さらに、2008 年 10 月、東トルキスタン・イスラム運動の幹部等 8 名をテロリストとして認 定したと発表しました。中国政府によれば、これらの組織のうち、東トルキスタン・イスラム運動と東トルキスタン解放 組織については、国際テロ組織アル・カーイダとつながりがあるとされています。

2. 各組織の活動状況

中国政府が認定した 4 つのテロ組織のうち、アル・カーイダとつながりがあるとされた 2 つの組織の活動状況は、中国 政府の発表や報道によると次のとおりです

(1) 東トルキスタン・イスラム運動:Eastern Turkistan Islamic Movement(ETIM)

政教一致の「東トルキスタン国」の独立を目指すテロ組織で、1997 年にハサン・マフスームとアブドゥルカディル・ ヤプカンが組織しました。1998 年から 1999 年にかけて活発にテロ活動を行っており、2002 年 9 月 11 日に国連によりテ ロ組織と認定されました。同組織は、アル・カーイダから支援を受け、タリバーン政権下のアフガニスタンでメンバーが 訓練を受けていたとされています。 なお、東トルキスタン・イスラム党、アラー党、東トルキスタン民族革命戦線等の別名もあります。

(2) 東トルキスタン解放組織:Eastern Turkistan Liberation Organization (ETLO)

「東トルキスタン国」の独立を目指すテロ組織で、別名は東トルキスタン民族党。1996 年にムハンメテミン・ハズレッ トによって組織されました(本部はイスタンブール) 。中国や中央アジアでテロを行っており、2003 年には、メンバーが キルギスで新疆ウイグル自治区に向かうバスを焼き討ちし、中国人 16 名、キルギス人 4 名を死亡させました。同組織は、 アル・カーイダから支援を受け、タリバーン政権下のアフガニスタンでメンバーが訓練を受けていたとされています。 2005 年 9 月には、同組織に属する「天山獅子隊」を名乗るグループが、今後あらゆる手段を使って中国政府に対する 武装闘争を発動すると宣言したことが報じられました。

3.

誘拐事件の発生状況

- 13 -

中国では、2009 年 4 月以降、警察当局が児童・婦女の誘拐・人身売買事件の取締りを強化しており、同年 4 月から 2011 年 12 月までに、2 万 7914 件(うち児童の事件:1 万 6137 件、婦女の事件:1 万 1777 件)の事件を検挙し、7025 の犯罪 集団を摘発、4 万 9007 人の被疑者の身柄を拘束し、事件検挙により解放された児童は 1 万 8518 人、婦女は 3 万 4813 人 とされています。 誘拐の主な対象は中国人の富裕層、若年層等であり、外国人をねらった誘拐事件は多くありません。しかし、近年では、 日本人を被害者とする以下の事件が発生しています。

(1) 2003 年 10 月、遼寧省瀋陽市で、中国人グループが日本人旅行者を誘拐し、日本にいる家族に身代金を要求。

(2) 2009 年 11 月、広東省広州市で、中国人グループが日本人出張者を誘拐し、日本にいる家族に、中国企業に対す る当該家族の会社の債務を直ちに弁済するよう要求。

4.

日本人・日本権益に対する脅威

これまでのところ、中国国内で日本人を含め外国人を標的とするテロ事件は発生しておらず、日本人がテロ事件に巻き 込まれた事例も報告されていません。しかし、新疆ウイグル自治区内では 2011 年にテロ事件が発生しており、また、同 自治区内でのテロ活動が他の地域に拡大する可能性も排除できません。治安当局がテロ活動を厳しく取り締まっていると はいえ、今後、日本人がテロ事件に巻き込まれる可能性も完全には排除できず、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 14 -

【香港】 1.

概況

2011 年中、香港ではテロ事件の発生、並びに、反政府組織の活動及び国際テロ組織の活動は確認されていません。

2.

誘拐事件の発生状況

2011 年中、香港では外国人を標的とした誘拐事件は確認されていません。

3.

日本人・日本権益に対する脅威

2011 年中、香港では日本人・日本権益に対する直接的なテロの脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 15 -

【マカオ】 1.

概況

2011 年中、マカオではテロ事件の発生、並びに、反政府組織の活動及び国際テロ組織の活動は確認されていません。

2.

誘拐事件の発生状況

2011 年中、マカオでは外国人を標的とした誘拐事件は確認されていません。

3.

日本人・日本権益に対する脅威

2011 年中、マカオでは日本人・日本権益に対する直接的なテロの脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 16 -

【ネパール】 1.概況

(1)ネパールでは、1996 年 2 月、ネパール共産党から分派したマオイスト(ネパール共産党毛沢東主義派)が王制打倒、 世俗国家の実現、インドとの不平等条約の破棄等のスローガンを掲げて「人民戦争」と称した武装闘争を開始しました。 これ以降 2006 年 11 月に政府との間で包括和平合意が締結されるまでの間、同武装闘争によりネパール全土で 13,000 人 を超える犠牲者が発生しました。和平合意締結により、マオイストは、兵士と武器を兵営地に収容し、国連ネパール政治 ミッション(UNMIN)がマオイストの武器管理の監視を行ってきました。UNMIN が撤退した 2011 年 1 月以降は、ネパール 政府が同監視を行っており、マオイスト兵士の一部が自主除隊を完了したほか、残りの兵士の国軍への統合に向けた主要 政党間の話し合いが行われています。

(2)ネパール南部のタライ地方では、小規模の武装グループが誘拐、強盗、恐喝等の犯罪行為を行っています。また、最 近、ヒンドゥー教過激派のネパール・ディフェンス・アーミーが、カトマンズ市内のキリスト教団体事務所で爆発事件を 起こしています。

(3)ネパールでは、イスラム過激派の活動は確認されていません。一方、2011 年中、ネパールに居住するイスラム教徒 を狙った銃撃事件が 3 件発生しており、今後、宗教間対立が深まる可能性は否定できません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年の誘拐事件の発生件数は 30 件で、主な犯行主体はネパール南部タライ地方に存在する武装グループです。ほと んどが身代金目的の誘拐であり、標的は主にネパール人会社経営者、裕福な農家、政府関係者等です。 2011 年 7 月、ネパール人とインド人の犯行グループによりインド人 2 名がインドからカトマンズへ呼び出されて誘拐 されました(警察が、グループ全員を逮捕し、被害者を救出。 ) 。

3.日本人・日本権益に対する脅威

マオイストは、外国人(旅行者を含む。)をテロの直接の標的にしないことを明らかにしており、日本人・日本権益に 対して直接脅威を与えるおそれは低いと考えられます。しかし、山岳地帯の観光地域で旅行者に対して寄付金や「通行税」 と称して金銭を要求しているとの情報もあることから注意を要します また、タライ地方の武装組織は、外国人をテロの直接の標的としていないものの、爆発物を使用した犯罪を行っている ことから、その巻き添えにならないよう注意を要します。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 17 -

【パキスタン】 1. 概況

(1)パキスタンでは、テロ件数が 2007 年以来の増加傾向から初めて減少に転じた 2010 年に続いて 2011 年も減少傾向 にあります。しかし、テロ攻撃及び宗派間抗争だけでも 2011 年中 1,966 件発生して 2,391 人が死亡、政党間・部族間抗 争や軍・武装勢力間戦闘も含めれば 2,985 件で 7,107 人が死亡するなど、依然として極めて高い水準で推移しています。

(2)自爆テロも引き続き減少する傾向にあり、2011 年は 45 件(前年比 23 件減)発生しました。2011 年の自爆テロの 特徴の 1 つは、 「パキスタン・タリバーン運動(TTP)」により、女性を自爆に利用するという従来見られなかった手法が用 いられたことです。

(3)テロ事件の大半は、連邦直轄部族地域(FATA)や、ハイバル・パフトゥンハー(KP)州のような武装勢力が潜伏して いると思われる地域を中心に発生していますが、バロチスタン州やシンド州都カラチにおいても政党・民族対立に起因す る暴力事件や報復行動が 2010 年に引き続き増加傾向にあります。

(4)2011 年 5 月には、アル・カーイダの指導者オサマ・ビン・ラーディンが米軍による急襲作戦によって首都イスラ マバードから北西約 150km 地点のアボタバードで殺害されました。さらに米軍の無人機攻撃によって、イリヤス・カシミー リを始めとする有力なアル・カーイダ及びアル・カーイダ系組織幹部が複数殺害されたほか、TTP 等他の武装勢力の弱体 化にも成果を挙げました。

(5)パキスタンにおけるテロ情勢は依然として厳しい状況にあります。またテロの攻撃目標として以外にも、身代金目 的の誘拐のために外国人を狙う傾向が強まってきており、今後も十分な警戒が必要です。 (統計出典:「パキスタン平和研究所」 )

2. 主な組織の動向

(1) パキスタン・タリバーン運動(TTP)

パキスタン国内各地の武装勢力の緩やかな連合体である「パキスタン・タリバーン運動(TTP) 」は 2011 年もパキスタ ン各地で自爆テロを含むテロ攻撃を行い、また、パキスタン軍との戦闘を繰り広げました。しかし、2009 年の連邦直轄 部族地域(FATA)南ワジリスタン管区における軍事的な掃討作戦により、同管区を拠点としていた TTP の勢力が減退したこ とに加え、バジョール、モーマンド、ハイバル管区等でも軍事的な掃討作戦の結果、これらの管区を拠点としていた勢力 にも陰りが見えます。2011 年後半以降、TTP 内ではパキスタン政府との和平に向けた話し合いに前向きな姿勢を見せる勢 力もいるなど、勢力の分散化が進み、一枚岩ではなくなってきているとの見方もあります。

(2) スンニ過激派及びカシミール過激派

ラシュカレ・ジャングヴィ(LJ) 、シパヘ・サハバ・パキスタン(SSP)等パンジャブ州南部を拠点とするスンニ過激派 集団は、テロ活動を活発化させ、パキスタン各地で聖者廟やシーア派等他宗派を標的としたテロを実行し、また、自爆テ ロの手法を多用するようになっています。 一方、ラシュカレ・タイバ(LeT) 、ジェイシェ・ムハンマド(JM)等カシミール過激派については、主にインドを中心 としてパキスタン国外でのテロ活動を行ってきましたが、現在では、米国・パキスタンとの協力関係に反発し、スンニ過 激派集団や TTP との連携を深め、パキスタン国内のテロにも関与していると言われています。

- 18 -

(3)アル・カーイダ

2011 年 5 月、首都イスラマバードから北西約 150km 地点のアボタバードにおいて、アル・カーイダの指導者ウサマ・ ビン・ラーディンが、米軍の急襲によって殺害されました。その他にも連邦直轄地域(FATA)に潜伏していたアティヤ・ アブドル・ラヘマン、イリヤス・カシミーリ等幹部多数が米軍の無人機攻撃等によって殺害された結果、アル・カーイダ 及びアル・カーイダ系組織は、アフガニスタン・パキスタン国境地域からアフリカやアラビア半島にその拠点を移しつつ あるとも言われます。 その一方で、ウサマ・ビン・ラーディンの後継者となったアイマン・ザワヒリ等最高幹部は依然として拘束されていま せん。また、インターネット等を通じて公開されるビデオメッセージ等に感化された外国人武装勢力がアル・カーイダに 合流すべく部族地域へ流入しているとの報道もあり、アル・カーイダは、ウサマ・ビン・ラーディン亡き後も依然として ある一定の影響力を保持しているものと考えられます。 なお、パキスタン国内で発生した各種テロ事案において、アル・カーイダがこれら事案の犯行声明を発出することはな く、アル・カーイダ自身がパキスタン国内におけるテロ攻撃を直接実施しているか否かは不明ですが、テロ攻撃の企画・ 立案やテロリストの訓練、資金提供等の形で関与していると見られています。

(4)バローチ民族主義諸派

バロチスタン州においては、政府・治安機関を狙ったテロ、電気、ガスパイプライン等の施設を狙ったテロ、シーア派 イスラム教徒を狙ったテロ、中国人等外国人や他州からの移住者を狙ったテロ、及び NATO 軍への補給物資運搬車両等を 狙った襲撃事件が頻発しています。同州ではバローチ民族主義者による民族闘争が激化しており、バローチ解放軍(BLA) 、 及びバローチ共和国軍(BRA)が多くの事件で犯行声明を出しています。

3. 誘拐事件の発生状況

2011 年、パキスタンでは全土で誘拐事件が頻発し、中でも北西部のハイバル・パフトゥンハー(KP)州や連邦直轄部 族地域(FATA)、シンド州都カラチ、バロチスタン州などで多くの誘拐事案が発生しました。カラチでの誘拐は、ギャン グやマフィアと呼ばれる犯罪者集団による身代金目的のものが主ですが、KP 州、FATA 及びバロチスタン州ではこうした 犯罪者集団に加え、掃討作戦によって拠点を追われたタリバーンが資金調達や政府当局に拘束されている仲間の釈放を求 める手段として多用している現状が見受けられます。 KP 州や FATA のケースでは、教育機関関係者や富裕層のパキスタン人が主な標的となっていますが、政府に圧力をかけ る上で有力な人質となるため外国人も狙われやすく、2011 年 7 月に南西部バロチスタン州でスイス人の男女が、また 8 月にもラホールにて米国人男性が誘拐されており、未だに拘束されたままとなっています。

4. 日本人・日本権益に対する脅威

日本人及び日本権益をテロの直接の標的としていることを示す具体的な脅威は見られませんでしたが、大規模テロに巻 き込まれる可能性や誘拐のターゲットになる可能性は恒常的に存在しています。さらに、日本を攻撃対象として名指しす る声明がアル・カーイダ関係者と名乗る者等によりインターネット等を通じて出されている現状を考慮すれば、巻き添え 等偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性もあり、引き続き厳重な警戒が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ

- 19 -

の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 20 -

【バングラデシュ】 1.概況

バングラデシュでは、2011 年中、治安機関が各種テロ組織に対する取締り・監視強化を継続し、テロ組織構成員を多 数逮捕するとともに、銃器・爆発物の押収等を行いました。こうした治安機関の努力もあり、2011 年中、大規模なテロ は発生しませんでした。

2.主な組織の動向

(1)過去に大規模な爆弾テロを実行した非合法組織であるイスラム過激派の「ジャマトゥル・ムジャヒディン・バング ラデシュ」 (JMB)は、組織の弱体化が報道されていましたが、本年も構成員が度々治安機関に逮捕され、銃器・爆発物の 原材料が押収されるなど、組織自体は存在しており、新たなテロを計画している可能性もあります。

(2)同じく過去に爆弾テロ事件を実行した非合法組織であるイスラム過激派の「ハルカトゥル・ジハード・イスラミ・ バングラデシュ」(HuJI-B)についても、構成員が度々治安機関に逮捕され、銃器・爆発物の原材料が押収されたり、同 組織と国外のテロ組織とのつながりを指摘する報道がされたりするなど、組織自体は存在しており、新たなテロを計画し ている可能性もあります。

3.誘拐事件の発生状況

2011 年中、外国人を標的とする誘拐事件の発生は確認されていません。しかし、バングラデシュ人を対象とした身代 金、労働力等の目的とみられる誘拐事件は多数発生しています。2005 年 10 月には、日本人男性が軟禁され身代金を要求 される事件が発生しているほか、過去には外国人が被害に遭った例もあり、日本人を対象とした身代金目的の誘拐事件の 発生の可能性も否定できません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

日本は、バングラデシュに対する最大の援助国の一つであり、また、同国の独立を早期に承認したことから、国民の多 くは、極めて親日的です。しかし、日本を攻撃対象として名指しする声明がアル・カーイダ関係者と名乗る者等によって インターネット等を通じて出されている現状を考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害はもちろん、日本人が直接の標的と される可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 21 -

【東ティモール】 1.

概況

(1)東ティモールでは、ジェマ・イスラミヤ(JI)等イスラム過激派の活動、国際テロ組織の活動は確認されていませ ん。

(2)一方、東ティモールはティモール島の西側半分を占めるインドネシアと国境を接しており、両国国境線の監視体制が 十分であるとはいえない現状から、国際テロ組織、イスラム過激派等が意図して東ティモールに侵入することは容易であ ると考えられます。

2.

誘拐事件の発生状況

東ティモールにおいては、明確に外国人をターゲットにした誘拐等は発生していません。

3.

日本人・日本権益に対する脅威

東ティモールにおいては、日本人及び日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は高くありません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 22 -

【フィリピン】 1. 概況

(1) フィリピンでは、モロ・イスラム解放戦線(MILF)、アブ・サヤフ・グループ(ASG)等の反政府イスラム勢力や、 共産党の武装部門である新人民軍(NPA)等の反政府共産勢力が活動しています。これまで、反政府イスラム勢力は無差 別爆弾事件、身代金目的誘拐等のテロ活動を、NPA は「革命税」を徴収するという名目での企業や富裕層に対する恐喝等 を、それぞれ行っています。

(2) また、東南アジア地域のテロ組織であるジュマ・イスラミーヤ(JI)の一部は、フィリピン南部ミンダナオやスー ルー諸島に拠点を有し、フィリピン固有の反政府イスラム勢力と連携しつつ、軍事訓練やテロ活動を行っています。

(3) 2011 年中は、フィリピン政府と MILF との間で和平交渉が再開・継続され、停戦監視活動が行われたことなどによ り、バシラン州における両部隊間の交戦等は発生したものの、反政府イスラム勢力による暴力事件は前年に続き減少しま した。しかし、ミンダナオにおいては爆弾事件が日常的に発生している上、スールー州、バシラン州、サンボアンガ半島、 北ラナオ州、マギンダナオ州等では、1 年を通じて ASG 等による身代金目的誘拐が発生しています。また、MILF から反主 流派の一部がから分裂して別の反政府イスラム組織の設立を宣言するなど、テロ情勢が悪化する新たな危険性も生じてき ています。2011 年 10 月には、北スリガオ州において NPA による日系鉱山施設への大規模な襲撃事件が発生するなど、フィ リピンのテロ・治安情勢は依然として厳しく、今後も十分な警戒が必要です。

2. 各組織の活動状況

(1) モロ・イスラム解放戦線(MILF)

MILF は、中部ミンダナオを拠点とするフィリピン最大の反政府イスラム組織であり、これまで軍・警察当局に対する 襲撃、無差別爆弾テロ、身代金目的誘拐等を行っています。2009 年 7 月にフィリピン政府と MILF が相互に一時停戦を宣 言した後は、中部ミンダナオの治安情勢は改善の兆しを見せ、2011 年も前年に引き続きそうした情勢が継続しました。 しかし、フィリピン政府と MILF との間の和平プロセスの成否は予断を許さないほか、地元の私兵団による抗争も懸念さ れており、今後も警戒が必要です。また、和平交渉に反対する MILF 反主流派の一部が同組織から分裂し、バンサモロ・ イスラム自由運動(その武装部門はバンサモロ・イスラム自由戦士団)という反政府イスラム組織の設立を宣言しており、 今後の和平交渉の推移によっては、これらの交渉反対派が勢力を拡大し、テロを含む反政府活動を活発化させる危険性も あります。

(2) アブ・サヤフ・グループ(ASG)

ASG は、身代金目的誘拐や爆弾テロ等を行うテロ組織です。国軍等による継続的な掃討作戦の結果、その組織は分断さ れ、構成員の数も減少したとされていますが、2011 年中も数多くの誘拐事件を敢行し、多額の身代金を得てテロ遂行能 力を保持していることから、その実力を過小評価することはできません。

(3) ジュマ・イスラミーヤ(JI)

JI は、フィリピン南部を含む東南アジア島嶼部で広域イスラム国家の樹立を目指す組織であり、中部及び西部ミンダ ナオにおいてその構成員や MILF、ASG 等の構成員に軍事訓練を行ってきたほか、複数の爆弾テロ事件に関与してきたとさ れており、今後もその動向には細心の注意を払う必要があります。

- 23 -

(4) 新人民軍(NPA)

NPA は、フィリピンの広い範囲に分布する共産主義武装勢力であり、長年にわたり治安対策上の脅威となっています。 2004 年 8 月以降、米国による外国テロ組織の指定が更新されたこと等に反発して政府との和平交渉に応じてきませんで したが、2011 年 2 月にノルウェーで政府と和平協議を行うなど、その姿勢に変化の兆しが見え始めたところです。しか し、その後再び交渉は行き詰まりの様相を呈しており、フィリピン政府と反政府共産勢力との間の和平プロセスの成否は 予断を許さないほか、軍・警察当局に対する攻撃、 「革命税」等の要求に応じない事業者への襲撃等を活発化させており、 今後もその動向には注意が必要です。

3. 誘拐事件の発生状況

フィリピン南部ミンダナオ地方を中心に反政府勢力等による誘拐事件が多発していることは上述のとおりです。フィリ ピン全土では、2011 年、少なくとも 24 件の身代金目的誘拐が発生しており、このうち 4 分の 3 がミンダナオ地方で、残 りがマニラ首都圏及びその周辺地域で発生しています。一般に、フィリピンでは、外国人を含む富裕層が誘拐の標的とさ れることが多いとされています。

4. 日本人・日本権益に対する脅威

反政府勢力が日本人・日本権益をテロの直接の標的としていることを示す具体的な動向は見受けられませんが、米国の 同盟国という点において、日本が潜在的な攻撃対象であることは否定できません。また、テロについては、いつ、どこで 発生するかを予想することは極めて困難であるため、日本人がその巻き添えとなる危険性は常に存在すると言わざるを得 ません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 24 -

【ブータン】 1.概況

(1)ブータンでは、1990 年代初頭から、隣国インドの北東部州でインドからの分離独立を求める過激派組織(アッサ ム解放統一戦線(ULFA) 、ボドランド民族民主戦線(NDFB) 、及びカムタプル解放機構(KLO))がブータン南部の森林地帯 にキャンプを開設してきました。しかし、2003 年 12 月のブータン国軍とインド軍共同による掃討作戦により、これらの キャンプは壊滅したとされています。また、再度キャンプが設立された事実も確認されていません。

(2)2008 年より、ネパールに拠点を置くネパール系ブータン難民からなる過激派組織とされるブータン共産党 (Communist Party of Bhutan)が、ブータン南部を中心にテロを敢行し、2009 年も同組織による爆破テロが 1 件発生し ています。2011 年 10 月にインドとの国境付近の町で発生した爆破テロも、同組織の関与が疑われています。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は、極めて少ないものとみられ、2011 年中、日本人の被害は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益をターゲットとする過激派組織は、把握されていません。しかしながら、日本人 又は日本の関係機関(JICA) 、企業等が資金獲得目的の誘拐、恐喝等の対象となる可能性は完全には否定できません。 また、公共施設の爆破事件に際して、たまたま居合わせた日本人旅行者が巻き込まれる可能性もないとは言えません。特 に、過激派がキャンプを設置していたブータン南部への渡航及びブータン南部に隣接するインド・アッサム州からの陸路 渡航については、こうした可能性に注意する必要があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 25 -

【ブルネイ】 1.

概況

ブルネイでは、反政府組織の活動や国際的なテロ組織に対して、当局による監視を始めとした、不法行為への未然防止 対策がある程度行き届いており、現在のところ、同国内でのテロ組織等の活動は確認されておらず、テロの脅威は低いと みられています。しかし、地理的にインドネシア等の国と近接していることもあり、常に最新情報の入手に努めるなど、 一定の警戒は必要です。

2.

誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は年 2 件以下とまれであり、治安も比較的安定していることから、事件発生の可能性は引き続き低いと みられています。

3.

日本人・日本権益に対する脅威

ブルネイにおいて日本人を特定して狙った事件は発生していませんが、巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標 的とされる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 26 -

【ベトナム】 1.概況

(1)ベトナム治安当局は、これまで、国内にテロ組織や反政府組織は存在しないとしてきていますが、ベトナム人海外 移住者を主体とする反政府活動家の活動に対して警戒を強めています。過去には、反政府組織自由ベトナム政府のメン バーによるテロ未遂事件等が発生しています。

(2)ベトナムでは、現時点でイスラム過激派の存在は確認されていないことから、治安当局は、イスラム過激派及びそ の関連組織によるテロ事件の可能性は低いと考えています。しかし、国外におけるテロ事件がベトナム国内に波及する可 能性は排除できないとして、出入国管理の強化を通じてイスラム過激派などテロリストの入国阻止に努めるとともに、ベ トナムに駐在している外交団施設の警備を強化しています。

2.各組織の活動状況

ベトナム国内では、過去に東南アジアに所在する在外ベトナム大使館に爆弾を仕掛けたとされる自由ベトナム政府のメ ンバーが、2010 年 4 月に逮捕され、ホーチミン市を標的として計画されたテロが未然に防止されました。 また、2007 年には、拳銃を所持して入国しようとしたベト・タン(ベトナム刷新・革命党)のメンバーとみられる者 が逮捕されました。

3.誘拐事件の発生状況

2011 年の状況については当局から情報が得られていませんが、報道等によると、犯罪組織による女性を主な標的とし た人身売買事案の発生が目立っています。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を直接の標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられますが、ひとたびテロ事件 や騒擾事件が発生すれば、反政府団体等によるテロ行為の巻き添え等、偶発的な被害に遭遇する可能性については完全に 排除できないことから、相応の注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 27 -

【マレーシア】 1. 概況

(1)マレーシアでは、近年、テロ事件は発生しておりません。

(2)マレーシアは、銃器・火器類に対する規制が極めて厳しく、また、集会や結社についても「国内治安維持法」 (Internal Security Act)その他関連法令により厳重な規制が行われております。また、警察を中心とした国内治安情報の収集能力 も高く、国内不穏分子の活動は治安当局により概ねコントロールされているとみられています。なお、 「国内治安維持法」 については、2011 年 9 月、ナジブ首相が、同法を廃止し同法に代わるテロ対策の新法を成立させる方針を表明していま す。

(3)報道によれば、アル・カーイダと関係があり、日本滞在歴もあるフランス人が、2003 年までマレーシアに滞在して いた模様です。2008 年には、ジュマ・イスラミーヤ(JI)の幹部級のメンバー2 名がクアラルンプールで拘束され、イ ンドネシアに送還されました。2009 年には、シンガポール拘置所から脱獄したJIテロリストがジョホール州で拘束さ れました。また、2010 年には、クアラルンプール近郊で、シリア人等外国人 9 名がアル・カーイダのためにリクルート 活動を行っていたとして拘束され、国外追放されています。このようにイスラム過激派が国外からマレーシアに侵入した 事例がみられました。

(4)タイ南部とは陸続きで国境を接しており、また、インドネシア、フィリピン等、国外からテロリストが侵入を企てる のに比較的容易な状況にあることから、空港、港湾等においては、警察官や入国管理官が連携して監視しています。

2. 各組織の活動状況または各地域の治安情勢

(1)2001 年以来、当局はイスラム過激派組織の摘発に力を入れ、国内治安維持法に基づき、現在までにJIメンバー100 人以上を逮捕しました。このため、マレーシアやシンガポールのJI指導組織は壊滅状態にあるとされ、現在、マレーシ ア国内ではJIによる組織的活動は見られません。

(2)イスラム過激派組織クンプラン・ムジャヒディン・マレーシア(KMM、マレーシア聖戦団)についても、現在まで にメンバー25 名以上が逮捕されており、組織は壊滅状態とみられます。

(3)2004 年 1 月以降、マレーシアと国境を接するタイ南部でイスラム過激派による爆弾事件や襲撃事件等が続発してい ます。国境地域の両国住民は頻繁に国境を往来しており、タイ政府は、マレーシア国内にイスラム過激派が潜伏している 可能性があると指摘しましたが、マレーシア政府はこれを否定しています。これまでマレーシア国内でタイ南部のイスラ ム過激派に関係した暴力事件は発生していませんが、2011 年 9 月にタイ側国境の街においてイスラム過激派の犯行と見 られる爆弾事件が発生しており、今後の動向に注意する必要があります。

3. 誘拐事件の発生状況

(1)2010 年中、首都クアラルンプールを含む各地で、外国人が被害者となる身代金目的の誘拐事件が数件発生しており、 注意が必要です。

(2)2010 年 2 月、ボルネオ島に位置する東マレーシア・サバ州の島嶼において、マレーシア人 2 人が武装集団に誘拐さ れる事件が発生しました。2000 年 4 月及び 9 月にサバ州の島嶼に侵入した「アブ・サヤフ・グループ」による誘拐事件、 2003 年 10 月に同地域のリゾート施設に侵入した武装集団に労働者 6 人が誘拐される事件、2004 年 4 月にはサバ州の港に

- 28 -

おいてタグボートが襲撃され、マレーシア人など少なくとも 3 人が誘拐される事件が発生しました。

(3)マレーシア当局は、特にサバ州東海岸における警戒を強化しています。この地域はフィリピンやインドネシアとの国 境に近く、海岸線が長く警備にも限界があるため、同地域を訪れた日本人が被害に遭う可能性も排除できず、引き続き十 分な注意が必要です。

(4)また、2005 年 3 月には、マラッカ海峡において日本船籍のタグボートが海賊に襲われ、日本人の船長、機関長及び フィリピン人船員の合計 3 人が誘拐される事件が発生しています。

4. 日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、具体的なテロの情報はありませんが、日本を攻撃対象として名指しする声明がアル・カーイダ関係者と みられる者等により発出されている現状を考慮すれば、テロ攻撃等に伴う巻き添え等偶発的な被害に加え、攻撃の対象と される可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 29 -

【ミャンマー】 1.概況

(1)ミャンマーでは、少数民族武装組織がタイとの国境地帯に存在しているほか、反政府組織等が政府機関への攻撃や 爆弾を利用した無差別テロ事件等を起こしているとされ、一般市民も犠牲になっています。

(2)ミャンマー最大の都市ヤンゴン市内では、2011 年 4 月の新政権発足後においても散発的ながら反政府組織等によ るとされる爆弾事件が発生しました。また、首都ネーピードー及びその周辺では 2011 年 5 月から 6 月にかけ 3 回の爆弾 事件が発生しました。

2.各組織の活動状況及び各地域の治安情勢

(1)タイとの国境付近(シャン州南部、カヤー州、カレン州、モン州)には、カレン民族同盟(KNU) 、シャン州軍南部 方面軍(SSA-S)等の少数民族武装組織が存在し、これらの組織が爆弾テロ事件、バス襲撃事件等を起こしていましたが、 新政権との間で和平協議が行われています。

(2)反政府組織等としては、2010 年 4 月にヤンゴン市内で爆弾事件(死者 10 人、負傷者 168 人)を起こしたとされる 「強力ビルマ学生戦士(VBSW) 」 、2007 年 9 月の大規模デモを計画した「ビルマ民主フォーラム(FDB)の構成団体とされ ている「全ビルマ学生民主戦線(ABSDF)」 、イスラム系反武装勢力の「アラカン・ロヒンジャ民族機構(ARNO) 」等が存在 しているとされています。なお、ARNO とアル・カーイダ、ジュマ・イスラミーヤ等国際テロ組織との関連については明 らかになっていません

3.誘拐事件の発生状況

日本人を含めた外国人の誘拐事件については、現在までのところ発生していません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられますが、都市部においても爆弾事 件が発生しており、日本人が巻き込まれる可能性は否定できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 30 -

【モルディブ】 1.概況

モルディブは、穏健なイスラム国家であり、テロの脅威が低いとみられるものの、2007 年 9 月 29 日には、マレ市内に おいてイスラム過激派の犯行とみられる手製の小型爆弾(携帯電話を使用した遠隔操作式の爆弾)の爆破テロが発生し、 周囲にいた外国人 12 人(日本人 2 人、英国人 2 人及び中国人 8 人)が負傷するというテロ事件が発生しており、今後も テロ発生の可能性は否定できません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

親日国であり、日本人や日本の権益に対する直接的なテロが発生する可能性は低いと考えられます。しかし、特にマレ 市等都市部においては政情不安に起因する暴動やイスラム過激派によるテロ発生の可能性を否定できないことから、これ らに巻き込まれないようデモ活動をはじめ人の多く集まる場所に近づかないなどの配慮が必要です。

〈2011 年 12 月末現在〉

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 31 -

【モンゴル】 1. 概況

(1) モンゴルでは、過激な反政府組織の活動や国際テロ組織の活動は確認されておらず、また、現在までテロ事件やゲ リラ事件等は発生していません。

(2) モンゴルは、イラク等に軍隊を派遣していたこと、少数ながら国内にイスラム教徒が存在することなどから、イス ラム系国際テロ組織の標的になる潜在的な可能性は必ずしも否定できません。

2. 誘拐事件の発生状況

モンゴルでは、これまで外国人に対する誘拐事件は報告されておらず、また、モンゴル人を対象とした誘拐事件につい てもほとんど発生していません。

3. 日本人・日本権益に対する脅威

モンゴルでは、日本人に対する感情は比較的良好で、反日的な動きは見られませんが、日本人をはじめ外国人は「金持 ち」と見られていますので、常に犯罪者のターゲットとなっているという意識を持ち、注意を怠らないことが大切です。 また、中国人に対する反感が根強く、中国人に対する暴行事件等が日常的に発生しており、さらに、「ダヤール・モン ゴル」等一部の過激な国粋主義運動団体が、外国人(特に中国人)を排斥する活動を行っていますので、巻き添えになら ないよう注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 32 -

【ラオス】 1.概況

(1)2011 年中、ラオス政府がテロと公式に発表し、又はテロ組織から犯行声明のある事件の発生は確認されていませ ん。ラオス政府は過去に発生したあらゆる襲撃・爆発事件を政治的背景のない一般犯罪であるとしていますが、こうした 事件の多くは、実態が解明されておらず、今後とも十分な注意が必要です。

(2)ラオス国内で国際テロ組織や同組織に教育を受けたテロリストによるものとされるテロの発生は、報告されていま せん。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、ラオス国内では、外国人・ラオス人を問わず誘拐事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

ラオスにおける対日感情は良好で、現在までのところ日本人並びに日系企業及び日本語補習校等の日本権益を狙ったテ ロ事件は発生していません。 ただし、日本人は他の外国人同様、一般的に裕福と見られているため、ひったくりや空き巣等の一般犯罪の標的になり やすく、地域・ルートによっては、直接の標的でなくても襲撃事件や爆発事件に巻き込まれる可能性もありますので、今 後も十分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 33 -

【オーストラリア】 1.概況

(1)オーストラリアでは、近年、重大なテロ事件は発生しておらず、2011 年中もテロとみられる事件の発生はありま せんでした。

(2)しかし、2001 年 9 月の米国同時多発テロ事件以降、特に、アフガニスタン及びイラクにおける軍事行動にオース トラリアが参加した後は、国内外のオーストラリア権益がテロのターゲットになるおそれがあるとして警戒が強められ、 アル・カーイダ関係者を中心としたイスラム過激派の動向に注意が払われています。

(3)2002 年 10 月及び 2005 年 10 月に、インドネシア・バリ島で発生したイスラム過激派ジュマ・イスラミーヤ(JI) による爆弾テロ事件では、多数のオーストラリア人が犠牲となりました。また、2004 年 9 月には同国ジャカルタのオー ストラリア大使館をねらった爆弾テロ事件が発生しさらに、2009 年 7 月には、ジャカルタ市内中心部にある 2 つのホテ ルで連続爆弾テロ事件が発生、複数のオーストラリア人が犠牲となりました。これらのテロ事件の発生を受けて、オース トラリアはインドネシア当局の捜査に積極的に協力するとともに、オーストラリア国内におけるテロ対策を強化し、自国 内での同様のテロ事件の発生防止に努めています。

(4)こうした中で、2005 年、2006 年及び 2009 年には、シドニーとメルボルンで捜査当局による大規模な摘発が行われ、 国内在住のイスラム過激派組織メンバー合計 26 名がテロを計画した容疑で検挙されました。このほか、海外のテロ組織 の軍事キャンプでの訓練に参加したとして当局に検挙されたオーストラリア人もおり、テロ組織の宣伝に感化された者が、 国内でテロを敢行することが懸念されています。

(5)なお、オーストラリア政府は国内におけるテロの脅威を「最高位」 、 「高位」 、 「中位」 、 「低位」の 4 段階に分けて評 価し、テロ対策の準備の目安となるテロ脅威警報制度を設けてこれを公表しています。現在の警報レベルは、 「中位」 (テ ロ攻撃が発生し得る)と位置付けられており、2001 年 9 月の米国同時多発テロ事件以降、一度も変更されていません。

2.誘拐事件の発生状況

オーストラリアでは誘拐事件の発生件数は少なく、近年の外国人を標的とする身代金目的誘拐事件については、2009 年 10 月にシドニーで中国人少年を被害者とする事件が 1 件発生したことが確認されています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐等の脅威は特に認められません。 しかしながら、アル・カーイダを始めとするイスラム国際テロ組織がオーストラリアへのテロ攻撃の可能性を示唆して いることに加え、国内のイスラム過激派によるテロ計画の存在が明らかになったことがあることを考慮すると、不測の事 態が発生する可能性は否定できず、大勢の人が集まる場所では警戒する、周囲の状況に注意を払うなど、安全確保に十分 留意する必要があります。 また、オーストラリアでは環境問題への関心が高く、2011 年も引き続き、環境保護を標榜する団体が南極海において 日本の調査捕鯨船団に対し、執拗な妨害活動を展開しました。抗議活動の現場には近づかない、抗議団体が会社などを訪 れ、抗議活動を受けた場合には、冷静に対応するとともに警察に通報するなど、十分な注意が必要です。また、捕鯨に関 する報道に触発された者による嫌がらせなども懸念されます。

<2011 年 12 月末現在>

- 34 -

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 35 -

【キリバス】 1.概況

キリバスでは、反政府組織の活動や国際テロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

政治・営利目的の犯罪は極めて少なく、誘拐事件の発生はほとんどないものとみられています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 36 -

【サモア】 1.概況

サモアでは、テロ組織及び反政府武装勢力の存在は確認されておらず、国外のテロ組織と関連を有している勢力の存在 も確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2010 年の統計によれば、誘拐事件は発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は確認されていません。また、2011 年中、日本人・日本権益をねらった事件は発生し ていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 37 -

【ソロモン】 1.概況

ソロモンでは、2003 年 9 月、アル・カーイダと関係があると疑われた人物が強制退去させられましたが、その理由は 不法滞在とされており、同人物のテロ活動への関与については明らかにされていません。また 2005 年 8 月、インドネシ ア系イスラム過激派組織がソロモン諸島の青年らをインドネシアでの違法訓練キャンプに勧誘しているとの報道があり ましたが、事実関係は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

現地警察によると、2003 年 7 月のソロモン諸島地域支援ミッション(RAMSI)の駐留以降、誘拐事件は確認され ていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は特に認められません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの で あり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 38 -

【タヒチ】 ※「タヒチ」とは、多くの島からなる仏領ポリネシア(フランスの海外領土)の主島の名前です。以下の記述は仏領ポリ ネシア全体に関するものですが、地域名については便宜上「タヒチ」と表記しています。

1.概況

タヒチ(仏領ポリネシア)では、反政府組織や国際テロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロの脅威が高いとは見られていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外安全邦人協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 39 -

【ツバル】 1.概況

ツバルでは、反政府組織の活動や国際テロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

政治・営利目的の犯罪は極めて少なく、誘拐事件の発生はほとんどないものとみられています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 40 -

【トンガ】 1.概況

トンガでは、反政府組織の活動や国際的なテロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

一般犯罪の増加はみられるものの、誘拐事件の発生はほとんどないとされています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は高くないと見られています。しかしながら、都 市部を中心として中国系移民が多く、一部のトンガ人はこれら移民に対し、概して商売敵として反感を持っていると見ら れることから、日本人が中国人に間違われて被害にあうなど、トラブルに巻き込まれることもあります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 41 -

【ナウル】 1.概況

ナウルでは、反政府組織の活動や国際テロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

政治・営利目的の犯罪は極めて少なく、誘拐事件の発生はほとんどないものとみられています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 42 -

【ニューカレドニア】 1.概況

ニューカレドニアでは、反政府組織や国際的なテロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロの脅威が高いとはみられてはいません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 43 -

【ニュージーランド】 1.概況

(1)国際テロ組織

ニュージーランド国内には、国際テロ組織及び国外のテロ組織とつながりを有する勢力はないとされています。

(2)国内テロ組織

2007 年 10 月、 ニュージーランド警察は、 マオリ系トゥホエ部族の独立を標榜する活動家やアナーキスト活動家などが、 軍事訓練などを行い、政府要人に対するテロを企図していたとの情報を入手したことから、銃器不法所持罪等で同活動家 17 名を逮捕しました。ニュージーランド警察は、同活動家に対して、テロ活動抑止法を適用しようとしましたが、検事 総長は適用基準を満たしていないとして見送りました。このため、本件は同法との関係ではテロリストとは認定されませ んでしたが、ニュージーランド警察が初めて国内のテロリストの存在を認めたことは、国内外に大きな反響を呼びました。

2. 各組織の活動状況又は各地域の治安情勢

報道によれば、マオリ系トゥホエ部族の独立を標榜する活動家は、ベイ・オブ・プレンティ地域(北島の中部)の山中 で軍事訓練を行っていたとの情報が確認されていますが、具体的なテロ行動は実行していません。

3.誘拐事件の発生状況

ニュージーランドでは 2010 年 7 月 1 日から 2011 年 6 月 30 日までの 1 年間に 258 件(前年比+8.4%)の誘拐事件が発生 していますが、日本人の被害は発生していません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

テロとの関連はみられませんが、報道によれば、2009 年 7 月、人種差別が原因で日本人学生が暴行を受ける事件が発 生しているほか、日本の調査捕鯨に関連して反捕鯨団体・活動家による抗議行動、脅迫電話などが発生しており、同活動 家から日本人というだけで攻撃の標的とされる可能性もあるため、注意を要します。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 44 -

【バヌアツ】 1. 概況

バヌアツでは、反政府組織の活動や国際テロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

一般犯罪の増加は見られるものの、誘拐事件の発生はほとんどないとされています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いと見られます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 45 -

【パプアニューギニア】 1.概況

パプアニューギニアの治安当局が把握するところでは、同国においてテロ組織や全国規模の反政府勢力は存在せず、関 連組織を含むネットワークの存在も確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

(1)パプアニューギニアでは、近年まで身代金を目的とする誘拐事件はほとんど発生していませんでした。しかし、2007 年に首都ポートモレスビーで 3 件の誘拐事件発生が報じられて以降、2008 年以降はポートモレスビーだけにとどまらず 全国で事件が発生し、2009 年にも 13 件の誘拐事件が発生しています。治安当局は巧妙化する誘拐事件に対する捜査能力 を有していないとみられ、多くの身代金目的の誘拐事件の犯人は捕まっていりません。

(2)また、警官へのなりすましや、女性に対し輪姦をした上でキャッシュカードを奪い、数カ所のATMで現金を引き 出す((注)1 カ所では引き出し限度額制限があるため数カ所を回る。 )等の短時間誘拐も多発しています。2010 年には、 マダンにて外国の親善大使(女性)が強姦目的で誘拐されるという事件も発生しています。

(3)2010 年及び 2011 年には外国人や富裕層をターゲットとした誘拐事件は報道されませんでしたが、今後も都市部へ の人口の流入に伴って誘拐事件の増加の可能性があるため注意が必要です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

一般にパプアニューギニア国民の対日感情は概ね良好であり、日本人・日本人権益を直接目標とした脅威は認められま せん。しかしながら、今後は経済格差の拡大を背景に日本人を含む外国人が誘拐のターゲットとなる可能性は否定できな いため、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 46 -

【パラオ】 1. 概況

パラオは人口2万人弱の小島嶼国であり、大半の国民は相互に何らかの血縁関係で繋がっていることから、テロ組織を 支援するような土壌はなく、テロ脅威は低いとみられていますが、近隣諸国からの外国人労働者が入国・居住しており、 これらの動きに今後も注視する必要があると思われます。

2. 誘拐事件の発生状況

これまでに誘拐事件発生の報告例はなく、今後も発生の可能性は低いと見られています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

パラオでは日本人・日本権益を標的としたテロ・誘拐発生の可能性は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 47 -

【フィジー】 1. 概況

フィジーでは過激な反政府組織の活動や国際テロ組織の活動は確認されていませんが、オーストラリアや米国からの観 光客が多数訪れていること等を考慮すると、国内で外国人を対象とするテロが発生する可能性も否定できません。

2. 誘拐事件の発生状況

身代金目的や外国人を標的とした誘拐事件は確認されていません。

3. 日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威の可能性は低いと考えられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 48 -

【マーシャル】 1.概況

マーシャル諸島共和国では、反政府組織や国際的なテロ組織による活動が確認されたことはありません。

2.誘拐事件の発生状況

これまでに誘拐事件は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威度は低く、その可能性は少ないと思われます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 49 -

【ミクロネシア】 1.概況

ミクロネシア連邦では、反政府組織や国際テロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生報告はありません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を標的としたテロ・誘拐が発生する可能性は低いとみられますが、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 50 -

【アメリカ合衆国(米国) 】 1.概況

(1)2001 年 9 月のいわゆる「9.11 同時多発テロ事件」以降、米国においては、イスラム過激派組織、特に、アル・カー イダによる「国際テロ」が当面の最大の脅威になっています。2009 年 12 月に、 「アラビア半島のアル・カーイダ」と関 連を有すると見られるナイジェリア国籍の男がアムステルダム発デトロイト行きの旅客機を爆破しようとする事件が発 生したことに続き、2010 年 5 月には、ニューヨーク市の繁華街タイムズ・スクエアで爆弾テロ未遂事件が発生しました。 ニューヨークでの事件の犯人は、「パキスタン・タリバン運動(TTP)」と関連を有するとみられています。2011 年には、 5 月にアル・カーイダの指導者で「9.11 同時多発テロ事件」その他多くのテロ事件の首謀者とされるウサマ・ビン・ラー ディンが殺害されるなどしましたが、アル・カーイダ全体としてみた場合、依然テロの脅威は存在しているといわれてお り、引き続き警戒が必要です。

(2)米国では、米国籍者あるいは米国永住権保持者等で、 「グローバル・ジハード思想」に共鳴したいわゆる「ホーム・ グローン・ジハーディスト」によるテロの脅威が年々高まっていると言われています。上記の 2010 年 5 月のニューヨー ク市タイムズ・スクエアでの爆弾テロ未遂事件は、パキスタン系米国人による犯行でした。また、2011 年、連邦捜査局 (FBI)は、シアトル、ワシントン DC 等においてテロを計画した容疑で、米国内で過激化したテロリストを逮捕しました。

(3)そのほか、特殊権益保護派(動物愛護や環境保護等を唱える過激派等)、右翼過激主義者グループ(白人優越主義 過激派等) 、左翼過激主義者グループ等によるいわゆる「国内テロ」についても、引き続き警戒が必要です。

(4)なお、米国国土安全保障省は、従来の色別脅威レベル表示システムに代わる新たなシステムとして、「国家テロ勧 告システム」を導入しました。このシステムは確度の高いテロ脅威情報が存在する場合にアラートを発出するもので、現 時点ではアラートは発出されていませんが、テロの脅威は決して低くないとみられ、十分な注意が必要です。

2.誘拐事件の発生状況

メキシコの薬物を巡る治安情勢悪化に伴い、メキシコとの国境付近の州を中心に、その他の州においても、多数の誘拐 事件が発生しているとの報告があります。

3.日本人・日本権益に対する脅威

テロ組織等が米国内において日本人・日本権益を直接のテロの対象にする可能性は必ずしも高くないものと見られます。 しかし、巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性にも注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 51 -

【北マリアナ諸島】 ※「サイパン」とは、フィリピン東方、小笠原諸島南方に位置する北マリアナ諸島(米国自治領)の主な島の名前であ り、他にテニアン島、ロタ島などがあります。以下の記述は北マリアナ諸島全体に関係するものですが、地域名について は便宜上「サイパン」と標記しています。

1.概況

これまでにサイパン(北マリアナ諸島)におけるテロ事件、テロ組織の存在は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、テロリスト関連、あるいは身代金目的等誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロ・誘拐に対する脅威度は低いとみられています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 52 -

【グアム】 1.概況

これまでグアムでのテロ事件の発生は確認されていません。現時点では、テロの手段を用いる反政府組織や国際テロ組 織の存在、活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

これまで外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を標的としたテロ・誘拐に対する脅威度は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 53 -

【ハワイ】 1.概況

ハワイでは、テロ組織の存在や活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、ハワイでは、誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を標的としたテロ・誘拐事件に対する脅威度は低いとみられています。

<2011 年 12 月現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 54 -

【カナダ】 1.概況

(1)カナダは、イスラム過激派によって攻撃対象に挙げられています。また、アフガニスタンでは自爆テロ等によって 160 人以上のカナダ人が死亡しています。 また、国内外においてカナダ国籍を有するイスラム過激派メンバーや支援者が多数逮捕されるなど、カナダが米国等を 対象とするテロ活動の中継国となっていることを示唆する事案が起きています。

(2)更にカナダでは、移民第二、第三世代によるいわゆる「ホームグローン・テロ」に対する危機感が一層高まってお り、2006 年には、カナダ連邦議事堂などを標的とした爆弾テロ計画により、アル・カーイダ思想に傾倒する移民第二世 代を中心とする 18 名(少年を含む)がトロント郊外で逮捕されています。 政府高官が、テロ組織によるメンバーのリクルート活動やカナダの若者によるジハードの実行に懸念を示すなど、ホーム グローン・テロ対策はカナダ政府の最重要課題の一つとなっています。

(3)カナダは多くの難民を受け入れており、テロリストが難民に紛れ込んで入国する可能性も懸念されることから、カ ナダ政府は警戒しています。

(4)2001 年の米国同時多発テロ事件の後、カナダ政府は、 「テロ対策法」を制定するとともに公共安全省を創設し、そ れまで複数の省庁に分散していた安全保障及び危機管理の対応を一元化しました。現在、 「テロ対策法」によってテロリ ストとして指定されたグループは、アル・カーイダをはじめ 44 団体を数え、2011 年には、パキスタン・タリバン運動(TTP) が追加されました。

2.誘拐事件の発生状況

カナダでは、近年、テロリストや犯罪組織による誘拐事件或いは政治的背景のある誘拐事件は把握されていません。警 察の発表した誘拐事件発生件数は、2010 年については 446 件(前年比+11 件)でした。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現時点で、日本人・日本権益に対する具体的な脅威情報はなく、また、カナダを直接の標的とするテロの具体的な情報 も把握されていません。 しかし、2010 年に銀行 ATM が爆破される事件が発生したほか、過去にはカナダの連邦政府機関等を狙った爆弾テロ計 画も発覚しており、カナダがテロ活動の標的となる可能性は十分あります。カナダはイスラム過激派から攻撃対象とされ ている現状を考慮すれば、カナダにおいて、日本人・日本権益が巻き添え被害を受ける可能性も排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 55 -

【アルゼンチン】 1.概況

(1)2001 年の米国における同時多発テロ事件以降、国際テロ組織の動向に対する関心が高まる中で、それら組織の一 部が南米所在のテロ組織等と関係を有しているとの見方も存在し、アルゼンチン国内でのテロ活動に結びつく可能性も否 定できません。

(2)アルゼンチン、ブラジル及びパラグアイが国境を接するいわゆる三国国境地帯には、過激派組織を支援するイスラ ム系住民が存在し、テロ資金の収集・送金を行っているとの報道もあり、注意が必要です。特に、パラグアイ側のシウダ・ デル・エステ市及びブラジル側のフォス・ド・イグアス市では、日常的に武器の売買が行われ、これら組織と関係がある とされる人物の存在も指摘されています。同地帯は出入国が比較的容易なため、テロリストにとっても移動が容易である とみられています。

(3)アルゼンチンでかつて活動していた左翼系のテロ組織は、1980 年代前半まで続いた軍事政権時代に徹底した取締 りを受け壊滅状態にあり、テロ事件を引き起こす可能性は低いと考えられています。

(4)なお、過去に発生したテロ事件としては、1992 年及び 1994 年の首都ブエノスアイレス市におけるイスラエル大使 館等の爆破事件があります。また、2011 年 10 月にはブエノスアイレス市の外交団施設に対するテロ計画が存在した可能 性について報道されました。

2.誘拐事件の発生状況

アルゼンチンでは、犯人グループが事前に綿密な計画を練り、富裕層にねらいを絞り、被害者を長期間拘束する従来型 の誘拐よりも、いわゆる「短時間誘拐」の誘拐事件全体に占める割合が高くなっています。これは、被害者を一時的に拘 束し ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた上で、入手後に解放するもので、誘拐の計画性が乏しく、被害金額 も比較的少額の場合が多い反面、誰もが被害者になる可能性があるという特徴があります。報道では、2011 年には外国 人を標的とする身代金目的誘拐事件の発生は確認されていませんが、油断せずに注意する必要があります。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は高いとはみられていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 56 -

【アンティグア・バーブーダ】 1.概況

アンティグア・バーブーダでは、テロ組織の存在は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は、ほとんど確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 57 -

【ウルグアイ】 1.概況

(1)ウルグアイでは、2011 年にテロ事件が発生したとの報告はありません。同国では、1960 年代後半から 1970 年代前 半まで、共産系武装革命組織トゥパマロスが政府、外交団等の要人の誘拐、銀行襲撃等のテロ活動を活発に展開していま したが、軍によって同組織が一掃されて以降、テロ事件が発生したとの報告はありません。

(2)現時点では、一部の若者を中心とした小規模な反政府運動が見られるものの、テロ組織や大規模な反政府組織の活 動は確認されておらず、今後もテロ事件発生の可能性は低いと考えられます。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件は年間に数件発生しています。被害者を一時的に拘束し、ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させ、入 手後解放するいわゆる短時間誘拐事件が発生しており、注意が必要です。なお、外国人を標的とした誘拐事件の発生は確 認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 58 -

【エクアドル】 1.概況

(1)エクアドルでは、2009 年以降、民放テレビ局、教育省、グアヤキル大学等で複数の爆弾事件が発生しています。 いずれも犯行団体は判明していませんが、政府の各種方針に反対して実行されたものとして、警察は捜査しています。こ れらの爆弾事件による死傷者は発生していませんが、死傷者を発生させる威力を持った爆弾が使用されています。

(2)コロンビアとの北部国境付近では、依然としてコロンビア革命軍(FARC)や民族解放軍(ELN)の勢力の浸透が認 められ、殺人、誘拐等の凶悪犯罪を敢行するなど地域の治安に深刻な影響を与えています。また、これらゲリラ組織の構 成員が、資金洗浄、武器調達、休養及び病気治療の目的でエクアドル国内各所に潜入・潜伏しており、エクアドル治安当 局は警戒を強めています。

(3)現在まで、エクアドル国内にはアル・カーイダ等イスラム過激派組織の存在は確認されていません。

2.各組織の活動状況

(1)エクアドル青年革命団(JRE)

学生等を中心とした社会主義的革命思想及び反体制色の強い集団で、2009 年以降、高等教育法改正に反対し、教員組 合のストライキ支援や大学・街頭におけるデモ活動を行っています。しかし実際には軍事路線を指向しており、過去には 爆発物を製造しているほか、一部構成員の FARC との繋がりも確認されており、政治情勢によっては武装闘争を開始する 可能性もあるとして当局は警戒しています。

(2)人民戦士団(GCP)

GCP は毛沢東主義を信奉する反体制組織であり、表面的には街頭活動を中心としていますが、政治情勢の不安定に乗じ て社会不安をあおり反政府の機運を盛り上げるため、爆弾事件等のテロ活動も行っています。 2005 年から 2006 年にかけては、特に「対米 FTA 交渉反対」を訴えキト市内及びグアヤキル市内において散発的に同時 多発パンフレット爆弾事件を敢行するなど積極的に活動しましたが、2007 年以降は爆弾事件を敢行していません。

(3)人民革命民兵組織(MRP)

反体制と反米を標榜し、2002 年頃から都市部を中心とした爆弾テロを活発化させていましたが、2005 年以降は同組織 名による爆弾事件等は発生していません。当局は、同組織は 15 名程度の学生や一部社会人からなる小規模集団である一 方、爆発物を路上、公園等不特定多数の集まる場所に設置して無差別攻撃を行う傾向が強いとして引き続き警戒していま す。

3.誘拐事件の発生状況

エクアドルでは、2011 年(上半期)に 841 件の誘拐事件が発生しました。その約 8 割はグアヤキル市やキト市といっ た都市部において、タクシーを使って身代金目的で行われる「短時間誘拐」で、過去には日本人の被害も発生しています。 スクンビオス県、カルチ県、エスメラルダス県等北部のコロンビアとの国境地帯では、隣国コロンビアのゲリラ勢力によ る誘拐事件も発生しており、十分警戒する必要があります。

- 59 -

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、エクアドル国内の過激派各組織が特に日本人・日本権益を標的としたテロを敢行する意図は有して いないと見られます。しかし、GCP によるパンフレット爆弾攻撃は、イスラム過激派等が使用する爆弾に比べ爆発力は低 いものの、その設置場所はいずれも一般市民が多く集まるショッピングセンター前等の路上であり、爆発に巻き込まれた 場合、死傷者を発生させる威力を有しています。MRP については、特に反米色が強いため、米国の外交姿勢次第では、米 国と政治的・経済的に関係の深い日本人・日本権益を標的とする可能性も否定できません。 また、2011 年中には日本人が被害となる誘拐事件の発生は短時間誘拐を含めてありませんでしたが、2010 年には日本 人が被害者となる短時間誘拐事件も複数発生しています。エクアドルにおいて日本人は裕福と見られていますので、身代 金目的誘拐の被害に遭わないよう日頃から十分な注意と対策が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 60 -

【エルサルバドル】 1.概況

(1)エルサルバドルにおいては、2011 年中に反政府組織の活動や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認されていませ ん。

(2)近年、犯罪組織による脅迫が増加しており、要求に応じない店舗等に対し手榴弾を使用した爆破事件が発生してい ます。

(3)2010 年 6 月 20 日、サンサルバドル県メヒカーノス市において、乗客が乗ったマイクロ・バスが複数の犯人により 放火されました。犯行グループは運転手及び乗客数名を銃で殺害した後、マイクロ・バスに放火し、17 名が死亡、6 名が 負傷しました。また、その事件発生のほぼ同時刻に、同市において、別のマイクロ・バスへの襲撃事件が発生し、3 名の 乗客が銃殺されました。フネス大統領は記者会見において、両事件を単なる犯罪組織間による抗争ではなく、「テロ行為 に等しい」と発表しました。

2.各組織の活動状況

(1)左翼勢力の統一ゲリラ組織である「ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)」は、1992 年の内戦終結・和 平合意に伴い、合法政党化され、政治的に目的を達成する方向に路線変更しました。その後、一部の残党によるテロ活動 はありましたが、それらのグループも衰退の一途をたどり、1997 年以降は政治目的の誘拐及び襲撃などのテロ行為やテ ロを計画する動きは報告されていません。

(2)エルサルバドルでは殺人の約 60%に青少年凶悪犯罪集団「マラス」が関係していると言われています。国内のマ ラス構成員は推定 28,130 人で、全 14 県にて活動が確認されています。

3. 誘拐事件の発生状況

エルサルバドルでは、国家文民警察(PNC)の誘拐組織撲滅に向けた計画が功を奏し、誘拐事件発生件数は減少傾向に あります。しかし、外国人が誘拐された事件も発生しており、日本人が対象になる可能性も否定できません。また、短時 間誘拐(被害者を一時的に拘束し、ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた上、解放する)が当国においても発生 しており、年々増加傾向にあることから、併せて注意が必要です。

4. 日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を対象にしたテロや誘拐の脅威は高いとは見られていません。しかしながら、武 装集団による誘拐等の凶悪犯罪は首都のあるサンサルバドル県を中心に依然国内各地で発生しており、これらに対する十 分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011

- 61 -

年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 62 -

【ガイアナ】 1.概況

(1)ガイアナでは、テロ組織の存在は確認されていません。

(2)しかし、2007 年 6 月にはニューヨーク JFK 国際空港を狙ったテロ計画が発覚し、ガイアナの元国会議員を含む 4 人 の容疑者が逮捕されました。主犯格はガイアナ出身の JFK 空港元職員であり、イスラム過激派の影響を強く受けていまし た。今後、ガイアナ国内においてもテロが発生する危険性は否定できません。

(3)近年、治安当局は、統治が及びにくい内陸部や沿岸・近海における監視と犯罪取締りを強化しており、同地域で多く の爆弾や武器などが不法に取引されている実態を明らかにしています。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は、ほとんど確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人又は日系企業等の施設・財産を標的としたテロや誘拐の可能性は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 63 -

【キューバ】 1.概況

(1)キューバでは、特筆すべきテロ組織は把握されておらず、1997 年のホテル爆破事件、2003 年のマイアミへ亡命し ようとしたキューバ人によるハイジャックやシージャック事件以来、テロ事件の発生は確認されていません。 テロ未遂事件については、1998 年に爆発物持ち込み事件等 3 件が検挙されたほか、2001 年には有名観光地の襲撃を目 的としてキューバに潜入した武装テロリスト(亡命キューバ人)3 人が検挙されています。

(2)キューバ国内には、現政権に異をとなえる複数の反体制組織が存在しますが、キューバ当局の厳しい取締りにより、 政権を脅かすほどの勢力を有していません。 なお、米国には、120 万人以上の亡命キューバ人が在住していると言われており、キューバ国外には亡命キューバ人で 構成される反キューバ政府団体が存在します。

2.誘拐事件の発生状況

キューバでは、誘拐事件数が公表されていないため、誘拐事件の発生状況を正確に把握することは困難です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 64 -

【グアテマラ】 1.概況

グアテマラでは 1996 年の和平協定締結以降、反政府組織の活動や国際的なテロ組織の細胞組織の活動は確認されてい ませんが、一般犯罪を含め治安は悪化しており、犯罪組織による殺人、強盗、誘拐などの凶悪事件が頻発しています。

2.誘拐事件の発生状況

(1)国家文民警察によると、2011 年の誘拐事件発生件数は 124 件(2010 年は 133 件、2009 年は 162 件、2008 年は 182 件)と高止まりしています。いずれも反政府組織やテロ組織による犯行ではなく、主に身代金や復讐を目的としたもので す。従来、身代金目的誘拐の場合には、身代金を支払えば人質が解放されましたが、最近は身代金を支払っても人質が解 放されず殺害されるケースも発生しています。

(2)これまで誘拐の被害者は富裕層が主でしたが、富裕層は誘拐に対し様々な対策を取るなど警備を強化したため、近 年では被害者が富裕層以外にも広がっています。また、被害者を一時的に拘束し ATM(現金自動預払機)等で現金を引き 出させた上で解放する短時間誘拐も多発しています。

(3)誘拐事件は、グアテマラ県、サカテペケス県アンティグア市、ケツァルテナンゴ県、エスクイントラ県、サンタロ サ県で多発しています。

3.日本人及び日本の権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本の権益に対するテロは発生しておらず、脅威は低いものとみられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 65 -

【グレナダ】 1.概況

グレナダでは、テロ組織の存在は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は、ほとんど確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 66 -

【コスタリカ】 1.概況

コスタリカにおいて、顕著な活動を行っている組織及びテロ事件については確認され ていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年において 10 件の誘拐事件が発生したとされていますが、警察当局においても実態は把握できておらず、実際は これより多いと考えられています。10 件の事件の内訳としては身代金目的誘拐が 3 件で、残りの 7 件は麻薬グループ同 士のトラブルによって発生したものです。身代金目的誘拐ではコスタリカ人の富裕層が狙われやすい傾向にありますが、 国籍を問わず富裕層は狙われる可能性があります。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いと見られています。しかし、コスタリカに は年間 80 万人以上の米国人が観光等のため訪れることから、米国及び米国権益に対するテロの可能性全てを否定できず、 日本人が巻き添えになるなど偶発的な被害を被ることも考えられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 67 -

【コロンビア】 1.概況

(1)コロンビアでは、主要左翼系反政府組織として「コロンビア革命軍(FARC)」と「国民解放軍(ELN)」の二大勢力 が存在し、全国でテロ活動を展開しています。また、パラミリタリーと呼ばれる極右非合法武装集団は、政府との交渉の 結果、ほとんどが武装放棄しましたが、和平プロセスに参加しなかった少数グループ等が新興非合法武装組織として、殺 人、誘拐、恐喝等の違法行為を行っています。

(2)前ウリベ政権(2002 年~2010 年)及び現サントス政権が推し進める治安対策の結果、テロ事件発生件数は年々著 しく減少する傾向にあり、顕著な治安改善が認められます(2002 年:1,645 件、2003 年:1,258 件、2004 年:724 件、2005 年:612 件、2006 年:646 件、2007 年:387 件、2008 年:486 件、2009 年:489 件、2010 年:471 件、2011 年:451 件(10 月末) ) 。しかしながら、治安当局の人員数が少ない中小都市の山間部や過疎地域におけるテロの脅威は、高い状態にあり ます。

(3)FARC は、メキシコや中米諸国の反政府組織及びペルー(「センデロ・ルミノソ(SL)」及び「トゥパク・アマル革 命運動(MRTA) 」) 、アルゼンチン、エクアドル等の南米諸国の反政府組織との関係が深いとされていました。これに加え、 コロンビアの治安当局は、FARC がテロ攻撃に用いた武器等を分析した結果として、 「北アイルランド共和軍(IRA) 」及び 「バスク祖国と自由(ETA) 」との関連性についても指摘しています。

(4)これまでのところ、アル・カーイダ等の国際テロ組織の活動は確認されていませんが、過去には FARC がイスラム 教シーア派組織ヒズボラと連絡を取り合っていたことが確認されています。

2.各組織の活動状況又は各地域の治安情勢

(1)コロンビア革命軍(FARC)

FARC は当初、ソビエト社会主義の影響を受けて誕生したコロンビア最大の左翼武装勢力です。治安当局による取締り 強化によって、以前に比べるとその勢力は半減し、都市部から地方へ撤退しているものの、依然一定レベルの勢力を有し ています。FARC は、誘拐、恐喝等資金獲得のための違法行為だけではなく、軍、警察等の治安部隊や政治家を狙った爆 弾テロ、襲撃、及び橋や道路爆破等を狙った爆弾テロを行っています。 2011 年は、アラウカ県、アンティオキア県、ウイラ県、カウカ県、カケタ県、トリマ県、ナリーニョ県、ノルテ・デ・ サンタンデール県、バジェ・デル・カウカ県、プトマジョ県、ボゴタ首都区等において活動が見られました。 現在は組織が弱体化しつつありますが、今後、テロを一時的に活発化させることでその存在を社会に誇示し、組織の再 構築を図ることも予想されますので、引き続き注意する必要があります。

(2)国民解放軍(ELN)

親キューバの左翼武装勢力で、FARC に比べると戦力・資金力ともに劣り、弱体化しつつあるものの、誘拐、治安当局 に対する攻撃、都市部における爆弾事件、エネルギー関連施設やインフラ施設の破壊等非合法活動を繰り返しています。 2011 年中は、アラウカ県、アンティオキア県、ノルテ・デ・サンタンデール県等において活動が見られました。 市民グループやスペイン、スイス、ノルウェー等の交渉促進を受け、2005 年 12 月からキューバのハバナにおいて政府 との会合を行ってきましたが、停戦方法について合意が得られなかった経緯があります。現在も ELN は和平交渉を模索し ているとも言われていますが、その見通しは不明です。

- 68 -

(3)新興非合法武装組織(Bandas Criminales)

パラミリタリーのうち、和平プロセスに参加しなかったり、或いは、武装放棄したものの社会復帰できなかった少数組 織が新たに結成した犯罪組織で、引き続き殺人、誘拐、恐喝等の違法行為を行っています。 2011 年は、アンティオキア県、コルドバ県、バジェ・デル・カウカ県、サンタンデール県、メタ県等において活動が 見られました。

3.誘拐事件の発生状況

前ウリベ政権(2002 年~2010 年)及び現サントス政権では、警察官の街頭配置等によってゲリラによる違法検問への 対策が強化され、また誘拐対策として必要な資機材が配備されました。誘拐発生件数は、2005 年から 2009 年まで減少し ましたが、2010 年には再び増加しています(2005 年:800 件、2006 年:687 件、2007 年:521 件、2008 年:437 件、2009 年:213 件、2010 年:282 件、2011 年:249 件(10 月末) ) 。また最近は、 「パセオ・ミジョナリオ」と言われる短時間誘 拐(被害者を一時的に拘束し、ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた後、解放するもの。)の発生も報告されてお り、注意が必要です。 日本人の誘拐被害については、2010 年 3 月に、カリ市郊外で農園業を営む日本人男性(移住者)が FARC によって誘拐 されています(同年 8 月、男性は治安当局によって身柄を保護。 ) 。今後も日本人が誘拐の標的となる可能性は排除できず、 引き続き十分な注意が必要です。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、コロンビアの反政府組織が日本人・日本権益を直接の標的にしているという具体的なテロの情報に は接していませんが、これらの反政府組織は、コロンビアに居住する全住民に対する脅威であり、日本人も爆弾テロや襲 撃等に巻き込まれる可能性は排除されません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 69 -

【ジャマイカ】 1. 概況

ジャマイカでは、これまでテロ事件の発生はなく、イスラム過激派組織をはじめとする国際的なテロ組織や反政府組織 等の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

治安当局によれば、2011 年中に発生した誘拐事件は 7 件でした。しかし、同年の行方不明者認知件数が約 2、000 名で あることを考えれば、認知されている誘拐事件発生件数は「氷山の一角」に過ぎないとも言われています。 発生した誘拐事件は、自国民の富裕層子女やビジネスマンを標的とした身代金目的の誘拐が殆どであり、日本人を含む 外国人が被害に遭ったケースはありませんでした。しかし、過去には米国人女性や日本人観光客女性が性犯罪目的で拉致 される事件も発生しており、身代金目的に限らず外国人を対象とする誘拐事件の発生が十分に考えられますので、引き続 き注意が必要です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人を標的とした誘拐や日系企業等の施設或いは財産を標的としたテロの可能性は低いと考えら れますが、ジャマイカにある欧米諸国の施設等に対するテロが発生した場合には巻き添え被害を受ける可能性は排除でき ません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 70 -

【スリナム】 1.概況

(1)スリナムでは、国際テロ組織の存在や活動は確認されていません。

(2)一方、スリナムには、「ジャングル・コマンド」と呼ばれているマルーン(オランダ植民地時代に内陸部に逃亡し たアフリカ系住民)や先住民等内陸部の住民組織が存在します。これらの組織は過去にたびたび反政府行動を起こしてい ることから、テロ行為が発生する可能性は排除されず、動向に注意を払う必要があります。

(3)スリナムは、近隣国で生産される麻薬の欧州等への搬出ルートとなっているほか、国内奥地はコロンビアゲリラに よる麻薬や武器取引の場となっている模様で、このゲリラに関係する複数の組織がスリナム国内で活動していると言われ ています。

(4)近年では、海岸沿いで海賊が出没し、漁船等が被害に遭う事件が散発しています。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は、ほとんど確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 71 -

【セントクリストファー・ネーヴィス】 1.概況

セントクリストファー・ネービスでは、テロ組織の存在は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は、ほとんど確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 72 -

【セントビンセント】 1.概況

セントビンセント及びグレナディーン諸島では、テロ組織の存在は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は、ほとんど確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 73 -

【セントルシア】 1.概況

セントルシアでは、テロ組織の存在は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は、ほとんど確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 74 -

【チリ】 1.概況

(1)チリでは、FPMR(マヌエル・ロドリゲス愛国戦線) 、MIR(左翼革命運動) 、MJL(ラウターロ青年運動)等の左翼武 装勢力が主要なテロ組織として存在し、過去においてピノチェット軍事政権打倒を第一目標として過激なテロ活動を展開 してきました。しかし、1990 年の民政移管によって、これら組織のテロ活動はその目的を失ったために沈静化し、現在 ではこれら組織によるテロ活動はほとんど見られなくなりました。

(2)ただし、ピノチェット軍事政権時代にテロ組織によってチリ国内へ持ち込まれたとされる大量の武器は、その一部 が 2002 年 8 月に警察に押収されていますが、その残りが現在でも国内各地に隠匿されていると見られており、注意が必 要です。

(3)現在のところテロ活動がかつてのごとく激化する可能性は少ないと見られていますが、2005 年以降、反政府主義 者による政府関係機関、治安機関、銀行等を標的とした小規模爆弾事件(未遂及び虚偽を含む。)が散発的に発生してお り、 2011 年だけでも 34 件発生しています。 チリで発生する爆弾事件は人的被害を目的としていないケースが多いものの、 発生場所周辺に居合わせれば怪我等の被害を被る危険もあり、注意が必要です。爆弾被害に巻き込まれないためにも、特 に深夜の外出は避けるとともに、不審な鞄や消火器等を見つけた場合は、直ぐにその場から立ち去ることを心がけて下さ い。

(4)2010 年には、チリで 2005 年以降連続して発生している爆弾事件に関与した容疑で、MJL や FPMR の元メンバーを含 むアナーキスト 14 名が治安当局に逮捕されました。しかし、2011 年 10 月にこれらの者に対する裁判は証拠不十分のた め打ち切られ、多数の者が釈放されて以降、爆弾事件が増加している傾向にあります。

(5)チリ北部の都市イキケ市は自由港となっていることから、主に古着や自動車部品売買に携わるイスラム教徒の居住 地区が存在します。同地区は、イスラム過激派組織の資金洗浄又は送金の拠点とされているとも言われています。

2.誘拐事件の発生状況

チリ治安当局は、2011 年の年間誘拐発生件数を公式に発表していませんが、チリ国内においては、これまで誘拐事件 は散見される程度であり、何れもテロ組織に関連するものではなく、薬物取引に端を発した事件や富裕層を狙った事件で した。 しかし、中南米で多発するいわゆる「短時間誘拐」(被害者を一時的に拘束し、ATM 機(現金自動預払機)等で現金を 引き出させ、入手後解放するもの。 )が発生する可能性もありますので、注意が必要です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

(1)チリにおいては、1996 年の「在ペルー日本大使公邸占拠事件」発生を契機に、FPMR が在チリ日本国大使館への攻 撃声明を発表していますが、その後具体的な脅威は確認されませんでした。

(2)その他、現在のところイスラム過激派及びその関連組織の顕著な活動は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記)

- 75 -

「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 76 -

【ドミニカ】 1.概況

ドミニカ共和国では、現在のところ国際テロ組織の活動及び関連組織のインフラ(活動拠点、組織、特定宗教団体等) は確認されていません。しかしながら、米国と地理的・経済的な結びつきが強い同国が、国際テロ組織によって、中継地 点として利用されたり、テロの標的とされたりする可能性が徐々に高まっています。また、政府の政策に反対する過激な グループが存在し、国内インフラ・政府関係者を狙った襲撃事件を行っています。

2.誘拐事件の発生状況

ドミニカ共和国における誘拐の発生件数は年間30件前後であり、主な標的は同国人ですが、外国人が被害となる事件 も発生しています。また、誘拐事件は、被害者が富裕層のみに限定されないほか、首都サントドミンゴ以外の地方都市で も発生しています

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐事件の発生は確認されておらず、その脅威は低いとみられて います。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 77 -

【ドミニカ共和国】 1.概況

ドミニカ共和国では、現在のところ国際テロ組織の活動及び関連組織のインフラ(活動拠点、組織、特定宗教団体等) は確認されていません。しかしながら、米国と地理的・経済的な結びつきが強い同国が、国際テロ組織によって、中継地 点として利用されたり、テロの標的とされたりする可能性が徐々に高まっています。また、政府の政策に反対する過激な グループが存在し、国内インフラ・政府関係者を狙った襲撃事件を行っています。

2.誘拐事件の発生状況

ドミニカ共和国における誘拐の発生件数は年間30件前後であり、主な標的は同国人ですが、外国人が被害となる事件 も発生しています。また、誘拐事件は、被害者が富裕層のみに限定されないほか、首都サントドミンゴ以外の地方都市で も発生しています

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益等を標的としたテロや誘拐事件の発生は確認されておらず、その脅威は低いとみられ ています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2010 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 78 -

【トリニダード・トバゴ】 1.概況

(1)トリニダード・トバゴでは、2005 年、首都ポートオブスペインにおいて 5 回の連続爆発事件が発生しました。犯行 目的や犯人は未だ不明で、テロとの関連も含めて治安当局が捜査中です。

(2)2007 年 6 月には、米国のニューヨーク JFK 国際空港を狙ったテロを計画したとして、トリニダード・トバゴ人を含 む 4 人の容疑者が逮捕され、うち 3 人はトリニダード・トバゴで逮捕されました。テロ計画の背景などは現在も調査中で、 国際テロ組織との関係があった可能性は低いと見られていますが、治安当局は、今後も潜在的なテロの危険性は否定でき ないとしています。

(3)トリニダード・トバゴには、1990 年 7 月に暴力により政府転覆を謀るクーデター未遂事件を敢行したイスラム過激 派組織「ジャマート・アル・ムスリミーン」が依然存在しています。現在、同組織は麻薬取引等の非合法活動を主な資金 源とし、ギャングと深い関係があると見られています。

(4)2011 年には、8 月にテロを含む情報に基づき緊急事態宣言が発令されましたが、情報の詳細は明らかにされておらず、 12 月に同宣言は解除されました。また、11 月には首相等暗殺計画が発覚しています。

2.誘拐事件の発生状況

(1)トリニダード・トバゴでは、隣国のベネズエラ人などの外国人が拉致、監禁(連れ去り)及び身代金目的の誘拐事件 の被害者となるケースが発生していますが、そのほとんどは麻薬犯罪に関係する事件と見られています。

(2)麻薬犯罪と関連の無い事件としては、地元犯罪グループが富裕層やビジネスマン及びその家族等を標的とした身代金 目的の誘拐事件を起こすことが稀にあります。また、外国人が被害に遭うケースとしては、在留中国人ビジネスマンが商 売の利権絡みで誘拐される事件が発生しています。

(3)その他、強盗の一種として、被害者を一時的に拘束し ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた上で解放する 「短時間誘拐」が多発しています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

これまでのところ、日本政府、日本人又は日系企業等の施設・財産を標的としたテロや誘拐等の脅威に関する情報は報 告されていません。しかし、爆弾事件等に巻き込まれる危険性はありますので、引き続き注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 79 -

【ニカラグア】 1.概況

(1)ニカラグアでは、アル・カーイダなどのイスラム過激派を含む国際テロ組織の活動及び国際テロ組織のネットワー クの存在は確認されていません。

(2)かつての反政府武装組織のうち、一部のグループが、1997 年の武装解除に応じずに山賊化し、北部山岳地帯及び 北・南大西洋自治区を中心に民間人に対する強盗や誘拐事件を引き起こしてきました。しかし、ニカラグア国軍・国家警 察の掃討作戦により現在、その活動は沈静化しており、同地域で活動していた武装グループの支配力は、ほぼ完全に消滅 したとみられています。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年 1 月から 10 月末までの誘拐発生件数は 62 件(前年同期比 3 件減)で、地域的な偏りはなく、全国的に発生し ています。政治的目的によるものは少なく、ほとんどが身代金目的や強盗目的であり、背景に組織的な誘拐グループが存 在しているわけではないとされています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

ニカラグアでは、現在のところ日本人・日本権益を標的とする組織やそのような動きはなく、日本人がテロや誘拐の被 害者となった事例も確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 80 -

【ハイチ】 1.概況

ハイチ国家警察(PNH)及び国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)によれば、ハイチにおいては、イスラム過激派 組織や国際的なテロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

(1)ハイチにおける誘拐事件は、 PNH 及び MINUSTAH による合同治安維持作戦により、2008 年から 2009 年にかけて一 時減少傾向にありましたが、 2010 年以降再び首都圏を中心に増加傾向にあり、2011 年は 171 件の誘拐事件が発生してい ます。 (誘拐被害者総数(出典:MINUSTAH) :2005 年 634 名、2006 年 722 名、2007 年 293 名、2008 年 309 名、2009 年 101 名、2010 年 136 名、2011 年 171 名)ただし、被害者と容疑者により直接身代金交渉が行われ、統計に表れない未認知の 誘拐事件も相当数発生しており統計上の数字以上に誘拐事件が発生しているとの見方もあります。

(2)ハイチにおける誘拐の特徴は、首都圏を中心に活動する犯罪者集団及びその模倣犯による国籍、性別、年齢、貧富 を問わない身代金目的の無差別誘拐です。外国人が被害者となる誘拐事件も多数発生しており、その約 70% が首都ポル トープランス市のある西県で発生しています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を直接の標的としたテロや誘拐の脅威が高いわけではありませんが、上記のとお り無差別の誘拐事件が発生し外国人が被害者となる事件も発生していますので、十分注意が必要です。 従って、日中であっても徒歩による移動は避け、外出の際には、武装した身辺警護員を雇用するまたは運転手を雇用し 後部座席に乗る等の防犯対策を講じ、深夜は車輌であっても可能な限り外出は控える等、 「自分の身は自分で守る。 」よう 努める必要があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 81 -

【パナマ】 1. 概況

(1)パナマでは、1989 年の米軍侵攻後に反政府活動を目的として小規模な爆弾テロを行っていた国内のテロ組織が既 に消滅したこともあり、政権の転覆・混乱等を企図するテロ事件は 10 年以上にわたり発生しておらず、2011 年もテロ事 件は発生していません。

(2)なお、2004 年 5 月、米国司法省がテロ攻撃を計画しているとして指名手配しているアル・カーイダのメンバー1 人が、2001 年 9 月 11 日の米国同時多発テロ事件発生の 5 か月前にパナマに入国して運河の偵察等を行っていたことが、 治安当局の捜査により判明しました。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

コロンビアとの国境に接するダリエン県は、同国のテロ組織等の影響により地域住民の日常生活の平穏が脅かされてい る状況にあります。具体的には、同地域は、コロンビアの反政府組織コロンビア革命軍(FARC)等が休息や物資調達の場 として利用しています。また、コロンビア領内における武装ゲリラ、パラミリタリー間の衝突のたびに、双方のメンバー がパナマ側に越境して地域住民とのトラブルを引き起こしていることが大きな問題となっています。更に、コロンビアの 犯罪組織の構成員が同地域を麻薬の密輸ルート等として活用しています。 以前から FARC 等の不法入国者の防止のため、治安当局が警察官を動員して同地域の取締り及び監視体制を強化してい ますが、2010 年 6 月には、麻薬組織が設置したと見られる対人用地雷により国境警備隊の隊員 2 名が重傷を負う事件が 発生しています。2011 年には、国境付近の警戒がさらに強化され、山間部において FARC の前線 57 部隊が武器の製造や 麻薬の保管に用いていたと見られるキャンプ地が発見されています。10 月には同じく国境付近において、国境警備隊の 隊員が FARC のメンバー8 名から銃撃を受け、銃撃戦へと発展するなど、依然として危険な状態が継続しています。

3.誘拐事件の発生状況

近年、パナマでは年間平均約 40 件の誘拐事件が確認されています。発生場所はパナマ県に集中しており、身代金を目 的とするものが大部分を占めています。日本人を標的とする誘拐事件は、1992 年に 1 件発生して以来確認されていませ ん。 また、被害者を一時的に拘束し ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた上で解放する「短時間誘拐」が発生し ています。詳細な発生件数は明らかではありませんが、発生場所は大都市に集中しています。 犯行や対象の特徴として、誘拐事件の場合は富裕層を狙った計画的な犯行が大部分を占めています。一方、短時間誘拐 の場合は、被害者が裕福であるか否かを問わず標的になります。

4.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対するテロ・誘拐事件の脅威は高くないと考えられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011

- 82 -

年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 83 -

【バハマ】 1.概況

バハマでは、イスラム過激派組織をはじめとする国際テロ組織の活動や反政府組織の存在は確認されていません。 治安当局はテロの脅威は少ないと分析していますが、世界的リゾート地とされるバハマには、欧米諸国資本による観光 施設等が数多く存在し、欧米諸国から多くの観光客が大型クルーズ船舶で訪れること等を考えれば、それらをターゲット としたテロの可能性は完全に排除できません。

2.誘拐事件の発生状況

バハマにおける誘拐事件発生件数は、過去に遡っても多くはないとされています。 2011 年を含め、これまで日本人が被害者となった誘拐事件も発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人を標的とした誘拐や日系企業等の施設或いは財産を標的としたテロの可能性は低いと考えら れますが、バハマにある欧米諸国の施設等に対するテロが発生した場合には巻き添え被害を受ける可能性は排除できませ ん。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 84 -

【パラグアイ】 1.概況

(1)2011 年、パラグアイにおいてテロ事件は発生しておらず、国内におけるテロ組織も把握されていません。

(2)一方、2010 年 4 月に北部で発生した警察官殺害事件を契機に、パラグアイ人民軍(EPP)の活動が活発化しており、 2011 年 9 月下旬にはコンセプシオン県オルケタ市内の警察署派出所が EPP に襲撃され、警察官 2 名が殉職しています。 こうした事態を受け、パラグアイ政府は同年 10 月中旬から 2 ヶ月間コンセプシオン県とサン・ペドロ県に非常事態宣言 を発出しました。現在は、EPP がテロ組織として一般的に認知されつつある状況です。

(3)アルゼンチン、ブラジルと国境を接するいわゆる三国国境地帯には、シウダ・デル・エステ(エステ市)を中心に、 イスラム過激派を支援する住民の存在が指摘されていますが、その実態については不明な点が多いと言われています。こ の地域は、以前から蔓延する汚職や人的体制の不整備等に加え、パラグアイ側の国境管理が脆弱であり、かつ三国間の連 携が十分でないことから、テロリストが陸路で容易にパラグアイへ入国できる状態であり、十分な注意が必要です。イス ラム過激派や EPP の実態については現在も不明な点が多いですが、外国のテロリストがテロ対策を強化している国での活 動を避け、国境管理の脆弱なパラグアイへ侵入してくる可能性はあると見られています。

2.誘拐事件の発生状況

(1)誘拐事件については、2002 年から 2006 年までは 20 件程度の発生にとどまっていましたが、2007 年は 1 年間に 13 件と激増し、その中には身代金目的の日本人誘拐事件も含まれました。その後も、2008 年 4 件、2009 年 7 件、2010 年 6 件、2011 年 6 件(1 件は未遂)の誘拐事件が発生しており、誘拐ビジネスの活発化が懸念されています。誘拐犯は、身代 金目的で金銭的に裕福とみられる人物を誘拐しています。被害者は日本人に限らず誰でもねらわれている状態であり、 2011 年発生した 6 件については、商店経営者の息子(14 歳と 10 歳) 、宣教師の息子(10 歳) 、生後数日の乳児(2 件) 、 女性会計士(31 歳) 、及び財団の前院長の娘(19 歳、未遂)が対象となっています。2006 年までは怨恨、政治目的等に よる誘拐が主でしたが、近年では拳銃、ライフル銃等の大型武器を使用した身代金目的の誘拐が発生し、その多くに EPP が関係していると言われています。

(2)被害者及びその家族が警察に被害届を出さないことから正確な誘拐発生件数は不明ですが、アスンシオン市、エス テ市等の経済発展都市圏を中心に、車両等を用いて一時的に身柄を拘束し ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させ、 入手後に解放する、いわゆる「短時間誘拐」も頻繁に発生しており、十分な注意が必要です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

パラグアイにおける対日感情は極めて良好であり、2007 年に日本人誘拐事件が発生しましたが、今のところ日本人・ 日本権益を標的としたテロや誘拐のような直接の脅威は見当たりません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの

- 85 -

であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 86 -

【バルバドス】 1.概況

バルバドスでは、テロ組織の存在は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は、ほとんど確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 87 -

【ブラジル】 1.概況

(1)ブラジルでは、1964 年~1984 年の軍事政権時代に、テロを敢行する可能性を有する不穏分子は徹底的に鎮圧又は 極度に弱体化されたと言われ、過去約 30 年にわたりテロ事件は発生していません。しかし、一部には、イスラム系テロ 組織のブラジル国内での活動も報じられており、また、今後、サッカーワールドカップ及びオリンピック等の世界的規模 の行事が予定されていることから、テロ事件が発生する可能性は排除されません。

(2)ブラジルは、これまで国際テロ組織によるテロの直接的な標的にされたことはありません。しかし、近隣諸国にお いては、1996 年のペルーでの日本大使公邸占拠事件や 1994 年のアルゼンチン(ブエノスアイレス)での自動車爆弾によ るイスラエル移民救済会館(AMIA)爆破事件等のテロ事件が発生しています。ブラジルはこれらの国と国境を接している ことから、センデロ・ルミノソ(SL) 、コロンビア革命軍(FARC) 、イスラム過激派等による越境テロやゲリラ活動の可能 性に対して、常に注意が必要です。

(3)また、ブラジル、アルゼンチン及びパラグアイが国境を接するいわゆる「三国国境地帯」では、過去にイスラム過 激派の存在が報じられたこともあり、引き続き注意が必要です。

2.誘拐事件の発生状況

ブラジルでは、金銭等強奪目的の一般犯罪が増加しており、電撃誘拐とも呼ばれる「短時間誘拐事件」が増加傾向にあ ります。これは、複数又は単独犯により被害者を一時的に拘束し ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた上で解 放するというものです。2010 年 11 月には、マナウスにおいて、車で帰宅途中の日本人が強盗に遭い、そのまま短時間誘 拐に発展した事件も発生しています。また、2011 年 4 月には、サンパウロ州カンピーナス市内において、車で帰宅途中 の日本人男性 2 人が赤信号で停車中、けん銃で脅迫されて暴行を加えられた上に監禁場所に連行され、約 1 時間にわたっ て監禁される短時間誘拐事件が発生しています。 企業主等をねらった身代金目的の誘拐事件も、サンパウロ等を中心にしばしば発生しています。2005 年 10 月には、日 本人 1 人が誘拐され、同年 12 月に解放されたほか、2008 年 8 月には、リオデジャネイロでベトナム大使館員が中国人 3 人とともに誘拐されるなどており、外国人を標的とする事件も発生していますので注意が必要です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

ブラジル国内の対日感情は良好であり、現在のところ、日本人・日本権益がテロの標的とされる要因は確認されていま せん。しかしながら、鯨及びイルカ漁に関連した抗議運動が生起していることを考えれば、これらに関して、日本人・日 本権益が標的になる可能性がありますので、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 88 -

【ベネズエラ】 1.概況

ベネズエラ共和国では、2011 年中に反政府組織の活動や国際的なテロ組織の活動は確認されていません。一方、コロ ンビアとの国境地域では、依然としてコロンビア革命軍(FARC)等のコロンビア反政府武装ゲリラ、パラミリタリー、ベ ネズエラの過激派組織であるボリバル解放戦線(FBL) 、及び、これらの組織から離脱した者を含む不特定多数の一般凶悪 犯罪者から成る誘拐組織や麻薬密売組織の活動が確認されており、身代金目的の誘拐事件や麻薬関連犯罪が多発していま す。

2.各組織の活動状況又は各地域の治安情勢

(1)反政府組織の動向

(ア)バンデラ・ロハ(赤旗)

バンデラ・ロハは、2001 年 8 月頃からベネズエラ最大の労働組合であったベネズエラ労働者総連明(CTV)指導部選挙 をめぐり、野党民主行動党(AD 党)と共闘し、チャベス大統領に対する抗議運動の拡大を全面に打ち出しました。2002 年にはチャベス大統領辞任要求運動に積極的に参加しましたが、2004 年の大統領罷免国民投票でチャベス大統領が信任 されて以降は、表立った活動を行っておらず、2011 年中も過激な違法行為は行われませんでした。

(イ)ロムロ・ガジェゴス

ベネズエラの小説家ロムロ・ガジェゴスの思想を標榜し、チャベス大統領が推し進める社会主義路線の阻止を目的に、 反政府系の弁護士によって結成された少数組織です。2007 年 4 月 26 日にボリビア大使館前に爆発物を設置し爆発させた として、警察当局が同組織のメンバーを拘束したことから、同組織名が公表されました。同組織が使用した爆発物は、殺 傷・破壊能力が低く、大音響を発するのみであることから、爆発物設置によって、人や施設等への被害は目的としていな いとみられており、活動の中心は、ビラ等による政府勢力批判です。2011 年中、同組織は表立った活動を行っておらず、 過激な違法行為は行われませんでした。

(2)政府系過激派の動向

(ア)トゥパマロ(自警団・社会福祉団体)

トゥパマロは、1970 年代にカラカス首都区西部の貧民街 1 月 23 日地区で結成された自警団組織です。同組織は、同地 区内において暴力や麻薬取引を公然と行っていた犯罪者集団を追い出した後、自らが各種犯罪に手を染めていきました。 政府から社会福祉団体として認定されており、2004 年 10 月に行われた地方選挙で政府側が圧勝してからは、首都圏警察 の人事にも政府側の立場で介入するなど、その活動領域を広げています。 2011 年中、同組織は表立った活動を行っておらず、過激な違法行為は行われませんでした。

(イ)カラパイカ革命運動

トゥパマロを母体として、1 月 23 日地区で結成された暴力的組織です。結成直後は、過激な活動を敢行していました が、 2005 年 1 月以降、暴力的活動は見られなくなり、2011 年中、同組織は表立った活動を行っておらず、過激な違法行 為は行われませんでした。

- 89 -

(ウ)過激派組織ボリバル解放戦線(FBL)

ベネズエラにおいて、ゲリラ組織に最も近い性質を持った組織で、2000 年頃からその活動が表面化し始めました。こ れまで同組織の存在自体をベネズエラ政府は認めていませんでしたが、現在は認知しています。2011 年中、同組織によ る過激な違法行為は行われていませんが、コロンビアの国境地帯を中心に活動しており、コロンビアのコロンビア革命軍 (FARC)や国民解放軍(ELN)、また、これらと結びついたベネズエラの誘拐組織及び麻薬密売組織と手を組み、主に牧場主 や農場主に対する脅迫・強請を行っています。近年は、組織的な誘拐事件、麻薬密売等を敢行することでその活動資金を 得ています。

(エ)国民左派軍ベンセレモス・ゲリラ戦線

1999 年カラカス首都区リベルタドール市セントロ地区において、政府(チャベス大統領)を支持するため結成された 組織で、リーダーのリナ・ロン(女性) (2009 年 8 月逮捕され、現在仮釈放中)を中心とする約 100 人の組織です。2008 年中には、2 月にカラカス首都区リベルタドール市において過激な行動(爆弾事件)を敢行しており、例えば、パンフレッ トをばらまくタイプの爆弾の爆発やバチカン大使館の前で小型爆弾の爆発のほか、国会管理事務所が入居するビルの入り 口で爆発物を爆発させています。

(オ)ラ・ピエドゥリータ

トゥパマロを母体として 2005 年に政府(チャベス大統領)を支持するため 1 月 23 日地区で結成された組織です。リー ダーのバレンティン・サンタナを中心とした約 40 人の組織であり、反政府支持団体に対し過激な行動を行っています。 2008 年 10 月 14 日にカラカス首都区内にあるエル・ヌエボ・パイス紙(反政府系新聞社)社屋に 2 発の催涙弾を投げ込 み、同時に投げ込まれたビラに同グループの記名がありました。同組織は、犯行の理由をチャベス大統領の暗殺計画を扇 動している同紙ポレオ編集長に対する牽制であり、また、同紙を「軍事目標」とする旨を発表しています。また、同年 12 月 1 日にも反政府系新聞記者宅に数発の催涙弾を投げ込みました。 2009 年に入っても 1 月 1 日にカラカス首都区内にあるグロボシオンテレビ局本社(反政府系)に対し催涙弾 1 発を投 げ込み、1 月 8 日にもカラカス首都区内のキリスト教社会党(COPEI)本部に対し、催涙弾 1 発を投げ込み爆発させる事 件を起こしていますが、2011 年中、表立った活動は行っておらず、過激な違法行為は行われませんでした。

(3)治安情勢

ベネズエラ共和国では、一般犯罪、特に殺人、強盗、誘拐事件の発生件数が高く、劣悪な治安が主要な国内問題の一つ となっています。ベネズエラ全体の凶悪事件の約 20%は、カラカス首都区で発生しており、特にリベルタドール市(セ ントロ地区、1 月 23 日地区、エル・パライソ地区) 、スクレ市(ペターレ地区)及び大規模な貧民街を有する都市部では、 違法けん銃を使用した凶悪犯罪が多発し、極めて危険な状況にあります。

3.誘拐事件の発生状況

ベネズエラ共和国では身代金目的誘拐及び短時間誘拐が多発しており、特にコロンビアとの国境付近及びカラカス首都 区において顕著に発生しています。 2011 年の誘拐発生件数は、ベネズエラ全体で 412 件、このうちコロンビア国境地帯における発生件数は 54 件であり、 依然多発傾向にあります。

- 90 -

これら誘拐を敢行するのは、ゲリラ組織及びゲリラの手口を模倣した一般犯罪者グループであり、以前は誘拐犯罪の被 害者の多くは、コロンビアとの国境付近で牧場・農場を経営する経営者とその家族、また、カラカス首都圏周辺の実業家 及びその家族、外国からの移住者等、裕福な階層でした。しかし、ここ数年、被害者は商人、学生、専門職職員等あらゆ る層に拡大していますので、十分な注意が必要です。

4.日本人・日本権益に対する脅威

2011 年、ベネズエラ共和国において日本人がテロの直接の標的となった事例は確認されていません。しかし、日本人 を含む外国人が多数居住する地区でも過去にテロ事件が発生していますので、日本人がテロ事件等不測の事態に巻き込ま れる可能性は排除できません。 誘拐については、過去に日本人が被害に遭った事件も発生しており、今後も、身代金目的誘拐を敢行しているコロンビ アのゲリラ及びそれらと結びついたベネズエラの一般凶悪犯罪組織等の標的となる可能性は排除できません。特に、身代 金目的誘拐はコロンビアとの国境地域で、短時間誘拐はカラカス首都区内で多発している点に注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については、国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等に その受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもので あり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 91 -

【ベリーズ】 1.概況

ベリーズでは、イスラム過激派組織をはじめとする国際テロ組織や反政府組織の活動は確認されていません。 しかし、英国から独立したベリーズの歴史的背景や米国との政治的・経済的関係から、多くの英米両国の関連施設が多 数存在していることを考えれば、それらをターゲットとしたテロ事件発生の可能性は排除できません。

2.誘拐事件の発生状況

ベリーズにおける誘拐事件発生件数は、過去に遡っても多くはありません。 2011 年を含め、これまで日本人が被害者となった誘拐事件も発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人を標的とした誘拐や日系企業等の施設或いは財産を標的としたテロの可能性は低いと考えら れます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 92 -

【ペルー】 1.概況

(1)ペルーでは、センデロ・ルミノソ(SL)及びトゥパク・アマル革命運動(MRTA)の二大テロ組織が 1980 年代から活 発なテロ活動を行っていました。しかし、1990 年初頭以降、ペルー政府が強力なテロ対策を展開した結果、SL 最高指導 者のアビマエル・グスマンをはじめ両組織の主要幹部がほぼ逮捕され、1996 年の日本大使公邸占拠事件における人質解 放作戦で MRTA 幹部のネストル・セルパが死亡するなど、SL、MRTA ともに組織は弱体化しました。これに伴い、テロ関連 犯罪の発生件数も、1992 年の 2,995 件をピークに減少が続き、2007 年には 72 件まで減少しました。その後は 2008 年 77 件、2009 年 109 件、2010 年 136 件と増加傾向にありますが、プロパガンダや扇動活動が主であり、一定の地域以外での テロ活動は認められていません。2000 年 3 月には国内の非常事態宣言地域の指定が一旦すべて解除されましたが、2003 年 6 月 9 日の「テチント社キャンプ襲撃事件」の発生を受け、ペルー政府は、地域を限定して再度非常事態宣言を断続的 に発出し、現在も 7 州内の 7 郡 9 町に発出されています。

(2)イスラム過激派等の国際テロ組織の細胞組織による活動は現在のところ確認されていません。

2.各組織の活動状況

(1)センデロ・ルミノソ(SL)

SL は、2002 年 3 月の米大使館前における自動車爆弾事件以降、リマ市内では宣伝行為以外の活動は行っておらず、治 安機関によるテロ対策には一定の効果が出ているといえます。しかし、非常事態宣言発出地域内においては、2011 年中 にも、軍や警察の治安部隊を狙った攻撃や政府の違法コカ葉撲滅計画に基づく違法コカ葉除去作業員を狙った攻撃、組織 の脱退者等に対する選別殺人を繰り返し行っており、多くの犠牲者が出ています。そのため、これらの危険地域には立ち 入ることないよう特に注意する必要があります。また、テロ関連犯罪で服役していた多くの元 SL 構成員が釈放されてお り、テロ組織に再集結することも危惧されています。

(2) トゥパク・アマル革命運動(MRTA)

MRTA は、メンバーが次々と逮捕されるなどして、2000 年以降 2005 年までペルー国内ではほとんど活動がみられていま せんでした。現在は法廷闘争を継続しながら下部組織の再編を図っている模様で、釈放された元メンバーを集めていると の情報もあります。また、MRTA の過激分子とみられる者達が、トゥパク・アマル人民革命軍(FAR-EPT)の創設を訴える ビデオによる声明を発表しました。これまで、FAR-EPT の国内での活動は確認されておらず、危険性は低いとされていま すが、過去に MRTA は、在ペルー日本大使公邸占拠事件や、数々の身代金目的の誘拐事件を敢行してきた経緯があるほか、 隠し資金も未だ発見に至っていません。また、国外に逃亡したメンバーが国外の革命勢力との連帯を目指してプロパガン ダや資金活動を継続していること、服役していたテロ関係者が多数釈放されていることなどからも、引き続き十分な注意 が必要です。

3.誘拐事件の発生状況

1990 年初頭まで国内テロ組織による誘拐事件が多発していたものの、政府が誘拐対策を強化した結果、テロ組織によ る犯行は劇的に減少しました。国家警察の発表によると、2010 年中は 1,685 件の人身の自由に対する犯罪(誘拐、監禁 及び強要等)が認知されており、そのうち営利誘拐事件は 16 件のみとされていますが、短時間誘拐も多数発生しており、 少なくとも 218 件の誘拐が発生していると推計されます。また、141 件の人身売買事件も認知されています。犯人との交 渉が法的に禁止されていないため、被害者が独自に犯人と交渉し、身代金を支払って解決しているケースも多いとみられ

- 93 -

るうえ、SL が戦闘員を養成するため活動地域内で児童を拉致するケースが明らかになってきており、警察の認知件数以 上の誘拐が発生していることが予想されます。 これまで、誘拐の被害対象は裕福なペルー人が主で、外国人に対する誘拐事件の発生はほとんどみませんでしたが、2011 年 8 月 23 日には、韓国人企業家の子弟が通学中に誘拐される事件が発生したほか、外国人旅行者を狙った短時間誘拐事 件も多発しています。また、携帯電話を用いた詐欺事件から誘拐に発展するケースや中流家庭の子どもが対象となる事件 も発生しています。誘拐後、比較的早期に被害者が殺害されるケースも散見され、今後も誘拐には十分な注意が必要です。

4.日本人・日本権益に対する脅威

1996 年の日本大使公邸占拠事件以降、日本人・日本権益を対象としたテロ事件は発生しておらず、現時点において日 本人・日本権益に対する脅威は低いとみられています。しかし、1980 年代後半から 1990 年代初頭にかけ、日本国大使館 も爆弾テロの標的になったほか、日系企業もテロの対象になりました。また、1991 年、リマ市北方のワラルにおいて、 国際協力事業団(現在の JICA)の専門家 3 名がテロリストに殺害された事件も発生しています。現在でも、ペルー国内 にテロ組織が現存していること、刑期を終えた多数のテロリストが釈放されていることなどに鑑みると、テロ発生の危険 性はいまだに少なくないと言えます。 2011 年に誕生したウマラ政権は、テロに対して厳しい姿勢を示しているため、当初、歩み寄りを期待していたとみら れる SL 及び MRTA は現政権を批判する声明を出しており、今後とも注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 94 -

【ボリビア】 1.概況

(1)2011 年、ボリビアのテロ組織を巡る治安情勢は、中南米諸国の中では比較的安定していました。また、ボリビア 国内のテロ組織は実質的な活動を行っていないと見られています。しかし、5 か国と国境を有し、国境線が長距離に亘る という地理的要因から、十分な出入国管理が困難であるなどの理由のため、ボリビアには他国のテロ組織が潜伏しやすい とされています。

(2)ボリビアの主要テロ組織であったトゥパック・カタリ・ゲリラ軍(EGTK)は、1992 年にメンバーの大半が逮捕さ れて組織は壊滅状態となっていましたが、2003 年から 2005 年にかけて、保釈されたメンバーがアルティプラノ地方(高 原地帯)の農民の権利向上を訴え、デモ、道路封鎖等の反政府運動を行っていました。しかし、2005 年 12 月、EGTK の元 リーダーの一人であったアルバロ・ガルシア・リネラの副大統領就任以来、EGTK による反政府運動はなくなりました。

(3)2009 年 3 月及び 4 月には、半月地域と呼ばれるボリビア東部で、モラレス政権に反対する分離主義的な右翼団体 による爆破事件が発生しました。また、同年 4 月には、政府転覆を目的としたテログループに対する治安当局の掃討作戦 により、テログループのリーダーが死亡しました。

(4)2011 年 6 月には、ペルーとの国境付近で、ペルーのテロ組織「センデロ・ルミノソ(SL) 」の元メンバーが麻薬密 輸の罪で逮捕され、同年 8 月にはエルアルト市で SL メンバー4 人がボリビア政府を批判するパンフレットを配るほかテ ロを計画していたとして逮捕されました。

(5)また、2011 年 10 月から 12 月にかけて、ラパス市内の銀行 ATM(現金自動預払機)やファーストフード店など合計 7 か所に爆発物が仕掛けられ、数か所で爆発する事件が発生しました。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年、ボリビア全土では、誘拐事件 84 件が発生し、2010 年(66 件)に比べて増加しました。主な事件は、複数犯 が被害者を一時的に拘束し、ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた上で解放するいわゆる「短時間誘拐」です。 一方、外国人観光客をねらった誘拐事件や少額の身代金を要求する事件も発生しており、十分注意が必要です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

これまでのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は高いとはみられていません。しかしながら、治 安部隊への攻撃、サンタクルス県サンフアン日本人移住地付近での違法コカ葉栽培等麻薬密造に関連した犯罪、ラパス市 内での銀行 ATM やファーストフード店に対する爆弾事件のほか、都市部を中心に外国人をねらった短時間誘拐等も発生し ているため、巻き添え等偶発的な被害のおそれがあり、十分注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの

- 95 -

であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 96 -

【ホンジュラス】 1.概況

(1)ホンジュラス国内に存在していた主要テロ組織は、おおむね 1990 年代初期に活動を停止しました。当時、テロ組 織の活動には、ニカラグアのサンディニスタ政権による支援が大きく作用し、また、サンディニスタ国民解放戦線及びエ ルサルバドルのファラブンド・マルティ民族解放戦線の影響がありました。しかし、その後、ニカラグアのサンディニス タ政権の崩壊や東欧を始めとする世界的な共産主義運動の後退に伴い、組織化された国際的財政援助がなくなり、テロ組 織は衰退の一途をたどらざるを得なかったとみられています。

(2)現在のところ、ホンジュラスにおいてアル・カーイダ等イスラム過激派組織関連の動きは確認されていません。

(3)2009 年後半には、国外追放されたセラヤ大統領を支持する過激派とみられる者が放火、爆発事件などを引き起こ しましたが、被害はおおむね軽微でした。

2.犯罪組織の活動状況

(1)ホンジュラスにおいてテロ組織による活動は確認されておりませんが、青少年犯罪集団「マラス」をはじめ、多く の犯罪組織が国内全土にわたって活動を活発化しており、国内で発生している多くの殺人や誘拐に関与しているとみられ ています。

(2)近年では、北部及び東部を中心に麻薬組織の勢力が拡大しています。また、北部ではメキシコの犯罪組織「シナロ ア」の活動が確認される等、他国犯罪組織の流入も懸念されています。

3.誘拐事件の発生状況

(1)国家警察の発表によると、2011 年には 36 件の誘拐事件が発生しましたが、犯人からの報復を恐れる等の理由から 警察へ届け出ないケースも多いとされることから、実際の発生件数は統計よりも相当多いとみられます。これらの事件は テロ組織による犯行ではなく、犯罪集団による身代金目的の犯行と考えられています。犯罪集団は、裕福な被害者を誘拐 の標的とし、家族構成や生活状況等を綿密に調査した後、出勤途中等、被害者が単独になるタイミングを狙い犯行に及ぶ とみられています。

(2)また、いわゆる「短時間誘拐」が多発していますので注意が必要です。これは、都市部のショッピングモール等多 数人の集まる場所などで、富裕層、特にクレジットカード等を所持している者を狙い、尾行のうえ拘束・監禁し、被害者 と共に銀行や ATM(現金自動預払機)等へ行き、現金を引き出させて、その日のうちに被害者を解放するものです。

(3)過去に邦人が被害者となる誘拐事件は確認されていませんが、外国人が被害に遭う事件は発生しています。誘拐事 件の被害に遭わないためにも、普段から、調査や尾行の有無等、身の回りの変化に注意しその兆候の発見に努めるととも に、他人に行動を予知されにくくする、外出する際には目立つ服装を着用せず高価な物を身に付けない、人前で安易にク レジットカード等を取り出さない等、警戒を怠らないように注意する必要があります。

4.日本人・日本権益に対する脅威

(1)現在まで、日本人・日本権益を対象としたテロや誘拐の脅威は報告されていません。

- 97 -

(2)青少年犯罪集団「マラス」の活動については、攻撃対象や場所が無差別な場合がありますので、大勢の人が集まり、 かつ、警備対策の脆弱な場所にはできる限り近づかないよう心掛けてください。

(3)また、首都テグシガルパ市、サンペドロスーラ市といった大都市はもとより、地方都市に至るまで、銃器を使用し た殺人、強盗事件や富裕層を狙った誘拐事件が多発しておりますので、これらに対する注意も必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 98 -

【メキシコ】 1.概況

(1)メキシコの反体制組織は、近年では 2007 年 7 月及び 9 月に「人民革命軍」 (EPR)がメキシコ石油公社(PEMEX)の パイプライン爆破事件を敢行する等、活動を活発化させていたものの、一般市民を巻き添えにするような行動はとってい ません。メキシコ政府は、一貫した対テロ政策を行い、EPR とは交渉を断固として行わない姿勢であり、EPR としても武 力行動は得策ではないと考えている模様であることから、最近では目立った活動を行っていません。その他の組織(1994 年にチアパス州で武装蜂起した「サパティスタ民族解放軍」 (EZLN)や、その分派である「反乱人民革命軍」 (ERPI)、 「人 民革命武装戦線」 (FARP) 、 「5 月 23 日ハラミジスタ・コマンド」等)については、勢力は小さく、政府を転覆させるだけ の実力や無差別テロ、自爆テロ等を行う過激性は有していないとみられます。なお、近年メキシコにおける国際テロ組織 の活動は確認されていません。

(2)その一方、麻薬関連組織の抗争に市民が巻き添えになる事例が発生している点に注意する必要があります。2011 年 8 月にヌエボ・レオン州モンテレイ市のカジノが麻薬関連組織に放火されて一般市民 50 人以上が死傷する事件や、2010 年 7 月には治安機関を目標とした自動車爆弾の爆発に付近の市民が巻き込まれる事件が発生しています。

2.誘拐事件の発生状況

メキシコにおける誘拐事件の発生件数は、依然として増加傾向にあります。誘拐の対象は、裕福な資産家から中流階 級の人々に変わってきています。加えて、被害者を一時的に拘束し ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた上で 解放する、いわゆる「短時間誘拐」が横行しています。誘拐事件はドゥランゴ州、タマウリパス州、タバスコ州、チワワ 州及びミチョアカン州で多発しており、その相当数が「短時間誘拐」です。「短時間誘拐」は、旅行者や外国人もその対 象となっていますので十分な注意が必要です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在、メキシコの反体制組織による日本人・日本権益に対する直接的脅威の可能性は低いものの、 「反ネオリベラリズ ム」を唱え、米国系企業に対して反対しているグループが存在することから、日本企業を含む外国権益への脅威の可能性 は完全には排除できない状況です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 99 -

【アイスランド】 1.概況

2011 年にはアイスランドにおいてテロと判断される事件の発生は確認されませんでした。また、反政府組織の活動や、 イスラム過激派及びその関連組織や国際的なテロ・ネットワークの存在も確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年には、外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されませんでした。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられています。しかし、これまで、近 隣国のデンマーク、スウェーデン、ノルウェーにおいてテロが発生していることから、アイスランドにおいてもテロや不 測の事態が発生する可能性は排除できませんので、十分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 100 -

【アイルランド】 1.概況

(1)アイルランドにおけるテロ組織は、いずれも北アイルランド問題に端を発した反体制共和主義者組織ですが、アイ ルランド国内で政府や国民に対して直接的な行動はとっていません。 2011 年中は、5 月の英国女王陛下のアイルランド訪問前後に爆弾テロ未遂事件や小規模な暴動が発生しましたが、それ 以外では、アイルランドではテロ組織によるテロや暴力的破壊活動等の事件は発生していません。

(2)2001 年 9 月 11 日の米国同時多発テロ以降、アイルランドにおいてはアル・カーイダ等のイスラム過激派によるテ ロは発生しておらず、国内でイスラム過激派組織の存在も確認されていませんが、これらの組織に同調している者は存在 すると言われています。

(3)アイルランド国内最大のテロ組織であった「アイルランド共和軍(IRA) 」は 1997 年にテロ活動停止を宣言し、活 動方針を武装闘争から合法的政治活動へと転換しました。その後、2007 年 5 月には IRA の政治活動母体であるシン・フェ イン党も参加した北アイルランド自治政府が復活しました。 しかし、和平路線を不満として IRA から離脱した共和主義者らを中心に結成された「真の IRA(RIRA)」 、 「IRA 継続派 (CIRA)」等の反体制派グループは依然としてテロ活動を継続しています。これらの組織は、北アイルランドを中心に、 爆弾や武器類の調達と保管、要員の勧誘と訓練、宣伝活動等を行い、英国軍隊、北アイルランド警察等を標的に爆弾テロ 攻撃を行っています。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

「真の IRA」、 「IRA 継続派」等の反体制派グループは、組織維持のための資金源獲得方策として犯罪行為にも手を染め ており、自ら強盗、恐喝、薬物取引、売春、燃料密輸等を実行して資金を調達するとともに、犯罪組織とも関連を持ち用 心棒代等の名目で資金を調達しており、犯罪組織間の抗争事件にも関係していると言われています。 治安情勢に注意を要する地域としては、北アイルランドとの国境付近の他、ダブリン、コーク、リムリック、ゴールウェ イ等の都市部が挙げられます。

3.誘拐事件の発生状況

ここ数年の誘拐事件の発生件数は 40 件前後で推移しています。これらはいずれも身代金目的の誘拐で、テロや政治目 的は背景にありません。近年の傾向として、現金輸送を担当する警備会社の警備員や銀行員の家族などを誘拐して本人を 脅迫し、現金を要求する事案(Tiger Kidnapping)が多く発生しています。

4.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する具体的脅威の存在は確認されておらず、また、脅威度も高いと見られていません。しかし、 日本を攻撃対象として名指しする声明がアル・カーイダ関係者と名乗る者等によりインターネット等を通じて出されてい る現状を考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ

- 101 -

の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 102 -

【アゼルバイジャン】 1.概況

(1)アゼルバイジャンでは、1990 年代の前半に公共交通機関の爆発事件が頻発して以降同種テロ事件の発生はみられ ませんでした。しかし、2008 年 8 月バクー市中心部のモスクにおいて死傷者を伴う爆発事件が発生しました。

(2)近年、当局はアゼルバイジャンで活動するイスラム過激派組織に対して取締りを強化しており、爆発物や武器等を 所持していたテロ組織を検挙しています。検挙された組織の中にはアル・カーイダ関連組織も認められます。

(3)2008 年、ヒズボラ関係者が、イスラエル大使館及びガバラ・レーダー基地へのテロ攻撃を計画しましたが、アゼ ルバイジャン当局によって未然に防がれました。公判によると、一部の者はイランで訓練を受けており、訓練を受けた後、 自動車爆弾をイスラエル大使館前で爆破させる計画でした。

(4)2009 年 4 月、バクー市中心部にある石油アカデミーで銃乱射事件が発生し、20 人以上の死傷者が出ました。銃を 乱射した犯人はその場で自殺し、共犯者が逮捕されました。

2.誘拐事件の発生状況

アゼルバイジャンにおいて、外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を直接の標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられています。しかし、イスラ エル、米国、英国に対するテロへの脅威は依然存在し、欧米人が多数集まる場所ではテロの巻き添えとなるおそれがあり ます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 103 -

【アルバニア】 1.概況

アルバニアでは、政府関係者の腐敗や警備体制の不備により、国境管理が不十分であることもあり、周辺国との間で犯 罪組織等による小型武器等の密輸入が確認されているほか、国際テロ・犯罪組織関係者の密出入国の可能性も懸念されて います。しかしながら、現在のところ、アルバニア国内において、国際テロの発生を懸念させるような活動は確認されて いません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、外国人を対象とした誘拐事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

アルバニアにおいて日本人・日本権益を直接攻撃対象とした事例は発生しておらず、脅威は低いものとみられています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 104 -

【アルメニア】 1.概況

アルメニアでは、主要な国際テロ組織やその細胞組織の活動は確認されておらず、2011 年に特記すべきテロ事件は発 生していません。アルメニア国内の治安情勢は比較的安定しているといえますが、国内外の情勢変化によって社会不安が 急速に拡大する可能性は常に存在するので、一定の注意が必要です。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

アルメニアは、グルジア、トルコ、イラン及びアゼルバイジャンと国境を接しており、今後の周辺国の情勢如何によっ ては、周辺国におけるテロがアルメニアに波及する可能性を完全には排除できません。したがって、アルメニアに滞在す る場合には、現地治安情勢の変化に迅速かつ適切な対応がとれるよう、常に注意を払うことが必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 105 -

【アンドラ】 1.概況

(1)2011 年中、アンドラ公国では、テロとみられる事件の発生は確認されていません。

(2)国外のテロ組織がアンドラ公国内で活動又は浸透している状況は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロの脅威が高いとはみられていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 106 -

【イタリア】 1.概況

(1)イタリアを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織等によるテロの脅威にさらされています。2004 年 のマドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005 年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種 の治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010 年 12 月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自 爆テロ事件が発生する等、欧州に対するテロ脅威は引き続き存在しています。

(2)イタリアでは、1970 年代後半から 1980 年代にかけて、 「赤い旅団(Brigate Rosse) 」をはじめとする国内のテロ 組織が、政府要人の誘拐・殺害や爆弾テロ等年間 2 千件を超すテロ事件を引き起こし、多数の死傷者が生じる事態が続き ました。1990 年代前半には、マフィアによる当局関係者を対象としたテロ活動が活発化しました。1999 年及び 2002 年に は、 「赤い旅団」の流れを汲むテロ組織「新赤い旅団」が政府要人を射殺する事件などを引き起こしました。 その後、国内テロ情勢は沈静化に向かいましたが、2009 年 6 月には、 「新赤い旅団」の関係者を含む無政府主義の集団 が、当初 G8 主要国サミットの開催が予定されていた場所(その後変更)において大規模なテロ行為を計画していたこと が明らかになりました。

(3)このように、イタリアでは、依然として、極右・極左系テロ組織やイタリアからの分離、独立を主張する過激派等 の無政府主義団体の動きが確認されており、政府関係機関や対立する組織等に対して、年間数十件にものぼる爆弾テロ事 件(未遂を含む。) 等を起こしています。 また、無政府主義組織関係者は、近隣諸国のテロ組織等との連携を強め、2011 年にも、デモ等を扇動して、過激化さ せる事件や、外国公館に爆発物を仕掛けた郵便物を送付して、負傷者を発生させるなどの事件を引き起こしています。 このほか、2010 年には、カラーブリア州をはじめとする南部諸州において、取締りの強化に反発したマフィア組織関 係者によるとみられる治安当局関係者等を狙ったテロ事件が相次いで発生しました。

(4)これまでのところ、イタリア国内において、国際イスラム過激派組織が関与したと見られる大規模テロ事件は発生 していないものの、最近、イタリア国内に長く居住する外国人等が過激化する現象が確認されているほか、イラクやアフ ガニスタンにおけるテロ活動を支援することを目的にした資金獲得、偽造旅券の製造、テロリストのリクルート等を行う 組織が相次いで摘発されています。 2008 年 12 月には、ミラノのドゥオーモ広場等へのテロを計画した容疑でイスラム系外国人が逮捕されました。2009 年 10 月には、アル・カーイダの思想に共鳴し、過激化した北アフリカ系移民のグループが、ミラノにあるイタリア軍施 設正門付近において手製の爆弾を爆発させ、警戒に当たっていた兵士 1 名を負傷させる事件が発生しました。また、同年 11 月には、インド・ムンバイで 2008 年 11 月に発生した同時多発テロ事件の関係者に多額の送金等を行っていた外国人 が逮捕されています。2010 年も、欧州域内におけるテロに対する脅威が高まる中、爆弾製造資機材を所持したイスラム 系外国人が逮捕されるなどしています。

2.各組織の活動状況

(1)「新赤い旅団(Nuove Brigate Rosse)」

極左系テロ組織「赤い旅団」の構成員らを基に結成されましたが、2003 年、同組織の主要メンバーの多くが逮捕され、 アジトも摘発されたことなどから、壊滅状態になったと見られていました。しかし、2007 年、ミラノを中心に同組織の 関係者 15 名が逮捕された事件の捜査過程において、同組織が依然として様々なテロ計画を立てていたことが明らかにな りました。上述のとおり、2009 年には、G8 主要国サミットの会場に予定されていた場所における大規模テロを計画して いたことが発覚しています。

- 107 -

(2)アナーキスト及び反グローバリズム勢力

イタリアのアナーキストは、従来、アウトノミスタ(地域性を重視し、自治権の強化・拡大を掲げるグループ)との連 携を図ってきました。最近は、支持層を拡大するため、その時々の社会問題を捉えた示威活動等を行い、欧州各地におけ る関連団体・活動家との連携を強めています。

(3)分離、独立主義団体

イタリア北部及び島嶼部に、地域の分離、独立を主張するグループが存在しており、これまでも過激な活動を繰り広げ てきています。最近では、サルデーニャ島の独立を主張するグループが、アナーキストグループらと結びつき、その運動 を過激化させています。2003 年には同島カリアリ市の軍警察署、同島ローマ事務所等に爆発物を送付した事件、2004 年 には同島のベルルスコーニ前首相の別荘付近に時限爆弾を設置する事件を引き起こしています。

(4)マフィア

南部諸州を中心に、強固な結び付きを有し、社会構造の隅々にまで浸透した犯罪組織が古くから存在し、マフィアと総 称されています。2008 年以降、取締りの強化に反発するマフィア関係者が、地方政府関係者や警察・司法当局関係者に 対するテロ行為を頻発させており、2010 年には、南部を訪問した大統領の移動経路に爆弾を仕掛けた車両を放置した事 件のほか、マフィア対策の先頭に立つ市長を銃撃の上、殺害する事件等を引き起こしました。また、治安当局者の自宅を 狙った爆弾テロ事件や、司法関連施設に対する脅迫事件なども数多く引き起こしています。

(5)その他の極右・極左組織

イタリアにおける極右・極左組織間の対立は、依然として沈静化しておらず、2011 年中も、それぞれの事務所に対す る爆発物の設置事件などが多数確認されています。

(6)イスラム過激派

最近では、北アフリカ諸国のイスラム過激派が、イタリア国内のムスリム系コミュニティーへの浸透を図っており、イ タリア治安当局は警戒を強めています。

3.誘拐事件の発生状況

2011 年中、外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

イタリアでは、近年、日本人・日本権益を直接の攻撃対象としたテロ事件は確認されていません。しかし、上記の情勢 に加え、アフガニスタンに軍隊を派遣しているイタリア政府の姿勢に抗議し、インターネット上などにおいて、イタリア 権益に対するテロ攻撃の予告が頻繁になされていることなども確認されています。また、首都ローマを始めとする各主要 都市には、観光施設が数多く存在しており、これらを対象とするテロが発生した場合、日本人がその巻き添えになる可能 性は否定できません。

- 108 -

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 109 -

【ウクライナ】 1.概況

(1)ウクライナでは、旧ソ連からの独立以来、2011 年まで、政治的背景を有するテロ事件やイスラム過激派などによ るテロ攻撃は発生していませんでした。2011 年中、ドニプロペトロフスク市、ザポリッジャ市、ハルキフ市、マキイフ カ市において手製爆弾を利用した事件が発生しましたが、捜査当局は、いずれも政治的背景のあるテロ事件であるとは発 表していません。

(2)しかし、2012 年 4 月 27 日、ドニプロペトロフスク市で、路面電車の停留所や鉄道駅等 4 ヵ所で連続して手製爆弾 が爆発し、30 人以上が負傷する事件が発生しました。ウクライナ当局は、テロの可能性を含めて捜査を行うとともに、 国内警備を強化しており、今後の治安情勢には注意が必要です。

(3)ウクライナにおける潜在的テロの脅威には、内的及び外的な要因があります。内的要因としては、国内を東西に分 割しようとする政治的な動きがみられることや、クリミアにおけるロシア系団体の分離独立運動などにみられる分離主義 者の動向があります。これまでのところ治安を脅かすほどの動きはみられませんが、引き続き注意が必要です。

(4)外的要因としては、地理上、中東地域とヨーロッパの中間に位置していることから、テロリストの「人、物資、資 金」の中継・通過地点となっている可能性が否定できず、潜在的なテロの脅威があるとみられています。こうした脅威に 対応するため、ウクライナのテロ対策機関は、欧米諸国や近隣諸国と積極的な情報交換を行うなどして、国内におけるテ ロ活動の防止に力を注いでいます。

(5)また、ウクライナは、2001 年 9 月に発生した米国同時多発テロ以来、米国のテロ体策支持の姿勢を打ち出し、イ ラクに復興支援部隊を派遣していたことから、イスラム過激派等による報復の対象となる可能性は否定できず、注意が必 要です。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、外国人を標的とした誘拐・人質事件は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

これまでのところ、日本人・日本権益が直接的な攻撃対象となる、又は巻き添えになる事件は発生していません。

<2012 年 5 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2012 年 5 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもので あり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 110 -

【ウズベキスタン】 1.概況

(1) 2011 年中、ウズベキスタンでは、同国政府がテロと認定した事件は発生していません。しかし、近年の出稼ぎ労働 者の失業・帰国動向、隣国アフガニスタンにおけるタリバーンの勢力状況や、パキスタン、カザフスタンなど周辺諸国に おけるテロ事件の発生状況を考慮すると、経済的困窮を背景とした不平分子が国際テロ組織等と結びつき、テロ事件を起 こす可能性は排除できません。また、2011 年 11 月 16 日から 17 日の深夜にかけて、ウズベキスタン南部のスルハンダリ ア州において、鉄道橋梁の爆発事案が発生しており、テロの可能性も否定できません。

(2)ウズベキスタンでは過去にも、中央アジア初の自爆テロ事件とされる 2004 年春の警察官襲撃事件、同年夏のタシケ ント市内連続爆弾テロ事件、 (ウズベキスタン政府によればテロ事件とされる)2005 年春のアンディジャン騒擾事件など が発生しています。 これら事件の背景については、詳細は明らかになっていませんが、こうした事件を引き起こしたテロリストの教育や破 壊工作の準備に、国際テロ組織が国内外で様々な支援・指導を行っていたとの見方もあります。 ウズベキスタン政府の経済政策に対する国民の不満、近隣諸国におけるイスラム過激派等国際テロ組織の勢力伸長など の影響を受け、ウズベキスタン国内では弱体化したとされている組織が、国内外からの支援等を得て今後勢力を回復する 可能性も排除できません。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

(1)ウズベキスタン・イスラム運動(IMU)

1990 年前半にウズベキスタン当局の取締を避けて国外に逃れたイスラム政党関係者が起こした運動で、ウズベキスタ ン、キルギス、タジキスタン3か国にまたがるフェルガナ盆地に、シャリーア(イスラム法)に基づくとするイスラム原 理主義国家の樹立を目的としています。 1998 年にはカリモフ現政権に対するジハード(聖戦)を宣言して武力による政権打倒の意思を表明し、1999 年にはカ リモフ大統領暗殺を狙った爆弾事件を起こしたほか、キルギスにおける日本人誘拐事件にも関与したとみられています。 2000 年にはウズベキスタン、キルギス、タジキスタン及びアフガニスタンの国境付近で治安部隊と武力衝突を起こすな ど活発な活動が認められていましたが、2001 年の米国同時多発テロ事件以降、アフガニスタンでタリバーンと行動をと もにした際に、米軍の攻撃によって相当な打撃を受け、その勢力は弱体化したとされています。 最近では、ウズベキスタン国内における活動はみられず、主としてパキスタン、アフガニスタンやタジキスタンを中心 として組織の立て直しを図っているとの情報があります。 同運動の創設者であるタヒル・ユルダシェフは 2009 年に米軍のミサイル攻撃により死亡し、現在のリーダーはウスマ ン・アディルとされています。

(2)ヒズブ・タフリール(解放党)

イスラム体制に立脚した統一国家樹立を目的とした国際テロ組織で、現在はロンドンに本部があるとされ、欧州をはじ めとする多くの国々で活動を行っています。中央アジア地域には、1995 年頃から進出したとみられており、ウズベキス タンや近隣諸国でも活動が確認されています。 武力ではなく、啓蒙活動を通じてカリモフ現政権を打倒し、イスラム原理主義国家を樹立するとの目標を掲げて活動を しています。2004 年夏にタシケントで発生した爆弾事件について、ウズベキスタン当局はヒズブ・タフリールが関与し たとの見方を示しましたが、ヒズブ・タフリール側はこれを否定する声明を出しました。近年、ウズベキスタン国内にお

- 111 -

けるヒズブ・タフリールの活動は活発ではないとの情報もありますが、同党の非暴力路線に異議を唱え、急進的な活動を 主張するグループ(下記)が分派した、との情報もあります。

(3)アクラミーヤ

1994 年から 1996 年にかけて、ウズベキスタンでヒズブ・タフリールが掲げる非暴力路線に異議を唱え、ヒズブ・タフ リールから分派した急進的グループと言われています。アンディジャン市を拠点としてフェルガナ盆地全域への浸透を 図っていると言われています。2005 年のアンディジャン騒擾事件は、アクラミーヤに所属するビジネスマンの裁判をきっ かけに発生したとされています。 ウズベキスタン当局は、アンディジャン騒擾事件以後の徹底した取締によって、アクラミーヤに壊滅的打撃を与えたと 発表していますが、いまだ同グループの残存勢力が活動を続けている可能性があります。

(4)その他

2004 年の一連のテロ事件に関して、 「イスラミック・ジハード」というグループから犯行声明が出されましたが、詳し い組織実体は不明であり、この犯行声明自体の信憑性も低いものとされました。しかし、カリモフ政権の打倒、イスラム 国家建設を目指すイスラム過激派の活動分子がウズベキスタン国内に潜伏している可能性は排除できません。

3.誘拐事件の発生状況

ウズベキスタンにおいては、日本人、外国人を標的とした誘拐事件の発生は、これまで確認されていません。しかし、 過去にイスラム過激派が侵入して騒擾事件を引き起こしたフェルガナ盆地などでは、外国人を狙った誘拐事件が発生する 可能性も排除できません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

ウズベキスタンでは、現在までのところ日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威が高いとはみられていません。 しかし、外国人に対する誘拐・脅威があることから注意が必要です。また、日本を攻撃対象として名指しした声明がアル・ カーイダ関係者を名乗る者等によりインターネット等を通じて出されている現状を考慮すると、こうした国際テロ組織と 関係を有するグループによるテロや誘拐がウズベキスタン国内で発生し、その巻き添えとなる、もしくは直接の標的とさ れる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 112 -

【英国】 1.概況

(1)英国を含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織等によるテロの脅威にさらされています。2004 年のマ ドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005 年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種の治 安対策が積極的に講じられてきているものの、2010 年 12 月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自爆テ ロ事件が発生するなど、欧州に対するテロの脅威は引き続き存在しています。

(2)2011 年中、英国内では、大規模なテロ事件の発生はありませんでした。しかしながら、英国では 2005 年 7 月、ロ ンドン市営地下鉄車両内及び市営バス内において連続自爆テロ事件が発生し、52 人が死亡(加えて自爆犯 4 名も死亡) したほか、2007 年 6 月には、ロンドン中心部の繁華街及び英国北部のグラスゴー空港で自動車爆弾(自動車にガスボン ベ、ガソリン、大量の釘、起爆装置等を搭載したもの)を用いたテロ未遂事件が発生しました。2011 年中も、英国内に おいて複数のテロ計画が摘発されました。 こうした情勢を踏まえ、英国政府は、英国における国際テロの脅威度を「相当(SUBSTANTIAL: an attack is a strong possibility.(5 段階のテロ脅威度評価の上から 3 番目)) 」に位置付け、国民に警戒を呼びかけています。

(3)また、英国には北アイルランド関連のテロの脅威が存在しています。かつて北アイルランドにおいて英国からの分 離等に向けて過激な闘争を行っていたアイルランド共和軍(IRA)は、2005 年の武装闘争放棄宣言以降、組織的な犯罪活 動及び準軍事的活動を停止しています。 政治的にも、2007 年 5 月以降、民主ユニオニスト党とシン・フェイン党が権限分担する北アイルランド自治政府が継 続しています。 一方、 「IRA 継続派」 (CIRA) 、 「真の IRA」 (RIRA)等の過激分派は、引き続きテロその他の犯罪行為に関与しており、2011 年中にも、治安機関やその職員を対象に多数の爆弾事件を引き起こしました。 こうした情勢を踏まえ、英国政府は、2010 年 9 月、 英国本土におけるアイルランド関連テロの脅威度を「相当 (SUBSTANTIAL : an attack is a strong possibility.(5 段階のテロ脅威度評価の上から 3 番目)) 」に引上げ、また、 北アイルランドにおけるテロの脅威度を「深刻(SEVERE:an attack is highly likely. (5 段階のテロ脅威度評価の上 から 2 番目)) 」に位置付け、初めて国民に公表して警戒を呼びかけました。

2.各組織の活動状況

(1)国際テロ組織

多くのイスラム人口を擁する英国内には、若い世代のイスラム教徒の過激化等により、多数のテロリスト予備軍や支援 者が存在しているとみられています。また、アル・カーイダに積極的に共感する者が多数存在し、資金調達を行うととも に、アフガニスタン、パキスタン、ソマリア等にテロリスト予備軍を送り込むことを支援しているとされています。

(2) 北アイルランド関連過激派組織



アイルランド共和軍継続派(CIRA)

組織内部における権力闘争が継続しているものの、活動は引き続き活発で、治安機関に対するテロ攻撃を敢行していま す。メンバーは、脅迫、武装強盗、誘拐、密輸等広範な重大犯罪に関与しているとされています。



真のアイルランド共和軍(RIRA)

- 113 -

2011 年中、治安機関を対象とした爆弾事件を敢行しました。RIRA には 2 つの分派が存在しますが、両組織とも、治安 機関関係者を対象にしたテロ攻撃を敢行しており、極めて重大な脅威となっています。

3.誘拐事件の発生状況

2011 年中、日本人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

これまでに、英国では、日本人・日本権益を直接の標的としたテロ事件は確認されていません。 しかし、過去にはアル・カーイダ関係者を名乗る者等により日本を攻撃対象として名指しする声明がインターネット等 を通じて出されている現状を考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性も完全には排 除できず、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 114 -

【ジブラルタル】 1.概況

2011 年中、ジブラルタルでは、テロ事件の発生及び、国際テロ組織の活動のいずれも確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、ジブラルタルでは、誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

2011 年中、ジブラルタルでは、日本人・日本権益に対する直接的なテロの脅威は確認されておらず、脅威は低いもの と見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 115 -

【エストニア】 1.概況

エストニアでは、反政府組織の活動や国際的なテロ組織の細胞組織の活動は確認されておらず、テロの脅威度は比較的 低いとされています。ただし、2007 年のシェンゲン協定加盟により、域内の人の移動が大きく自由化したことから、テ ロ組織と繋がりを持つ人物がエストニア国内に流入する可能性は否定できません。

2.誘拐事件の発生状況

エストニアでは、2009 年、2010 年には誘拐事件は発生していませんでしたが、2011 年にロシア系の少女が被害者とな る身代金目的の誘拐事件が 1 件発生しました。 日本人が標的とされる可能性は低いものと見られます。

3.日本人・日本権益に対する脅威

エストニアにおける対日感情はおおむね良好であり、現在のところ、日本人・日本権益に対するテロの脅威は極めて低 いものと見られます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 116 -

【オーストリア】 1.概況

(1)オーストリアでは、1990 年代、オジャラン・クルド労働者党(PKK)党首逮捕に関連して、オーストリア在住クル ド人が在オーストリア・ギリシャ大使館及び同ケニア大使館を占拠した事件(1999 年 2 月) 、ドイツから国際手配されて いたドイツ赤軍(RAF)メンバー2 人がウィーン市内で発見され、警察との銃撃戦の末、1 人が射殺され、1 人が逮捕され た事件(1999 年 7 月)等が発生しました。

(2)2001 年 9 月の米国同時多発テロ事件以降、オーストリア治安当局は、イスラム過激派の脅威を重視して捜査等を 行っています。当局によれば、最近は、同派メンバーらが、インターネットを通じて過激化する例が増加しているほか、 テロ訓練キャンプに参加するためにパキスタン、アフガニスタン等に渡航し、過激化して帰国する例もみられます。こう した中、近年、以下のテロに関連する事案が発生しています。



2007 年 3 月、インターネット上で宣伝活動等を行っているアル・カーイダ系の「グローバル・イスラミック・メディ

ア・フロント(GIMF)」が、ドイツ及びオーストリアの両政府に対して、アフガニスタンからの軍の撤退等を求めるビデ オ声明を公表しました。同年 9 月、本件に関して、オーストリア人イスラム教徒 3 人が逮捕されました。



2009 年 11 月、イタリアを中心として欧州諸国等で「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM) 」関係者が

摘発された際、オーストリアでもアルジェリア人ら 2 人が逮捕されました。



2010 年 12 月、オーストリア在住のチェチェン人が、NATO 関連施設に対するテロ計画との関連でウィーン空港で逮捕

されました。



2011 年 5 月、ドイツ・タリバン・ムジャヒディンの構成員とされるドイツ人がウィーンで逮捕されました。



2011 年 6 月、テロ訓練キャンプに参加するためパキスタンに渡航しようとした関係者らがウィーン空港で逮捕され

ました。

(3)治安当局は、現時点でオーストリアにおける具体的なテロの脅威は把握されていないと評価しています。また、従 来、オーストリアにおけるイスラム過激派の活動は、勧誘、宣伝、資金獲得等が主たる目的であって、直接的なテロの脅 威は低いと考えられてきました。しかし、上記事案が発生していることもあり、今後、オーストリアがテロの標的となる 可能性も否定できません。

2.誘拐事件の発生状況

近年、誘拐事件は、年間 10 件から 20 件程度発生していますが、日本人を対象とした誘拐事件の発生は確認されていま せん。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところオーストリアでは、日本人・日本権益に対する脅威は高くありません。しかし、オーストリアには、 イスラム過激派の標的となり得る外国権益が多数存在し、また、過去にはオーストリアに所在する国際機関がテロの標的 となった例もあること、上記のような最近の状況であることを考慮すれば、日本人がテロの被害に巻き込まれる可能性は 否定できません。

- 117 -

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 118 -

【オランダ】 1.概況

(1)オランダを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織等によるテロの脅威にさらされています。2004 年 のマドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005 年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種 の治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010 年 12 月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自 爆テロに関連するとみられる爆発事件が発生するなど、欧州に対するテロの脅威は引き続き存在しています。

(2)しかし、オランダでは、最近 5 年間、重大なテロ事件は発生していません。オランダやオランダ人に対する具体的 な脅威の兆候はみられず、テロ対策調整官(NCTb)が様々な国内的、国際的要因を考慮して随時改定しているオランダ国 内の「テロ警戒度」は、現在、4 段階のうち低い方から 2 番目の「限定的(limited : the chance of the attack is relatively small, but cannot be excluded entirely. )」となっています。

2.誘拐事件の発生状況

治安当局における 2011 年の誘拐事件発生件数は未集計ですが、日本人を含む外国人を標的とする誘拐事件の発生は確 認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現時点において、オランダ国内の日本人・日本権益に対して、特に高い脅威が認められるような状況は確認されていま せん。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 119 -

【カザフスタン】 1.概況

(1)カザフスタンでは、2011 年、国家保安委員会アクトベ州局庁舎付近での爆発事件(5 月) 、テロ組織「ジュンド・ アル・カリフ」によるアティラウ市での爆発事件(10 月) 、ジハード主義者によるタラズ市での銃撃・自爆事件(11 月) などのテロ事件が発生し、カザフスタンの法執行機関によって関係者が拘束されました。

(2)カザフスタン政府は、テロ事件の未然防止に向けて取締を強化していますが、引き続き十分な注意が必要です。

2.各組織の活動状況

(1)新興のテロ組織「ジュンド・アル・カリフ」は、10 月 31 日にアティラウ州行政府庁舎及び同検察庁付近で 2 件の 爆発事件を引き起こし、11 月に構成員 3 人が拘束されました。最高検察庁によると、事件に関与した犯人は自爆した 1 人と拘束された 3 人とされています。

(2)このほか、アル・カーイダの組織網の一つとされ、2004 年に発生したウズベキスタンにおける一連の爆弾テロ事 件に関与したとされる「中央アジア・ジャマート・ムジャヒディン(イスラム義勇兵集団、Jamaat-Mujahed)」が、カザ フスタン国内でテロ要員のリクルートや資金集めを行っていたとされていますが、2011 年の活動は確認されていません。

(3)なお、「中央アジア・ジャマート・ムジャヒディン」は、米国、英国、イスラエル、ウズベキスタンを「イスラム の敵」とみなしており、カザフスタン政府については直接的なテロ目標として定めていませんが、一方、カザフスタン国 内には上記の国々の関連施設(大使館など)があり、それら施設へのテロの潜在的な可能性があると言えます。

3.誘拐事件の発生状況

カザフスタンでは、比較的経済水準が高いこともあり、社会不安は近隣諸国に比して顕在化していません。カザフスタ ン最高検察庁のデータによれば、2011 年中に 201 件の誘拐事件が発生していますが、外国人が誘拐される事案は確認さ れていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

反日感情を表明する組織の存在は確認されておらず、国内において日本人や日本国益を特に標的としたテロや誘拐の脅 威は比較的低いとみられますが、外国人に対する誘拐の脅威があることから、注意が必要です。また、2011 年は当局が テロと認める事件が発生したことから、偶発的に在留邦人や旅行者がテロや誘拐事件に巻き込まれる可能性は否定できま せん。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 120 -

【キプロス】 1.概況

(1)キプロス共和国においては、反体制組織の活動や国際テロ組織等との関係を持つとみられる組織の活動は確認され ていません。また、2011 年中にキプロス治安当局がテロと認定するような事件は確認されていません。

(2)キプロス共和国は、中東に隣接する地理的環境から、1975 年のレバノン内戦や中東諸国の政情不安等の際に、中 東から多数の移民が流入し、1980 年代にはアラブ、パレスチナ及びイスラエル権益を標的としたテロ事件が多数発生し ました。しかし、国内におけるテロ強化対策や国際情勢の変化により、近年テロ事件は発生していません。

(3)近年は主に経済的理由や政治的不安から、アフリカ、中東諸国等からキプロス共和国に不法入国する移民の急増が 社会問題化しています。移民の大半はイスラム教徒ですが、現在までキプロス国内にイスラム過激派との接点を有する組 織やその他過激な組織・個人の存在は把握されていません。一方、キプロス共和国は、イラクに対する武力行使の際に兵 站基地となった英軍施設も国内に所在していることから、国際テロ組織の標的となる可能性、国際テロ組織が国内に浸透 する可能性は常にあります。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、不法にキプロス共和国に入国した移民等の間の内輪揉めとみられる拉致事件等は数件発生しているものの、 外国人や観光客等を直接の標的とした誘拐事件は発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

2011 年中に日本人をねらった犯罪は確認されておらず、今後も日本人・日本権益がテロ攻撃の直接的な標的となる可 能性は低いと言えます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 121 -

【ギリシャ】 1.概況

(1)ギリシャでは、2011 年中、首都アテネを中心に爆弾や時限発火物等を利用したテロ事件が、組織性や政治的背景 が必ずしも判然としない事件を含めて 30 件近く発生したものの、発生件数は 2010 年と比較し概ね半減しました。国内テ ロ組織による攻撃も減少していますが、テロ組織の中には未だに逮捕されていない構成員や未発見の武器庫等の関連施設 が残存していると言われていることから、今後、これらの組織が攻撃を先鋭化させ、凶悪なテロ攻撃を敢行する危険性も 含んでいます。

(2)ギリシャでは、現在までグローバル・ジハードを標榜するようなアル・カーイダ等国際テロ組織及び同組織と接点 を有する国内組織や個人は把握されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年における外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

2011 年中のギリシャ国内におけるテロ発生状況を分析すると、次の特徴が挙げられます。

(1)大半の攻撃は多数の殺傷を直接目的としておらず、発生時間も深夜・早朝時間帯となっています。

(2)攻撃対象は政府、警察等の公的機関、政治事務所、欧米系商業施設等で、観光施設や観光客を対象とした事件は確 認されていません。

(3)ギリシャ国内テロ組織で日本権益をテロ攻撃の直接の対象とする旨主張している組織は確認されていません。

以上のことから、現状においてギリシャ国内のテロ組織等が日本人・日本権益をテロ攻撃の直接の対象とする可能性は 低いものと思われます。しかし、都市部における公的機関や欧米主要国権益等を標的としたテロ攻撃は半ば常態化してお り、今後もその発生が危惧されています。ついては攻撃対象と考えられる様な施設等の周辺への不要不急な接近は控える など、十分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 122 -

【キルギス】 1. 概要

(1)キルギスでは、国内裁判所の決定によって、「ヒズブ・タフリール・アル・イスラム」、「アル・カーイダ」、「タリ バーン運動」 、 「東トルキスタン・イスラム運動」 、 「クルド人民会議」 、 「東トルキスタン解放組織」 、 「ジハード団(イスラ ムジハード連合) 」、 「ウズベキスタン・イスラム運動(IMU) 」の 8 組織が、非合法組織(うち「ビズブ・タフリール・ア ル・イスラム」は過激主義組織、また、その他の7組織はテロ組織)として認定されています。

(2)2010 年末に首都ビシュケク市で発生した数件の爆弾テロ事件(未遂含む)に関連し、2011 年初め、治安当局が、 テロ組織の潜伏先を捜索した際、警察官 3 名が射殺されたことを受け、その翌日、当局は同組織のメンバー全員を、射殺、 または拘束しました。

(3)また、2011 年 10 月には南部地域において、治安当局がテロ組織を内偵中、これに気付いた同組織メンバーの 1 人 が通行中のミニバスを乗っ取り、治安当局との銃撃戦の末に射殺されました。この事件では、後に数名が拘束され、多数 の銃器等が押収されました。同組織は、2011 年 10 月 30 日に投票が行われたキルギス大統領選挙の実施前に、首都等複 数の都市でテロ事件を計画していたとされています。

(4)このほか、キルギス南部地域は、イスラム過激派の活動が活発なフェルガナ盆地に近いこと、山岳地帯のため治安 当局の摘発が困難であることなどから、イスラム過激派組織の移動経路や麻薬の運搬経路であるとされています。

2. 各組織の活動状況または各地域の治安情勢

(1)キルギスは、イスラム過激派の移動経路であるだけでなく、国内に複数の過激派分子が潜伏しており、テロリスト が水面下で作戦行動の準備を進めているとされています。

(2)2011 年 10 月に南部地域で発生したバスジャック事件では、ジハード団やウズベキスタン・イスラム運動が関連し ていたとの報道がなされています。

(3)なお、近年、キルギスでは、ヒズブ・タフリール(解放党)の活動が活発化しており、政府による取締りが強化さ れています。ただし、これまでのところ、同組織が直接テロ活動に関与したとの情報はありません。

3. 誘拐事件の発生状況

2011 年、キルギスにおいて外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていませんが、11 月 25 日付で、キルギスを 含む中央アジア5カ国に対し、 「外国人に対する誘拐の脅威」に関するスポット情報が発出され、現在も有効となってお ります。

4. 日本人・日本権益に対する脅威

キルギスでは、1999 年に南部山岳地帯において、イスラム過激派による JICA(国際協力事業団。当時)派遣の日本人 鉱山技師の誘拐事件が発生しています。また、このほか、アル・カーイダ関係者を名乗る者等からも、日本を攻撃対象と して名指しする声明がインターネット等を通じて出されています。また、外国人に対する脅威があり、日本人及び日本権 益を標的としたテロや誘拐事件が発生する可能性は、決して排除できず、十分な注意が必要です。

- 123 -

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2010 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 124 -

【グルジア】 1.概況

近年、グルジアでは、イスラム過激派等国際テロ組織の顕著な動きは確認されていません。しかし、アブハジア及び南 オセチア地域における民族紛争を依然として抱えており、2008 年 8 月には南オセチアにおける軍事衝突を契機にグルジ アとロシアの紛争に発展しました。紛争後、これら地域は独立を宣言し、今までにロシアを含む 4 ヶ国によって独立国家 として承認され、ロシア軍の駐留が続いています。グルジア中央政府支配地域とこれら地域との行政境界付近で散発的な 事件・事案が発生する他は、国内の状況は概ね平穏ですが、今後の情勢如何によっては、治安情勢が悪化する可能性があ ります。 なお、2012 年 2 月 13 日には、首都トビリシのイスラエル大使館職員の乗用車に爆弾が仕掛けられるという事件が起こ りました(同職員の通報を受けたグルジア当局が爆弾を回収・処理)。この事件については、グルジア当局による捜査が 継続中であり、詳細は明らかになっていません。

2.誘拐事件の発生状況

グルジアでは、独立後は不安定な経済や上記民族紛争を背景とした誘拐事件が多発していましたが、現在では外国人を ねらった誘拐事件は大幅に減少しています。ただし、今後の情勢如何によって状況が変わる場合もありますので、注意す る必要があります。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現時点では、日本人・日本権益を直接の標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられています。しかし、アブハジア及 び南オセチアの民族紛争、更には、2008 年 8 月のロシアとの武力紛争に伴いグルジアとロシアの関係が悪化している中、 今後の情勢如何によっては日本人が不測の事態に巻き込まれる可能性は排除されず、十分な注意が必要です。

<2012 年 2 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2012 年 2 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもので あり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 125 -

【クロアチア】 1.概況

(1)クロアチアでは、1995 年 11 月、西部のリエカ市の警察本部に対する自動車による自爆テロ事件、が発生し、イス ラム過激派「ガマーア・アル・イスラーミーア(Gama’a al-Islamiyya) 」の関与が指摘されました。しかし、これ以降、 国際テロ事件は発生しておらず、現在、クロアチアで活動する国際テロ組織の存在や、国内におけるテロの具体的な脅威 は確認されていません。

(2)しかしながら、クロアチア国内には先の旧ユーゴ紛争時に使用された武器・兵器が未だ多数残存しており、これら が治安上の脅威となっています。2010 年には、クロアチア南部ソリン市において、酒に酔った少年が警察署に爆弾を投 げ込む事件や、精神異常がある失業中の退役兵が爆弾を所持してガソリンスタンドに立て籠もるなど、爆弾を用いた事件 が立て続けに発生したほか、マフィアの抗争事件から男女間のトラブルに至るまで、爆弾やけん銃が使用される事案が散 見されています。

(3)また、クロアチアは、中近東、南・東欧地域と西欧諸国を結ぶ、いわゆる「バルカン・ルート」上にあり、また、 アドリア海の入り組んだ、海岸線を有しているなどの地理的要因から、国際テロ組織に対してインフラを提供する可能性 が指摘されています。

(4)さらに、隣国ボスニア・ヘルツェゴビナでは、過去に多くのムジャヒディン(イスラム義勇兵)を受け入れ、2005 年には欧州でのテロを企図していたとされるグループが検挙され、2010 年にはクロアチア国境近くの村でイスラム過激 派のアジトが摘発され、2011 年にはサラエボの米国大使館に対する銃乱射事件が発生しました。このようにボスニア・ ヘルツェゴビナではイスラム過激派の活動が確認されていることから、これらのグループのクロアチアへの越境が懸念さ れています。

2.誘拐事件の発生状況

クロアチアでは、2007 年 14 件、2008 年 16 件、2009 年 12 件、2010 年 12 件、2011 年 6 件の誘拐事件(逮捕・監禁を 含む)がそれぞれ発生しましたが、外国人を標的にした誘拐事件は発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

クロアチアでは、一般的に日本及び日本人に対する感情は良好と言えますが、上記治安情勢のほか、アル・カーイダ 関係者と名乗る者等により日本を攻撃対象として名指しする声明が過去にインターネット等を通じて出されたことがあ ることを考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、標的とされる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 126 -

【コソボ】 1.概況

(1)コソボでは、アルバニア系住民とセルビア系住民の間に対立が残っていることに加え、今後のコソボ北部等におけ るコソボ政府やEU法の支配ミッション(EULEX)の活動、コソボとセルビア、EU等との関係、厳しい経済状況等をめ ぐり、コソボ政府又は国際社会に不満が向けられ、テロや暴動が発生する可能性があります。 2008 年 2 月にセルビアからの独立を宣言した直後には、独立に反対するセルビア系住民が各地で大規模なデモを起こ し、北部のセルビアとの国境チェック・ポイント 2 ヶ所を襲撃したほか、同年 3 月にはセルビア系住民がコソボ北部ミト ロビツァの裁判所を占拠し、鎮圧に当たった国連コソボ暫定行政ミッション(UNMIK)警察官1人が死亡する事案、11 月 には国際文民事務所(ICO)敷地内で爆発事件が発生しましたが、その後は、総じて、コソボ全土の治安情勢を大きく損 ねるような事案は発生していません。 しかし、北部を中心にアルバニア系住民とセルビア系住民の衝突が散発するなど両者の対立は依然として根深く、予断 を許しません。2009 年 11 月、12 月の地方選挙に際しては、西部デチャンにおけるサチ首相の車列への投石事件、北部ズ ベチャンにおける爆発事件、ミトロビツァにおける銃撃事件が発生したほか、2010 年にも、コソボ独立支持を発言して いたボシュニャク系指導者が殺害されるなどしています。また、2011 年には、コソボ警察特殊部隊の北部検問所制圧作 戦を契機としてセルビア系住民が北部地域の道路を封鎖し、これを解除しようとした国際安全保障部隊(KFOR)とセルビ ア系住民との間で衝突が発生し、負傷者が出たなど、政治情勢や民族感情を刺激する事案と関連してテロ等暴力事件が発 生する可能性が懸念されます。

(2)現在までのところ、コソボでは、アル・カーイダ等の国際テロ組織の活動は確認されていません。しかし、コソボ においてもセルビア南部のサンジャク地方やボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニアと同様、過激な主張を行うグループ が活動しており、過激思想の拡散等が懸念されています。また、コソボ政府は、2009 年6月に公表した「テロリズムに 対する国家戦略及び行動計画」において、地元イスラム教徒を過激化させ得るイスラム過激派の脅威や、テロとの闘いに 関与しているコソボ駐留の国際機関がテロの標的となる可能性等について言及しています。

2.誘拐事件の発生状況

近年、外国人が誘拐された事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現時点において、コソボにおける日本人・日本権益に対する高い脅威が存在するという状況ではありませんが、上記の 情勢を考慮すれば、偶発的にテロ等の事件に巻き込まれる可能性もあり、特に北部においては十分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 127 -

【サンマリノ】 1.概況

サンマリノの治安は安定しており、国内における反政府組織の活動や国際テロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を標的とする誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 128 -

【スイス】 1.概況

(1)2011 年、スイスでは以下の 2 件のテロ事件が発生しました。



1 月、世界経済フォーラム(通称ダボス会議)期間中、ダボス市内ホテルで爆発事件が発生しました。



3 月、スイス原子力団体事務所に送られた郵便物が爆発し、開封した職員 2 名が負傷する事件が発生しました。報

道によると、イタリアの無政府組織「非公式な無政府組織連盟(FAI)」による犯行声明文が発見され、爆発物は海外から 発送されたものとされています。

(2)スイスには多数の移民や外国人が居住しており、更に、2008 年のシェンゲン協定加盟後、スイスでは周辺国との 間で人の往来が以前にも増して自由になっています。今後、人的つながりを通して、他国のテロ組織が、スイス国内の支 援組織と連携してテロ活動を行う可能性があります。

(3)また、スイス国内に居住するイスラム教のサラフィスト(Salafist)は、欧州各国、特にドイツ国内のサラフィス ト・グループとの接触を維持し、物資供給や宣伝活動のみならず、連携しながら行動している可能性も指摘されています。

(4)スイスは、テロ対策に関連する各種国際条約を締結するとともに、マネー・ロンダリングに関する刑罰を強化し、 また、テロ組織に関連した司法共助等の国際協力を行うなど、テロ対策の強化に努めています。

2.誘拐事件の発生状況

2010 年、スイス国内では、誘拐、拘束、連れ去り事件が合計 303 件発生しました。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、スイスでは、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威度は低いとみられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 129 -

【スウェーデン】 1.概況

(1)スウェーデンを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織等によるテロの脅威にさらされています。2004 年のマドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005 年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各 種の治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010 年 12 月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に 自爆テロ事件が発生するなど、欧州に対するテロの脅威は引き続き存在しています。

(2)スウェーデンでは、2010 年 10 月、スウェーデンに対するテロの脅威が高まったとして、脅威レベルを 5 段階中 2 番目に低いレベルから 3 番目のレベルへと引き上げました。その後、上述のとおり、同年 12 月にストックホルム市内中 心部においてスウェーデン国内で初めての自爆テロ事件が発生し、実行犯とされる男が死亡、ほか 2 人が軽傷を負いまし た。

(3)2007 年 8 月に、イスラム教の預言者ムハンマドの顔をした犬が描かれた風刺画が地方紙に掲載されて以降、イス ラム教徒による抗議行動が各地で行われたほか、風刺画の作者の殺害や画を掲載した新聞社及びスウェーデンに対する報 復の呼びかけが一部続いており、今後も関連の脅威に注意する必要があります。

(4)スウェーデンには、同国を本拠地とするテロ組織の存在は確認されていませんが、国際的なテロ・ネットワークの 一部として専ら資金調達や人材のリクルートを行っている者が存在するとされています。また、他の欧州諸国と同様に若 者の過激化が懸念されています。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件はほとんど発生していませんが、企業の経営者やその家族を狙った誘拐事件がごくまれに発生しています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、スウェーデンにおいて日本人・日本権益に対するテロや誘拐の具体的な脅威は認められませんが、 近年でも、欧州を含む世界各地で国際テロ活動が継続しており、首都ストックホルムにおいて自爆テロ事件が発生してい る現状を考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず直接の標的とされる可能性も完全には否定できず、注意が必要 です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 130 -

【スペイン】 1.概況

(1)スペインを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織等によるテロの脅威にさらされています。2004 年 のマドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005 年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種 の治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010 年 12 月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自 爆テロに関連するとみられる爆発事件が発生するなど、欧州に対するテロの脅威は引き続き存在しています。

(2)スペインでは、アル・カーイダ(AQ)と関係を有するとされている北アフリカのイスラム過激派、及びテロ組織バ スク祖国と自由(ETA)が最大の脅威となっています。

(3)2011 年、スペイン治安当局は、AQ と関係があるグループメンバーの逮捕、アジトの捜索等徹底した取締りを以下 のとおり実施しています。



1 月 28 日、スペイン治安当局は、バルセロナにおいて、AQ と関係があるグループのために旅券を偽造していたグ

ループとつながりがあるパキスタン人を逮捕しました。



8 月 17 日、スペイン内務省の発表によれば、治安当局は、プロパガンダの拡散と聖戦テロ活動の参加者採用を狙っ

てインターネット上でサイトを運営したとされるイスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM)のメンバーとみられ るモロッコ人を、南部沿岸の町ラリネアデラコンセプシオンにおいて逮捕しました。



9 月 20 日、スペイン内務省の発表によれば、治安当局は、マジョルカ島カララトハダカプデペラにおいて、AQ 構

成員とされるキューバ国籍の男を逮捕した旨明らかにしました。



9 月 27 日、スペイン内務省は、北部バスク、ナバラ各自治州の 4 つの町において、AQIM に送金した疑いのあるア

ルジェリア人 5 人を逮捕したと発表しました。

(4)2011 年中、スペイン治安当局は、以下のとおりフランス治安当局と連携してフランス国内で ETA メンバーの逮捕、 アジトの捜索等徹底した取締りを実施して大きな打撃を与えたと見られます。10 月 20 日、ETA は武装活動を完全に停止 するとの宣言を行いました。しかしながら、ETA は未だにテロを実行する能力を維持していると見られることから楽観視 は出来ません。



1 月 11 日、フランス南部シブールにおいて、ETA メンバー2 名をフランス治安当局との合同作戦で逮捕。



1 月 18 日、ETA に関連があるとされる組織 EKIN 及び ASKATASUNA に所属する 10 名を逮捕。



2 月 10 日、フランス南部バイヨンヌにおいて、ETA の最重要指名手配者エイデル・ツリアラインを逮捕。



3 月 1 日、スペイン北部ビスカヤにおいて、ETA メンバー4 名を逮捕し、爆薬 180 キロと電子部品等を押収。



3 月 10 日、フランス北東部ウイランクールにおいて、ETA の軍事司令官アレハンドロ・ソバラン・アリオラ、兵站

部門を率いるミケル・オロス・トレアその他 2 名を逮捕。

- 131 -



4 月 12 日、スペイン北部レゴレタにおいて、ETA メンバー2 名を逮捕し、硝酸アンモニウム肥料 850 キロ、起爆装

置及び 1.6 トンの過去最大の押収量となる爆弾製造材料を押収。



5 月 25 日、ルバルカバ内相は、コロンビア革命軍(FARC)に訓練を施していたとみられる ETA メンバーのイナキ・

ドミンゲス・アトザランダバソがフランス・モダンで拘束されたと発表。



5 月 25 日、スペイン北部イルンにおいて、ETA の元指導者のイグナシオ・ミゲル・グラシア・アレギを誘拐罪で逮

捕。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、外国人を標的とする誘拐事件の発生は確認されませんでした。

3.日本人・日本権益に対する脅威

(1)これまでに爆破テロ等を計画していたとされるイスラム過激派関係者が逮捕されており、イスラム過激派がスペイ ン国内でテロを計画・実行する可能性は否定できません。また、AQ 関係者を名乗る者等により日本を攻撃対象として名 指しする声明がインターネット等を通じて出されている現状を考慮すれば、日本人・日本権益が巻き添え等偶発的な被害 を受けるのみならず直接の標的とされる可能性も完全には排除できず、注意が必要です。

(2)また、ETA は引き続き爆弾テロを実行しており、日本人が被害に巻き込まれる可能性は否定できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 132 -

【スロバキア】 1.概況

(1)スロバキア国内では、反政府組織やテロ組織の存在及び活動は確認されておらず、また、2010 年に引き続き、2011 年においてもテロと認定された事件は発生しませんでした。

(2)イスラム過激派等国際テロ組織が武器調達、資金洗浄、逃亡者への隠れ家提供等の支援活動の一拠点としてスロバ キアを利用するような動きについて、警察当局が監視を続けていますが、特段目立った動向はみられませんでした。

2.誘拐事件の発生状況

スロバキアでは、誘拐事件の発生は極めて少ないとされており、日本人を含め外国人を標的とするような誘拐事件は報 告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益に対するテロや誘拐の脅威は低いと見られています。なお、首都ブラチスラバで は、日本人が殺人や強盗、誘拐等の凶悪事件に巻き込まれたケースは現在までのところ報告されておりません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 133 -

【スロベニア】 1.概況

(1)スロベニアでは、イスラム過激派組織などの国際テロ組織の存在は確認されていません。

(2)しかしながら、2009 年に、スロベニアで初めてテロ関連処罰規定が適用される爆弾事件が発生して以来、爆弾事 件が断続的に発生するようになっています。ギャング団同士の抗争や個人的な怨恨で爆弾が使用されることもあり、首都 リュブリャナの官庁街や郊外のナイトクラブが狙われ、爆発で多数の重傷者が出た例もあります。2010 年には、国際テ ロリストとして手配中のドイツ人 2 名がスロベニア国内で検挙されました。また、2011 年には、爆破予告等の騒ぎが 5 件発生していますので、注意が必要です。

2.誘拐事件の発生状況

スロベニア治安当局によれば、誘拐事件の発生は年間で数件程度と少なく、2011 年の発生件数は 1 件でした。 現在のところ、日本人又は日本企業を標的とする特別な兆候は認められませんが、2011 年に発生した 1 件の誘拐事件 は、スロベニア在住の外国人起業家の子女に対する身代金目的誘拐という形態で、外国人が被害に遭っており、注意が必 要です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

スロベニア治安当局は、現在のところ、日本人・日本権益に対するテロの脅威はないとしていますが、上記1.(2) のとおり断続的に爆弾事件が発生している状況に鑑みれば、巻き添え等偶発的な被害に遭う可能性は否定できず、注意が 必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 134 -

【セルビア】 1.概況

セルビアでは、反政府組織や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認されていません。しかしながら、アルバニア系住民 とセルビア系住民が混在するセルビア南部の地方では過去に民族対立等に起因する重大事件が発生しています。 セルビア国内では 2011 年にはテロ事件は発生しませんでした。しかし、2011 年 10 月、隣国ボスニア・ヘルツェゴビ ナで、イスラム教の中でも原理主義的なワッハーブ派に属するセルビア人男性が、首都サラエボのアメリカ大使館に対し て銃を乱射する事件が発生しています。ワッハーブ派の活動が確認されているセルビア国内においても潜在的危険は存在 することから、今後の動向には厳重な注意が必要です。

2.各地域の情勢

(1)ベオグラード、ノビサド、ニーシュ等の主要都市

外国人観光客の多い上記の各都市において、テロ事件の発生は確認されていません。

(2)南部

コソボ東部に隣接するプレシェボ、メドベジャ及びブヤノバツの各地域では、過去に、各地方議会において、セルビア 政府に自治権の強化を求める決議が採択されているほか、セルビアから分離しコソボへの統合を目指す動きもあり、同地 域の動向には注意が必要です。

(3)サンジャク地方

モンテネグロとコソボに隣接するセルビア南西部のサンジャク地方にはスラブ系イスラム教徒が多数居住しています。 また、イスラム教ワッハーブ派の活動が確認されており、2007 年 3 月にはワッハーブ派の拠点から大量の武器が押収さ れました。同年 4 月には、イスラム系過激派組織のリーダーが潜伏しているとみられる場所を警察が家宅捜索しようとし たところ、手榴弾等を使って抵抗し、警官隊と銃撃戦になり、死傷者が発生しています。 2011 年 10 月には、ワッハーブ派に属するセルビア人男性が隣国ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボでアメリカ 大使館に銃を乱射した事件に関連して、犯人と密接な関係にあるセルビア人 17 名が、サンジャク地方で逮捕されました。 (ただし、すぐに釈放。 )

3.誘拐事件の発生状況

富裕層を狙った誘拐事件は発生していますが、日本人を含む外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、セルビアでは日本人・日本権益を標的とする過激派組織等は確認されておらず、テロや誘拐の脅威 が高いとは見られておりません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記)

- 135 -

「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 136 -

【タジキスタン】 1.概況

(1)治安情勢について

内戦終結後、反政府勢力の中心であるタジキスタン東部ゴルノ・バタフシャン自治州、同中東部ガルム地方等では、治 安情勢は改善されつつありましたが、2005 年以降、イスラム過激主義者の活動が活発化するに伴い、再び悪化傾向にあ ります。首都ドゥシャンベ市内においては 2007 年に 3 件、2008 年に 2 件、2009 年に 3 件、2010 年に 4 件、そして 2011 年 3 月にはドシャンベ市内のレストラン駐車場にて爆発事件がそれぞれ発生しています。右を除き、2011 年には、政府 側の反政府勢力への掃討作戦やウズベキスタン・イスラーム運動(IMU)及びヒズブ・タフリール(HT)に対する大 量検挙により、主立った事件発生はありませんでした。

(2) 各組織の動向

タジキスタン最高裁判所が公式に認定している過激主義組織として、アル・カーイダ、IMU、タリバーン、サラフィ、 HT、トジキストン・オゾード(自由なタジキスタン)などがあります。北部ソグド州を中心に活動しているHTについ ては、2010 年、タジキスタン治安当局が同組織への取締を強めた結果、多数の逮捕者を出しています。また、2009 年 1 月にタジキスタン最高裁判所が宗教団体サラフィを過激主義に認定し、治安当局の取締が強化されています。サラフィは 現在のところ、布教活動のみで、武力行使や反政府的な言動等は見られませんが、徐々に勢力拡大傾向にあります。また、 IMUにはイスラム教義指導を標榜したメンバー獲得の動きもあります。 報道によれば、2006 年 1 月にソグド州で発生したカイラクム刑務所襲撃事件については、IMUによる犯行でしたが、 同年 6 月にドゥシャンベ市内で発生の連続爆発テロ事件については、愉快犯的犯行であることが判明しています。2007 年以降発生した複数の爆発テロ事件については、どのような組織による犯行か不明でしたが、2010 年 9 月にソグド州ホ ジャンド市で発生したソグド州内務局組織犯罪対策課庁舎に対する自爆テロ事件では、宗教団体「タジクにおけるジャマ アト・アンサルラフ」が犯行声明を出しています。

2.誘拐事件の発生状況

内務省の発表によれば、2011 年中 6 件の誘拐事件が発生しており、そのほとんどがタジキスタン南部のアフガニスタ ン国境沿いで発生しています。誘拐事件発生の原因は麻薬売買に伴う金銭の支払いに絡むトラブルと見られ、現在のとこ ろ外国人を標的とした誘拐事件は発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

タジキスタンにおいては、ドゥスティ-ニジノピャンジ間、クルガンチュベ-ドゥスティ間道路改修プロジェクトや草 の根無償資金協力等の経済支援を通して、日本及び日本人に対する国民感情が大変良いと思われます。このため、日本人・ 日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いと見られていますが、国民の大多数が貧困層であり、貧富の格差が激しく なりつつある現状においては、日本人・日本権益が標的とされなくても、誘拐等に巻き込まれるおそれがありますので、 依然として注意が必要です。

4.タジキスタン政府のテロ対策

タジキスタンではテロ対策を専門に扱う機関は設立されていませんが、内務省及び国家安全保障委員会がテロ対策を推 進しています。また、緊急事態の発生に応じて関係機関が連携し、事態の対応に当たっています。

- 137 -

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 138 -

【チェコ】 1.概況

(1)近年、チェコ国内で、テロ事件は発生していません。

(2)しかし、チェコ治安当局は、チェコ国内でテロ事件が発生する可能性は、決して排除できないと評価しています。 また、2011 年 4 月には、チェコ国外の国際テロ組織と関連を有する人物 7 名の身柄を拘束しており、チェコ国内外にお ける国際テロ組織の動向に警戒しています。

(3)チェコ治安当局は、チェコ国内でテロの対象となる可能性の高い施設や人物として、米国、英国及びイスラエルの 関連施設、中央官庁関連施設、国際テロの根絶・防止に向けて取り組む国々の公館及びその館員、ユダヤ関連の建造物等 のほか、空港、公共交通機関、発電所、大型ショッピングセンター及びホテル等のいわゆるソフトターゲットを挙げてい ます。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

チェコ国内には、右翼、左翼の過激派組織、無政府主義組織等が存在します。これまでのところ、これらの組織が暴力 主義的な破壊活動を敢行したり、国際テロ組織と連携したりするような兆候は認められていませんが、注意が必要です。

3.誘拐事件の発生状況

近年、チェコ国内では年間 10 件程度の誘拐事件が発生しています。しかし、組織的に誘拐を繰り返す犯罪グループの 存在は確認されていません。なお、誘拐事件の主な背景としては、身代金目的、貸金回収のための脅迫目的、離婚した夫 婦間における子供の奪い合い、わいせつ目的等が挙げられます。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益に対する具体的な脅威は確認されていませんが、公共交通機関等のいわゆるソフ トターゲットへのテロが敢行された場合、日本人・日本権益が巻き添えを受ける可能性がありますので、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 139 -

【デンマーク】 1. 概況

(1) デンマークを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激組織等によるテロの脅威にさらされています。2004 年 のマドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005 年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種 の治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010 年 12 月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自 爆テロに関連するとみられる爆発事件が発生しました。また、2011 年 7 月にはノルウェーの首都オスロにおいても単独 無差別テロ事件が発生するなど、欧州に対するテロの脅威は引き続き存在しています。

(2) 2005 年のユランポステン紙へのムハンマドの風刺画掲載以降、デンマークではテロ攻撃の脅威が高まっており、 2008 年には在パキスタン・デンマーク大使館が自爆テロ攻撃を受けました。治安当局は、2008 年のムハンマド風刺画再 掲載を契機にイスラム過激派がデンマークを優先的なテロ攻撃目標の一つとしており、テロ実行部隊をデンマークに送る ことを模索しているとの見解を示しています。2009 年には米国シカゴにおいて、デンマーク国内でのテロ攻撃を計画・ 準備したとして、米国国籍及びカナダ国籍の男計 2 人がシカゴ連邦捜査局に逮捕されました。また、2010 年には、1 月に、 上記風刺画家の殺害を目的として画家の自宅に斧を持って押し入った男が警察に制圧される事件、9 月には、同風刺画を 掲載したユランポステン紙に小包爆弾を送りつけようとした男が爆弾製造中に誤爆させた事件が発生しました。12 月に は、デンマーク国内でテロを計画していたグループのメンバーが、デンマーク国内で 4 人、スウェーデンで 1 人逮捕され ました。

(3) 治安当局は、国外を基盤として活動するイスラム過激派と国内に存在する過激分子との連携の活発化に備え、警 戒を強化しています。また、2011 年 7 月のノルウェーでのテロ事件発生も受けて監視活動を強化しています。

2. 誘拐事件の発生状況

2011 年中、外国人を対象とした誘拐事件は確認されませんでした。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益に対する具体的な脅威は認められません。 しかし、上記のとおり、デンマークにおいてテロが発生する可能性がある現状を考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害 のみならず、標的とされる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 140 -

【ドイツ】 1.概況

(1)ドイツを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織等によるテロの脅威にさらされています。2004 年の マドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005 年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種の 治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010 年 12 月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自爆 テロに関連するとみられる爆発事件が発生するなど、欧州に対するテロの脅威は引き続き存在しています。

(2)ドイツにおいても、2006 年 7 月、ドルトムント及びコブレンツにおいて、レバノン人留学生 2 人を実行犯とする 列車爆弾テロ未遂事件が発生したほか、2007 年 9 月には、イスラム聖戦連合(IJU)の構成員 3 人が、ドイツ国内で米軍 関係者や米軍施設などに対するテロを計画していたとして逮捕・起訴され、2010 年 3 月に有罪判決が下されました。

(3)2011 年には、3 月、フランクフルト空港において、イスラム過激主義のコソボ・セルビア人が米軍兵士を銃撃し、 2 人を殺害し 2 人に重傷を負わせる事件が発生したほか、4 月、アル・カーイダ構成員の 3 人が、ドイツ国内でテロを計 画していたとして逮捕・起訴されるなど、ドイツにおけるイスラム過激主義者によるテロの可能性については引き続き予 断を許しません。

2.誘拐事件の発生状況

ドイツにおける近年の誘拐事件の発生件数は、年間 40 件~70 件程度ですが、外国人旅行者や外国企業関係者を標的と した事件は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現時点では、ドイツ国内の日本人・日本権益に対し、特に高い脅威が認められるという情勢にはないものの、上記の国 内情勢一般に鑑み、注意が必要です。また、アル・カーイダ関係者と名乗る者等により日本を攻撃対象として名指しする 声明がインターネット等を通じて出されている現状を考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標的とさ れる可能性も完全には排除できず、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 141 -

【トルクメニスタン】 1.概況

トルクメニスタン政府は一般に犯罪統計等の情報を公表していませんが、同国政府によれば、2011 年中、テロ事件、 及び外国人を対象とした誘拐事件は発生しておらず、また、国内におけるテロリストの存在も皆無であるとされています。 トルクメニスタンは、イスラム教国(主としてスンニ派)ではありますが、緩やかな教義解釈であり、旧ソ連圏である ためロシア正教信者も多く、酒やたばこも自由であり、各部族や集団を通じたイスラム原理主義等の浸透の可能性は低い とみられています。しかしながら、政府の腐敗(汚職)、強力な言論統制、高い失業率、地方住民の生活水準の低さ等に より、社会に対する不満を抱く者の増加が予想され、今後の政策次第では、イスラム原理主義等の過激な思想を普及させ る土壌が拡大しかねないため、引き続き情勢を注視していく必要があります。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

トルクメニスタンにテロ組織が存在するという情報は確認されていません。

3.誘拐事件の発生状況

2011 年、トルクメニスタンでは外国人を対象とした誘拐事件発生の情報は確認されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

政府による強力な情報統制により、表面的には国内の治安は安定しているように見え、日本人や日本権益に対する脅威 に関する具体的な情報はありません。しかし、トルクメニスタンは、アフガニスタン、イラン等の国々と国境を接してお り、周辺諸国の情勢によっては治安情勢が急変する可能性があります。また、日本を含む米国等の先進諸国が、イスラム 国際テロ組織から攻撃対象として名指しされている現状を考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標的 とされる可能性も排除されず、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 142 -

【ノルウェー】 1.概況

(1)ノルウェーを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織によるテロの脅威にさらされています。2004 年 のマドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005 年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種 の治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010 年 12 月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自 爆テロに関連するとみられる爆発事件が発生するなど、欧州に対するテロの脅威は引き続き存在しています。

(2) ノルウェーにおいては、2011 年 7 月 22 日、オスロ市中心部等 2 か所において、同一犯人による連続テロ事件が発 生し、オスロ市中心部の政府庁舎を狙った爆破事件では 8 人、オスロの北西約 40kmにある湖に浮かぶ島(ウトヤ島) において発生した銃撃事件では 69 人が犠牲となりました。容疑者は逮捕され、その司法手続等について当局で検討が行 われています。 この事件によって、ノルウェーのみならず欧州諸国において、反多文化主義や反イスラム化を主張する過激な団体、個 人によるテロへの警戒が強まっています。特に上記テロ事件に触発された模倣犯による単独テロが懸念されており、警察 の捜査対象となっていない人物によるテロの未然防止は困難を極めることから、治安当局は一層警戒を強めています。 また、国内政府関係機関や要人に対するテロ防止対策も強化されています。

(3)ノルウェー治安当局は、イスラム過激派組織を支援する人物がノルウェー国内にも存在することを明らかにしてお り、このような人物がノルウェー軍のアフガニスタン派兵に反発する人物等をリクルートして、国内に新たなテロ組織を 構築することなどを懸念しています。 また、現在、2010 年にノルウェー等においてテロ未遂容疑で逮捕された 3 人の事件を含め、イスラム過激派に関係す る 2 つの事件が係争中にあります。 ノルウェーは、国際テロ組織アル・カーイダ幹部から、日本等とともにテロのターゲットとして名指しされている国の 一つです。未だイスラム過激派によるテロは敢行されておらず、治安当局は警戒体制を維持しています。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、ノルウェー国内では、外国人を標的とする誘拐事件は発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、ノルウェー国内において日本人・日本権益が標的とされる事件に繋がるような具体的な兆候等は ありませんが、前述のとおり、アル・カーイダ幹部等により、ノルウェー等とともに日本を攻撃対象とする声明が出され ている現状を考慮すれば、巻き添えなどの偶発的な被害は勿論、直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 143 -

【バチカン】 1.概況

(1)バチカン市国警備当局によれば、現在までに、同市国内で、テロ事件或いは爆破予告等のテロ関連事件は発生して おらず、反政府組織の活動や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認されておりません。また、同市国民は約 800 名のカト リック関係者のみであり、テロ組織は存在しません。

(2)しかしながら、観光地であるサン・ピエトロ大聖堂、サン・ピエトロ広場及びバチカン美術館は一般に解放されて おり、テロリストが大衆に紛れて入り込む可能性は排除できないため、同市国警備当局及びイタリア警察当局による厳重 な警備体制が敷かれています。

2.誘拐事件の発生状況

バチカンでは、誘拐事件が発生したことはありません。

3.日本人に対する脅威

日本人に対する脅威は低いとみられています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 144 -

【ハンガリー】 1.概況

(1)ハンガリーでは、現在までのところ、アル・カーイダ等の国際テロ組織又はその支援組織の存在は確認されていま せん。また、国外からテロリストが流入し、テロ事件を敢行する可能性は否定できませんが、そのような動きは現在まで のところ確認されていません。

(2)しかしながら、ハンガリーには反政府的な主張・活動を行う極右組織が存在しています。2007 年から 2009 年にか けて、当時の与党・社会党議員宅や事務所、行政機関に対する爆発物や火炎びんの設置、投てき事件などが相次いで発生 し、これら事件の多くは極右組織の犯行とされています。2009 年には、極右組織による与党・社会党議員宅に対する爆 弾テロ計画の摘発を受け、極右組織の構成員の逮捕が相次ぎました。その結果、2009 年中盤以降は極右組織の活動は停 滞していると見られますが、引き続きその動向には注意が必要です。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年はハンガリー国内において 12 件の誘拐事件が発生しましたが、 政治的背景による誘拐事件は発生していません。 また、日本人を標的とした誘拐事件も発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的とするテロ及び誘拐の脅威が高いとは見られていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 145 -

【フィンランド】 1.概況

フィンランドでは、2011 年中、テロ事件の発生は認められませんでした。 しかしながら、治安当局によれば、2010 年 12 月のスウェーデン・ストックホルムにおけるテロ、及び、2011 年 6 月の ノルウェー・オスロにおけるテロの発生を受けて、同じ北欧諸国であるフィンランドにおいてもテロの潜在的脅威は排除 できないと言われています。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

フィンランドには、イスラム過激派等テロ組織の存在は確認されていません。アナキスト等個人活動家の存在が一部確 認されるものの、彼らはすべて治安当局の監視下にあるとされています。

3.誘拐事件の発生状況

フィンランドでは、2011 年中、身代金目的による誘拐事件の発生は認知されていません。治安当局によれば、フィン ランドにおいて身代金目的による誘拐事件が発生することは稀有と言われています。

4.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する具体的な脅威は見当たりません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 146 -

【フランス】 1.概況

(1)フランスを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織等によるテロの脅威にさらされています。2004 年 のマドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005 年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種 の治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010 年 12 月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自 爆テロ事件が発生するなど、欧州に対するテロの脅威は引き続き存在しています。

(2)現在、フランス国内においてイスラム過激派が根付いている兆候は確認されていませんが、フランスでは、治安上 最大の課題の一つがイスラム過激派によるテロへの対策と認識されており、治安当局もテロの未然防止を最優先に掲げ、 各種テロ対策を強力に推進しています。 その結果、2011 年中には、テロ組織とインターネット経由で接触した人物や、アフガニスタン等の戦闘地域から帰国 したジハーディストと見られる者が国内外で逮捕される事案等は発生したものの、イスラム過激派によるテロそのものは 発生しませんでした。 一方、国外ではフランス人やフランス権益を狙った誘拐事件が頻発しており、2011 年 11 月にもマリ北部においてフラ ンス人 2 名が武装集団に誘拐される事件が発生しています。 こうした状況を受けて、フランス国外のみならずフランス本土を標的としたテロの脅威についても現実的なものと考え られており、関係当局によるテロに備えた警戒が続いております。

(3)また、1976 年にコルシカ独立運動派が結成したコルシカ解放戦線(FLNC:Front de Liberation Nationale de la Corse)は、1983 年に解散命令が出されているにも拘らず、コルシカ民族主義に基づき、コルシカ島の独立を目指して非 合法活動を行っています。 ここ数年来、この団体によるテロ活動は減少傾向にあるといわれていますが、外国人が所有する別荘が攻撃対象となっ ている事案も多く、注意が必要です。

2.誘拐事件の発生状況

2010 年 12 月から 2011 年 11 月までの 12 か月間に、「窃盗の際の人質事件」が 15 件、「その他の目的の人質事件」が 8 件、「逮捕監禁等事件」が 2,186 件発生しています。

3.日本人・日本国益に対する脅威

日本人・日本権益を標的にしたテロ等の脅威は具体的には把握されていません。また、日本人が標的となるような社会 的背景もないことから、日本人・日本権益を直接狙ったテロの脅威は高いとは見られておりません。しかしながら、イス ラム過激派によるテロの脅威が存在していること、また、コルシカ島ではテロが実際に発生していることから、これら事 件に巻き込まれる危険性は排除されませんので、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011

- 147 -

年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 148 -

【ブルガリア】 1.概況

(1)ブルガリアではここ数年、テロ事件の発生は確認されていません。また、ブルガリア国内では、アル・カーイダ等 の国際テロ組織やその関連組織及び反政府組織、ブルガリア固有のテロ組織の存在は確認されていません。

(2)一方、2012 年 1 月には、レバノンの武装組織ヒズボラがブルガリアでイスラエル人に対するテロ攻撃を準備して いる可能性があると報道されました。2010 年 10 月には、アル・カーイダと繋がりがあるとされるレバノンのテロ組織「ア スバト・アル・アンサール」幹部がイラク・アフガニスタンに兵士を派遣しているブルガリアが、アル・カーイダの標的 になる可能性がある旨発言しており、ブルガリア自体がテロの標的となる可能性もあります。

(3)さらに、ブルガリアは中東諸国と西欧諸国との中間点に位置する地理的要因から、国際テロ組織の格好の中継地や 拠点地となる可能性は否定できません。実際に、トルコ国内からブルガリアを経由して西欧方面へ向かおうとしていたと みられるイスラム過激派構成員が、治安当局に拘束された事例があります。

2.誘拐事件の発生状況

略取誘拐・人身売買事件は、2010 年にはソフィア市をはじめとする国内主要都市などで 258 件(前年比 11.3%減)発 生し減少傾向にありますが、発生率は日本の約 24.6 倍にもなります。主な原因はマフィアの抗争絡み、利権を巡る主導 権争いや、ロマ人などに対する人身売買目的ですが、一部には外国人の子女が被害者となる誘拐事件も発生しています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

これまで日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐事件は発生しておらず、現在までのところ、日本人・日本権益に対 するテロの脅威は低いとみられます。しかしながら、日本人が被害者となる強盗致傷事件、外国人の子女を狙った身代金 目的の誘拐事件、マフィアによる政党や報道機関を狙った爆弾事件等が散見されますので注意が必要です。

<2012 年 1 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2012 年 1 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもので あり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 149 -

【ベラルーシ】 1.概況

(1)ベラルーシでは、テロ組織の活動は確認されておらず、また、国際テロ組織のメンバーがベラルーシ国内に潜んで いる可能性は低いとみられています。

(2)しかし、2011 年 4 月、ベラルーシ首都ミンスク中心部の地下鉄駅のホームで爆発が発生し、14 人が死亡、200 人 以上が負傷する事件が発生しました。同月、容疑者 2 人が逮捕され、同年 11 月には死刑判決を受けています。

2.誘拐事件の発生状況

ベラルーシ治安当局によれば、誘拐事件の件数は少なく、また減少傾向にあります。 過去に有力政治家や社会組織指導者が失踪する事件が発生していますが、テロと関連あるとは見られていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対するテロや誘拐の可能性はほとんどないと見られています。しかし、1.(2)の事件が発生し たことを考慮すれば、偶発的にテロ等の事件に巻き込まれる可能性は否定できず、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 150 -

【ベルギー】 1.概況

(1)ベルギーを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織等によるテロの脅威にさらされています。2004 年 のマドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005 年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種 の治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010 年 12 月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自 爆テロに関連するとみられる爆発事件が発生する等、欧州に対するテロの脅威は引き続き存在しています。

(2)ベルギーでは、1997 年 6 月のトルコ大使館前での爆弾テロ事件以降、テロ事件は発生しておらず、2011 年もテロ と認められる事件は発生していません。ベルギー政府による 4 段階の脅威度評価(レベル 1「脅威なし」 、レベル 2「潜在 的な脅威」 、レベル 3「具体的な脅威」 、レベル 4「深刻かつ緊迫した脅威」 )は、2008 年 3 月以来レベル 2 が維持されて います(2007 年 12 月のクリスマス前後から 2008 年初頭にかけて、一時的にレベル 3 及び 4 とされました。 ) 。

(3)ベルギーの首都ブリュッセルには、欧州委員会、欧州議会、北大西洋条約機構(NATO)本部をはじめとする多くの 国際機関が所在しています。ベルギー治安当局は、米、英、イスラエル等の大使館、NATO、欧州連合(EU)等の国際機関 に対する警戒・警備を強化するとともに、アル・カーイダなど海外のテロ組織網と繋がっている関係者の摘発に努めてい ます。

(4)ベルギーは、シェンゲン協定により欧州各地から陸、海、空路により自由に出入りできる状況にあり、また、上記 のとおりテロリストの活動がみられることから、国内でテロが行われる潜在的な可能性を排除することはできません。実 際に、2008 年 12 月、ベルギー治安当局は、アル・カーイダと関係があるテロ組織関係者 14 人の摘発を行い、うち 6 人 を逮捕送致しました。そのうち 1 人については、自爆テロを計画していた疑いがある人物でした。また、2010 年 11 月、 ベルギー治安当局は、オランダ、ドイツの治安機関と連携して、それぞれの国において、テロ容疑者などの自宅の一斉捜 索を行い、合計 12 名のテロ容疑者を逮捕しました。逮捕者は、欧州に拠点を置き、チェチェンやイラク・アフガンにお けるテロ実行者のリクルートや送り出しに関与していた疑いがもたれています。また、2011 年には、ヨーロッパで指名 手配されていたバスク祖国と自由(ETA)のテロ容疑者 2 名がベルギー国内で逮捕され、ベルギーが潜伏先とされていま した。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中にベルギーで発生した誘拐事件発生件数については、同国の連邦警察本部による犯罪統計が未集計のため詳 細は明らかになっていません。なお、従来発生した事件のほとんどは金融機関、貴金属店等の関係者を誘拐し、武器等で 脅した上で店舗にある現金や貴金属を奪うといった手口であり、日本人を含む外国人を標的とする誘拐事件は確認されて いません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

ベルギーでは、現在までのところ、日本人・日本権益を標的にしたテロや誘拐の脅威は具体的に把握されていません。 また、日本人が標的となるような社会的背景もなく、日本人・日本権益を直接狙ったテロの脅威が高いとはみられていま せん。しかし、2011 年中に ETA のテロ容疑者がベルギー国内で逮捕されたように、犯罪者が国境を越えてベルギーを潜 伏先としていた状況もあり、更に、2001 年、2008 年及び 2010 年に摘発されたようなイスラム過激派の支援拠点が作られ る可能性も排除できず、不測の事態が発生する可能性もありますので、注意が必要です。

- 151 -

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 152 -

【ボスニア・ヘルツェゴビナ】 1.概況

(1)ボスニア・ヘルツェゴビナでは、近年、イスラム過激派組織「テクビル(Tekvir) 」による爆弾テロやテロ未遂事 件が発生しています。2010 年 6 月には、中部のブゴイノにおいて警察署への爆弾テロ事件が発生し、警察官 1 名が死亡、 6 名が負傷しました。2011 年 10 月には、サラエボ市内にある米国大使館に向けて男が自動小銃を乱射し、警察官 1 名が 負傷する事件が発生しました。

(2)国際テロとの関連では、2005 年 10 月、欧州でのテロを計画していたとして、国内その他で 20 人以上が逮捕され、 彼らの自宅等から大量の爆発物等が発見・押収される事件が発生しています。

2.誘拐事件の発生状況

ボスニア・ヘルツェゴビナ当局によれば、紛争終結後、国内における誘拐事件の発生は極めて少なく、また、その大半 が富裕者を対象とした身代金目的の誘拐であるとしています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

ボスニア・ヘルツェゴビナにおいて、日本人・日本権益に対する脅威が高まっているとはみられていませんが、上記の 現地治安情勢のほか、アル・カーイダ関係者を名乗る者等により日本を攻撃対象として名指しする声明が過去にインター ネット等を通じて出されていることもあることを考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、テロの直接の標的と される可能性も否定できず、引き続き注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 153 -

【ポーランド】 1.概況

(1)ポーランドでは、特定の政治目的をもって継続的に暴力主義的破壊活動を行うテロ組織や反政府組織は把握されて おらず、また、イスラム過激派及びその関連組織も把握されていません。極右組織は存在するとされますが、現在のとこ ろ、これらの組織やその関係者がポーランド国内でテロ行為に及ぶ可能性は低いと見られています。

(2)しかし、ポーランドは、過去にイラクへ軍隊を派遣しており、2003 年と 2004 年には、アル・カーイダ幹部による と見られる声明の中で、日本と並んでテロ攻撃の標的と名指しされました。また、2007 年からアフガニスタンへ部隊(国 際治安支援部隊(ISAF)に 2011 年末で約 2、500 名)を派遣しており、アフガニスタン国内ではポーランド軍は武装勢力 による攻撃の対象とされています。また、2008 年 9 月から 2009 年 2 月にかけて、パキスタンで、ポーランド人技師がタ リバーン勢力に拉致・殺害される事件が発生しました。さらに、シェンゲン協定の実施に伴い、この協定の実施国との間 の陸海路及びシェンゲン域内からの空路において国境検問が撤廃されているため、国外からの不審者の入国が容易になっ ています。こうした中、国外からテロリストがポーランドに潜入して、テロ攻撃を行う可能性は否定できません。

2.誘拐事件の発生状況

近年では、2006 年に首都ワルシャワで中国人ビジネスマンが誘拐され、その後、無事に解放された事件を最後に、外 国人を標的とした誘拐事件は発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、ポーランドにおける日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は高いとは見られていません。 しかし、ポーランドは、上記1.(2)のように過去、ポーランドと日本がともにテロ攻撃の対象として名指しされてい た事実等を勘案すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性も排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 154 -

【ポルトガル】 1.概況

(1)ポルトガル国内では、反政府組織の活動や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認されておらず、1984 年以降テロ 事件の発生も確認されていません。

(2)しかし、バスク祖国と自由(ETA)やガリシア独立派抵抗グループ、更にイスラム過激派等のテロ組織関係者が、 組織の後方支援として、ポルトガルや他の国々の偽造文書の作成、窃盗・強盗による資金獲得を行っている可能性がある と言われています。

2.各組織の活動状況

欧州警察機構(EUROPOL)が作成した 2011 年のヨーロッパにおけるテロ情勢に関する報告書によれば、ポルトガルも、 インターネットやその他の情報媒体を通じて若者がイスラム過激派の活動に参加する可能性がある国のリストに含まれ ています。しかし、2011 年、ポルトガル国内においては、イスラム過激派組織の活動は確認されませんでした。

3.誘拐事件の発生状況

親権を争う親等による誘拐事件や、麻薬組織間のトラブルから相手組織のメンバーを拉致する事件が数件発生していま すが、テロ組織による誘拐事件の発生は確認されていません。 身代金目的誘拐事件は 1998 年以来長らく発生していませんでしたが、2011 年 11 月、シントラ市で、自宅前に車を停 めた夫婦が突然現れた 4 人組に襲われ、夫が車で連れ去られ、犯人が妻に身代金を要求する事件が発生しました。事件は、 警察がセイシャル市内の倉庫に監禁されていた被害者を保護し、犯人グループを逮捕して解決しました。 また、2011 年下半期から、短時間誘拐(車を運転している被害者の身体を一時的に拘束し、その間に所持しているキャッ シュカード等で現金を引き出すなどした後解放する事件)が多発しました。なお、同年 11 月 4 日から 12 月 20 日までに リスボン地域で発生した 9 件の短時間誘拐事件の被疑者 2 名は、12 月 20 日にロウレス市内で現行犯逮捕されました。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的にしたテロや誘拐の脅威は低いとみられています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 155 -

【マケドニア旧ユーゴスラビア共和国】 1.概況

(1)マケドニア国内には、2001 年にマケドニア政府とアルバニア系武装勢力の間で締結された「枠組み合意」及び現 政権の民族融和政策に対し不満を持つグループが依然として存在しており、首都スコピエを含む北部及び西部を中心に、 これらのグループが関与した可能性のある警察官、警察施設等に対する銃撃事件等が発生しています。

(2)一方、近年、マケドニア国内で活動するイスラム過激派が勢力の拡大を図っている状況が確認されています。しか し、治安当局によれば、これまでのところ、これらイスラム過激派とアル・カーイダ等の国際テロ組織との関係は具体的 には確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

マケドニアにおいては、近年では、2008 年に 14 件、2009 年に 26 件の誘拐事件が発生しましたが、いずれもマケドニ ア人を標的としたものであり、その動機の大半は金銭絡みや恋愛関係のトラブルによるものでした。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現時点では、マケドニアにおける日本人・日本権益に対する脅威は高くありません。しかし、2007 年 8 月には、スコ ピエで、首相府を狙って発射されたとみられる迫撃砲弾 2 発のうち 1 発が日本の在スコピエ連絡事務所前で爆発し、同事 務所の窓ガラスの一部が損傷する事件も発生しています。上記のような国内情勢や、今後のコソボ情勢が及ぼし得る影響 を考慮すれば、日本人がテロ等の事件に巻き込まれる可能性もあり、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 156 -

【マルタ】 1.概況

マルタでは、反政府組織の活動や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認されていません。ただし、その地理的位置から、 マグレブ諸国又は中東諸国のテロリストが同国を中継地として利用することがあるといわれています。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、マルタにおいて誘拐事件は一件も報告されませんでした。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は低いとみられています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 157 -

【モナコ】 1.概況

(1)2011 年中、モナコ公国では、テロとみられる事件の発生は確認されていません。

(2)国外のテロ組織がモナコ公国内で活動又は浸透している状況は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロの脅威が高いとは見られていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 158 -

【モルドバ】 1.概況

(1)モルドバでは、ソ連邦からの独立以来、政治的目的を有するテロ活動や爆破事件、国際テロ組織等の活動は確認さ れていませんでしたが、2009 年 10 月、首都キシニョフの国会公園で手榴弾が爆発し、約 50 人が負傷する事件が発生し ました。

(2)モルドバは、2001 年 9 月の米国同時多発テロの発生以来、米国等の対テロ政策支持の姿勢を打ち出し、イラク復 興支援のための部隊をイラクに派遣していたことから、モルドバがイスラム過激派等による報復の対象となる可能性は否 定できず、注意が必要です。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、外国人を標的とした誘拐・人質事件は発生していません。

3.日本人・日本権益に関する脅威

これまでのところ、日本人・日本権益が直接的な攻撃対象となる、又は巻き添えになる事件は発生していません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 159 -

【モンテネグロ】 1.概況

現在のところ、モンテネグロの治安は概ね安定しており、大規模な反政府組織や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認 されていません。

2.誘拐事件の発生状況

身代金目的の誘拐は年間数件発生していますが、テロ組織による誘拐事件は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威が高いとは見られていません。しかし、他国民・ 他国権益を標的としたテロ活動等に巻き込まれる可能性は少なからずありますので、十分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 160 -

【ラトビア】 1.概況

ラトビアでは、イスラム過激派及びその関連組織等の存在は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年、ラトビアでは、誘拐や人質事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は低いとみられています。 ラトビアでは、民族主義グループがわずかながら存在しているため、これらのグループの活動による不測の事態に巻き 込まれることのないように注意して下さい。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 161 -

【リトアニア】 1.概況

2011 年中、リトアニアでは、テロと断定された事件は発生しませんでした。 リトアニアの治安当局によると、現在、リトアニア国内において、イスラム過激派等のテロリスト及びテロ組織の活動 は確認されておらず、テロの脅威度は比較的低いとされています。しかし、リトアニア国外で発生したテロ事件に関与し た容疑でリトアニア人が逮捕されていることや、欧州におけるテロの脅威が高まっていることを踏まえ、空港・港や国境 におけるセキュリティチェックを厳重にするなどテロ対策レベルを上げています。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、リトアニアでは、外国人が被害に遭う身代金目的略取、誘拐事件は発生しませんでした。

3.日本人・日本権益に対する脅威

リトアニアにおける対日感情は概ね良好で、現在のところ、日本人・日本権益を標的とする犯罪の脅威が高いとはみら れていません。 しかしながら、一般的に日本人は裕福であると考えられているため、金銭や財産の奪取を目的とした犯罪に注意する必 要があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 162 -

【リヒテンシュタイン】 1.概況

(1)2011 年中、リヒテンシュタインで、テロ事件は発生しませんでした。

(2)また、リヒテンシュタインでは、テロ活動を支持するイスラム過激派グループのメンバーは極めて少数と見られて います。しかし、他国のテロ組織の後方支援活動として資金供与及びマネー・ロンダリングを行っている疑いがあるグルー プが存在するとして、米国とスイスによる共同捜査が行われています。

2.誘拐事件の発生状況

近年、リヒテンシュタインでは、誘拐事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、リヒテンシュタインでは、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 163 -

【ルクセンブルク】 1.概況

ルクセンブルクでは、治安当局がテロと認定した事件は、過去、発生していません。 ルクセンブルクは、アフガニスタンにおける NATO の国際治安支援部隊(ISAF)の活動に参加していますが、反政府組織 の活動や国際テロ組織のルクセンブルグ国内における活動は確認されておらず、テロが発生する蓋然性は低いと言えます。 しかし、ルクセンブルグには、欧州司法裁判所等の欧州連合(EU)関係機関など国際的な注目を集めやすい目標物があり、 またテロリストが地理的にルクセンブルグを経由して移動する可能性も考えられることから、同国を標的としたテロの可 能性は排除できません。

2.誘拐事件の発生状況

2010 年中、誘拐事件が 3 件発生しましたが、身代金目的等の誘拐事件は発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現時点で、ルクセンブルクにおいて、日本人・日本企業を標的にしたテロが発生する可能性は高くありません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 164 -

【ルーマニア】 1.概況

(1)これまで、ルーマニアにはテロ組織は存在しておらず、また、1989 年の政治・社会体制の転換以降、暴力等によ る反政府運動はみられません。

(2)一方、ルーマニア国内では、イスラム過激派組織のほか、パレスチナ過激派組織、クルド労働者党(PKK)等のテロ 組織のメンバー及び支持者が、これらのテロ組織等への資金援助を目的とした経済活動、勧誘活動等を行っていたとされ ています。 また、ルーマニア政府は米国同時多発テロ事件の発生以降、米国等の対テロ政策支持を鮮明にし、積極的にアフガニス タンにおける人的、物的貢献を行うなど、米国を始めとする対テロ政策を推進する関係諸国との連携を強化、継続してお り、他の支援国と同様にアル・カーイダ等の国際テロ組織から攻撃目標とされる可能性も否定できません。

(3)近年、以下のような懸念される事例が発生しています。



2006 年 6 月、西部ティミショアラで、車両爆弾を爆発させようとしたイスラム過激主義者のルーマニア人男性が、

犯行直前に当局に身柄を拘束された。



2010 年 12 月、ドイツでテロを計画していたアフガニスタン国籍ら 13 人の男性が、ハンガリーに出国する直前に

ルーマニア国境付近で当局に身柄を拘束された。



2011 年 2 月、国際テロ組織 PKK のメンバーであり、国際指名手配されていたトルコ国籍の男性が、ルーマニアに

逃亡・潜伏していたところ、当局に身柄を拘束された。

2.誘拐事件発生状況

ルーマニアでは、犯罪統計上、誘拐という犯罪種別がなく、違法に身体の自由を拘束したとする犯罪の中に含まれてい ます。2010 年の同犯罪の警察捜査件数は 321 件でした。 しかし、ルーマニアにおける報道等によれば、特に外国人を標的とした営利目的等の誘拐事件の発生は、少ないと言え ます。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威が高いとは見られていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 165 -

【ロシア】 1.概況

(1)ロシアでは、2011 年 1 月 24 日にモスクワ南部のドモジェドヴォ国際空港において爆弾テロが発生したほか、北コー カサス地方において、不安定な政治情勢を背景にテロが頻発するなど、引き続き予断を許さない状況にあります。 ロシア内務省の犯罪統計によれば、2011 年(1 月~10 月)にテロ行為として登録された件数は 30 件であり、前年同期 と比較して 7.1%増加しています。

(2)ドモジェドヴォ国際空港における爆弾テロでは、死者 36 人、負傷者 191 人が生じ、武装勢力を率いるドク・ウマ ロフ「コーカサス・イスラム首長国」指導者が犯行声明を出しました。 北コーカサス地方(ダゲスタン共和国、チェチェン共和国、カバルダ・バルカル共和国等)においては、警察等治安機 関を標的とするテロが多く発生するとともに、非武装の民間人に対するテロも発生しています。

(3)北コーカサス地方で活動する武装勢力の規模は必ずしも明らかではありませんが、その多くを束ねている「コーカ サス・イスラム首長国」は、アル・カーイダ等イスラム過激派組織と密接な関係を有している可能性が指摘されています。

(4)2006 年 3 月「テロリズム対策法」が成立し、連邦保安庁を中心に関係機関から構成される「国家反テロ委員会」 が設立されました。ロシア政府は、武装勢力の指導者を殺害する掃討作戦を継続するなど、テロ対策に一定の成果を上げ ていると見られますが、テロリストの活動を完全に阻止するには至っていない状況にあります。

2.誘拐事件の発生状況

ロシア内務省の発表によれば、2011 年の 1 月から 10 月までの間における誘拐事件の認知件数は、前年同期比 0.7%増の 425 件と依然として高い水準にあります。犯行の態様は、武装勢力が行政府関係者や一般住民を誘拐するケースや、犯罪 組織がビジネス利権絡みで敵対勢力等の関係者を誘拐するケースなど多種多様です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

武装勢力には、日本人・日本権益をテロの直接の標的とする意図はないと見られます。ただし、同武装勢力の一部は、 アル・カーイダ等イスラム過激派組織と密接な関係を有するとの指摘もあります。モスクワ市を含め、日本人が無差別の 自爆テロ等の巻き添えとなるおそれもあることから、十分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 166 -

【アフガニスタン】 1.概況

アフガニスタンでは、2011 年中も、タリバーン等反政府武装勢力が、アフガニスタン各地で駐留外国軍やアフガニス タン治安部隊、政府関係者らを狙った爆弾テロや襲撃といった活動を活発化させています。またタリバーンは 5 月に、 「バ ドル作戦」と名付けた春季攻勢声明を発出し、カブール市内を中心に、各地でテロ関連事件を激化させており、2011 年 のテロ関連事件は前年件数を超え、過去最悪の件数を記録するなど、治安情勢は年々悪化する状況となっています。 こうした中、首都カブールでは、以下のとおり自爆テロ及び襲撃事件が多数発生しています。 ・1 月、市内中心部のスーパーマーケット内で自爆テロが発生しました。 ・4 月、アフガン国軍本部が、国軍の制服を着用した自爆要員による襲撃を受け、アフガン国防省関係者 2 人が死亡し ました。 ・5 月、市内の軍病院内でも自爆テロが発生し、アフガン国軍兵ら 6 人が死亡、23 人が負傷しました。 ・6 月、郊外の高級ホテルを標的とした、複数の自爆要員よる襲撃事件が発生し、民間人ら 12 人が死亡しました。 ・8 月、英国関連施設への自爆テロ攻撃が発生し、警官ら 8 人が死亡、10 人以上が負傷しました。 ・9 月、自爆要員 7 人が、占拠した市内中心部に位置する建築中のビルから米国大使館や ISAF 軍基地等に対しロケッ ト攻撃及び銃撃戦を行いました(事態の終結までに約 20 時間を要しました。 ) 。 ・10 月、市内を走行中の外国軍兵士が乗った大型車両に対し自爆テロが行われ、外国人兵士 13 人が死亡しました。 ・12 月、シーア派の宗教行事の行われていた廟で自爆テロが行われ、少なくとも 56 人が死亡、約 160 人が負傷しまし た。 また、首都以外の地域でも、中央政府高官、県知事等地方政府関係者、援助関係者らを狙った各種テロ事件が多発しま した。4 月にはアフガニスタン北部に所在する国連事務所が、興奮したデモ隊により襲撃されるといった深刻な事件も発 生しており、同国の治安情勢は改善の兆しが見えないまま、多くの地域で不安定な状況が続いています。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

アフガニスタンにおいては、主に、タリバーン、ヒズベ・イスラミ・ヘクマティヤル派及びアル・カーイダがテロを実行 又は関与を行っています。

(1)タリバーン

1996 年から 2001 年までの間、アフガニスタンを実効支配し、現在は、国内の反政府武装勢力として最大の勢力を有す るタリバーンは、パキスタンとの国境地域を中心に、北部、西部に至る国内各地で活発なテロ活動を続けています。タリ バーンはアフガニスタンからの駐留外国軍の撤退を主な目標に掲げ、駐留外国軍やアフガニスタン治安部隊、政府関係者 等を対象に、自爆攻撃や簡易爆弾(IED)による攻撃を繰り返しています。また、タリバーンの中には、 「ハッカーニ・グ ループ」などのように、独自にテロを計画・実行するグループも存在しています。

(2)ヒズベ・イスラミ・ヘクマティヤル派

グルブッディン・ヘクマティヤル元首相が率いるヒズベ・イスラミ・ヘクマティヤル派は、タリバーンに次ぐ反政府武装 勢力とされ、今なお、アフガニスタン東部及び北東部一帯を中心に大きな勢力を維持しています。同派は、駐留外国軍の 撤退、カルザイ政権の打倒を標榜しつつ、アフガニスタン東部や北東部、中央部を中心に、駐留外国軍等に対する待伏せ 攻撃や襲撃を行っています。

(3)アル・カーイダ

- 167 -

アル・カーイダは、アフガニスタン・パキスタンの国境地域に避難場所を確立しつつ、イスラム諸国から異教徒の影響を 排除することを目指して、アフガニスタンへ戦闘員を送り出すなど、アフガニスタンにおける主敵である米国及びその同 盟国等に対する攻撃に関与しているものとみられます。

3.誘拐事件の発生状況

アフガニスタンでは、誘拐事件もテロ事件同様に多発しており、把握できたものだけでも年間 400 件以上に上ります。 これらの誘拐事件は、反政府武装勢力が政治目的のために実行する場合もありますが、大半は身代金目的の犯罪者集団に よる犯行とみられています。 これらの誘拐事件では、政府高官の家族をはじめ、政府関係者、警察官等治安部隊関係者、裕福なビジネスマン、ジャー ナリスト、援助関係者、建設作業員等様々な分野の人物が誘拐被害に遭っています。また、2010 年には邦人ジャーナリ ストが武装集団に誘拐され、約 5 か月間拘束されるという事件も発生しています。

4.日本人・日本権益に対する脅威

アフガニスタンで活動する反政府武装勢力は、外国の援助を内政干渉及び敵対政府への支援とみなす傾向があります。 アフガニスタンでは、これまでにも、外国人を標的とした襲撃や誘拐事件が発生しており、2008 年には、東部ナンガル ハール県において邦人 NGO 関係者が武装集団に誘拐され殺害されたほか、2010 年には邦人ジャーナリストが誘拐される 事件が発生しています。 また、過去に日本を攻撃対象として名指しする声明がアル・カーイダ関係者と名乗る者等によりインターネット等を通 じて出されたことを考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、日本人がテロや誘拐事件の直接の標的とされる可 能性にも注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 168 -

【アラブ首長国連邦】 1.概況

(1)アラブ首長国連邦(UAE)では、反政府組織及び国際テロ組織の活動はないとされています。一方、報道による と、2010 年 10 月、ドバイ国際空港で、イエメンから米国に向け発送された貨物の中から爆発物が発見された旨報じられ、 事件後、 「アラビア半島のアル・カーイダ」が犯行声明を発出しました。

(2)治安当局は、UAE国内にアル・カーイダは存在しないとの認識を示す一方、今後、小規模なテロ組織が、当地に おいても独自の作戦でテロ攻撃を行う恐れも排除できないとの見方も示しています。

2.誘拐事件の発生状況

(1)日本人を標的とした誘拐は、発生していません。

(2)外国人を標的とする誘拐については、身代金目的のビジネスマン誘拐、性的暴行や金品を狙った短期誘拐が数件報 じられています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

これまで日本人や我が国の企業を対象とするテロ事件は発生していません。しかし、中東地域全体のテロ事件発生状況 及びテロ声明の発出状況を総合的にかんがみれば、日本人がテロの巻き添え等偶発的な被害に遭うおそれが完全には排除 できませんので、情勢推移を引き続き注視する必要があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 169 -

【イエメン】 1.概況

(1)2009 年 1 月、イエメンのアル・カーイダはサウジアラビアのアル・カーイダと合流し、 「アラビア半島のアル・カー イダ(AQAP)」を結成しました。AQAP はイエメン国内における政府機関、西側権益施設及び外交団を狙ったテロ攻撃と、 サウジアラビアと欧米諸国領域内でのテロ攻撃を並行して実行してきました。前者の例としては、2009 年 3 月のハドラ マウト州における自爆テロ事件(韓国人旅行者ら 6 人死亡) 、2010 年 4 月のサヌア市内における英国大使車列を狙った自 爆テロ事件、同年 10 月サヌア市内における英国大使館員襲撃事件等が挙げられ、後者の例としては、2009 年 12 月米国 デトロイトにおいて下着に爆発物を忍ばせた犯人による米航空機爆破未遂事件、2010 年 11 月米国内向け小包に爆弾を仕 掛けた米貨物輸送機爆破未遂事件等が挙げられます。

(2)2011 年に入ると、イエメン国内においてサーレハ大統領の退陣を求める反政府派と、サーレハ大統領支持派が衝 突し、政治的混乱が続き、AQAP がその隙に乗じて、5 月にイエメン南部アビヤン州都ジンジバルを含む複数の都市を占拠 しました。AQAP は「イスラム首長国」の樹立を一方的に宣言しアビヤン州の相当部分を勢力圏に置きました。AQAP はこ れまでの特定の地域を対象とするテロ攻撃から、国内の一定の領域を継続的に支配下に置く戦略に転換したとみられる旨 指摘されています。AQAP の活動は近隣のアデン州、ハドラマウト州をはじめとする南部全域で非常に活発であるほか、 北部のタイズ州、ホデイダ州等にも広がっており、政府軍・治安機関との戦闘が各地で継続しています。

(3)2011 年、AQAP は同年 5 月、ハドラマウト州でフランス人非政府機関関係者 3 人を誘拐する等、外国人を狙った誘 拐・殺人事件を頻繁に実行しました。

(4)イエメン政府は、上記(1)の 2009 年 12 月の米貨物輸送機爆破未遂事件以降は米国をはじめとする各国の協力を 得て、AQAP 掃討作戦を展開し、2011 年 9 月、英語圏での要員リクルートや宣伝活動において重要な役割を果たしていた アンワル・アル・アウラキら幹部を殺害しました。しかし、2011 年に入り、上記(2)の政治的混乱に乗じ、AQAP は南 部でその勢力を拡大させています。

2.誘拐事件の発生状況

イエメン社会においては、部族への帰属意識が強く、部族が団結・武装の上、中央政府に対抗して部族の権益を自力で 確保しようとする傾向が見られます。このような社会事情を背景に、1990 年以後、部族関係者が中央政府との取引の手 段として年に 200 件前後の誘拐事件が発生しており、外国人が誘拐される事件も多発しています。 日本人が被害者となる誘拐事件も発生しており、2008 年 5 月にマアリブ州において日本人女性 2 人が誘拐される(8 時間後に無事解放)事件や、2009 年 11 月にサヌア州において日本人技術者1人が誘拐される(8 日後に無事解放)事件が起 きています。さらに、上記(3)のとおり、2011 年以降、AQAP が外国人を誘拐するようになっており、今後も引き続き 厳重な警戒が必要です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

イエメンにおいては、日本人及び日本権益に対する具体的な脅威に関する情報は確認されていません。しかし、欧米権 益やイエメン関連施設(石油、ガス関連施設、政府機関等)に対する襲撃や、イエメン観光施設等において外国人旅行者 を標的とするテロ事件に邦人が巻込まれる可能性は排除されません。

<2011 年 12 月末現在>

- 170 -

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 171 -

【イスラエル】 1.概況

(1)2011 年中に民間人が殺害されたテロ事件として、エルサレム市中心部バス停留所における爆弾テロ事件(3 月 23 日、1 名死亡)や、エイラート市(イスラエル南部)北方における民間バス等に対する銃撃・爆弾テロ事件(8 月 18 日、 8 名死亡)などが挙げられます。

(2)2000 年 9 月末、いわゆる「第二次インティファーダ(アル・アクサー・インティファーダ) 」 (注:イスラエルの占 領に対するパレスチナ民衆蜂起)が始まり、多数の死傷者が出ました。死者数は、イスラエル側が 2011 年末までに 1,209 人(同国政府調べ) 、パレスチナ側が 2011 年 10 月末までに 7,221 人(人権団体調べ)とされています。イスラエル側の 死者は、パレスチナ側によるテロの犠牲となった一般市民が多数を占めますが、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸及びガ ザ地区で任務遂行中のイスラエル国防軍(IDF)の兵士も含まれています。パレスチナ側の死者は、IDF によって殺害さ れた過激派組織の構成員が多数を占めますが、IDF 及びパレスチナ人組織により殺害された一般市民の被害者も含まれて います。

(3)テロによるイスラエル側死亡者の推移を見ると、2000 年 44 人、2001 年 207 人、2002 年 452 人と増加した後、2003 年 208 人、2004 年 117 人、2005 年 56 人、2006 年 30 人、2007 年 13 人、2008 年 36 人、2009 年 15 人、2010 年 9 人と減 少傾向が続きましたが、2011 年は 22 人と増加しました。なお、2002 年前後に多発した自爆テロ事件の発生は、2007 年 及び 2008 年は各 1 件、2009 年、2010 年及び 2011 年は 0 件と沈静化しています。また、パレスチナ自治区のガザ地区で 活動する武装勢力によるイスラエル南部各地に対するロケット及び迫撃砲による攻撃は、ロケットによる攻撃が 2008 年 2,048 件、2009 年 569 件、2010 年 152 件、迫撃砲による攻撃が 2008 年 1,668 件、2009 年 289 件、2010 年 217 件と、そ れぞれ減少傾向にありましたが、2011 年はロケットによる攻撃が 419 件、迫撃砲による攻撃が 258 件と、いずれも増加 しました。

2.各組織の活動状況及び各地域の治安情勢

(1)パレスチナ自治区ヨルダン川西岸及びガザ地区には、ハマス、パレスチナ・イスラミック・ジハード(PIJ) 、パレ スチナ解放人民戦線(PFLP) 、パレスチナ解放民主戦線(DFLP) 、パレスチナ解放人民戦線総司令部(PFLP-GC)、人民抵抗 委員会(PRC)等の過激派組織が存在します。イスラエル政府は、多数のテロ行為が治安当局の阻止活動等により未然に 防止されたとしていますが、一部の組織は継続的にテロの敢行を模索していると見られます。

(2)これまでのところ、イスラエルでは、アル・カーイダ及びその関連の国際的なイスラム過激派組織によるテロは発 生していませんが、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸及びガザ地区では、過去、外国人誘拐事案、ロケット・迫撃砲によ る攻撃事案等において、アル・カーイダの影響下にあるとされる組織が犯行声明を発出しています。

(3)イスラエル北部と国境を接するレバノン南部には、イスラム教シーア派組織ヒズボラ(対イスラエル抵抗運動を標 榜)のほか、パレスチナ人過激派組織及びアル・カーイダの影響を受けたとされる組織が存在しており、2011 年中にも、 レバノン領内からイスラエル領内北部に向けたロケットによる攻撃事案等が発生しています。

3.誘拐事件の発生状況

2011 年中は、4 月に、ガザ地区において、イタリア人活動家が誘拐・殺害される事件が発生しています。犯人らは、イ ンターネット上において拘束中の被害者の映像を公開し、ハマスに対し、「タウヒード・ワル・ジハード」と呼ばれるイ スラム過激派組織の首班の解放を要求し、受け入れられない場合には同氏を殺害する旨予告しましたが、被害者は設定さ

- 172 -

れた期限以前に殺害されました。このほか、過去には、IDF 兵士の誘拐未遂事案の発生及び誘拐計画の摘発が報じられて います。

4.日本人・日本権益に対する脅威

(1)イスラエル、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸及びガザ地区におけるテロの主たる対象は、これまでのところ、IDF 兵士、入植者等のイスラエル人であり、日本人・日本権益を直接ねらったテロ事件は発生していません。

(2)しかし、イスラエルにおいては、日本人を含む外国人がテロ事件に巻き込まれる可能性が排除できません。また、 パレスチナ自治区ヨルダン川西岸及びガザ地区においても、過去に外国人をねらった誘拐事件が発生するなど、日本人・ 日本権益も必ずしも安全とは言えず、今後とも注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 173 -

【イラク】 1.概況

(1)2003 年 3 月、米英等によるイラクに対する武力行使が開始され、4 月にはバグダッドが陥落、フセイン政権は事実 上崩壊し、同年 5 月にブッシュ米国大統領がイラクにおける主要な戦闘の終結宣言を行いました。その後、2004 年 6 月 のイラク暫定政府の発足、2005 年 4 月の移行政府の発足、2005 年 12 月の国民議会選挙を経て、2006 年 5 月には正式政 府が発足しました。2008 年 11 月、イラク政府は米国政府と締結した地位協定の一環としてイラクの全都市の治安権限の 移管に合意し、米軍部隊は 2009 年 6 月末に都市部からの撤収を完了し、同年 7 月末にはその他の駐留外国軍部隊もイラ クから撤収し、2011 年 12 月にはイラク駐留米軍の全ての部隊がイラクから撤収しました。

(2)イラクでは、地域によって脅威の度合いは異なるものの、これまで、駐留多国籍軍・イラク治安部隊と武装勢力の 衝突、自動車爆弾や自爆攻撃等によるテロ、ロケット弾や迫撃砲による攻撃事案、外交官及び民間人の殺害・拘束・誘拐 を始めとする様々な事件が発生しました。さらに、2006 年 2 月のサーマッラーでのシーア派聖廟爆破事件以降は、宗派 間の衝突が激化するなど、厳しい情勢が続いてきました。2007 年夏以降、最も治安情勢が厳しいとされた首都バグダッ ド及び西部アンバール県において一定の治安改善傾向がみられるなど、近年、テロ事件発生件数は減少傾向にありますが、 2011 年には、8 月に国内 17 都市での連続爆弾テロ事件、12 月にバグダッド市内での連続爆弾テロ事件が発生するなど、 治安情勢は依然として厳しい状況にあります。 なお、北部のクルド地域やバスラ地域の情勢は比較的安定しています。

(3)2011 年に発生した主な事件としては次のものがあります(死傷者数は報道ベース) 。

1 月 18 日

ティクリート市郊外での警察官募集センターに対する自爆テロ(50 人死亡、150 人負傷

1 月 21 日

カルバラー市郊外で巡礼者に対する自動車爆弾テロ(56 人死亡、180 人負傷)

1 月 27 日

バグダッド市北部での自動車爆弾テロ(48 人死亡、121 人負傷)2 月 13 日

サーマッラー市での巡礼者に対

する自爆テロ(36 人死亡、64 人負傷) 4 月 18 日

バグダッド市内検問所に対する自動車爆弾テロ(9 人死亡、23 人負傷)

5月 5日

ヒッラ市内警察署に対する自爆テロ(25 人死亡、80 人負傷)

5 月 19 日

キルクーク市内警察本部に対する爆弾テロ(27 人死亡、62 人負傷)

5 月 22 日

バグダッド市及び同近郊各地での爆弾テロ(18 人死亡、80 人負傷)

6月3日

ティクリート市内のモスクに対する自爆テロ(16 人死亡、54 人負傷)

6 月 23 日 7月5日

バグダッド南部のモスク及び市場に対する爆弾テロ(34 人死亡、82 人負傷) バグダッド郊外タージ市議会駐車場での爆弾テロ(35 人死亡、28 人負傷)

8 月 15 日

イラク国内 17 都市における連続爆弾テロ(70 人死亡、250 人負傷)

8 月 29 日

バグダッド市西部のモスクに対する爆弾テロ(20 人死亡、30 人負傷)

9 月 26 日

カルバラー市内での連続爆弾テロ(10 人死亡、110 人負傷)

10 月 12 日

バグダッド市の警察署などに対する爆弾テロ(28 人死亡、70 人負傷)

10 月 14 日

バグダッド市サドル・シティでの爆弾テロ(17 人死亡、50 人負傷)

10 月 27 日

バグダッド市東部での爆弾テロ(32 人死亡、71 人負傷)

11 月 2 日

バスラ市内中心部での爆弾テロ(8 人死亡、22 人負傷)

11 月 6 日

バグダッド市中心部での爆弾テロ事件(10 人死亡、26 人負傷)

11 月 24 日

バスラ市内市場に対する爆弾テロ(19 人死亡、65 人負傷)

11 月 28 日

バグダッド北部タージ基地に対する自爆テロ(19 人死亡、24 人負傷)

11 月 28 日

バグダッド市インターナショナルゾーン内国民議会駐車場での爆弾テロ(1 人死亡、6 人負傷)

12 月 22 日

バグダッド市内各地での連続爆弾テロ(63 人死亡、185 人死亡)

- 174 -

12 月 26 日

イラク内務省(バグダッド市内)に対する爆弾テロ(6 人死亡、32 人負傷)

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

(1)イラクにおける現下のテロ攻撃の主体としては、国内のイスラム過激派及び国際テロ組織(アル・カーイダ系とみ られる関係者を含む。)等の武装勢力が混在しているとみられます。攻撃対象としては、当初は米軍が中心でしたが、そ の後、国連等の国際機関、米・英を始めとする外国人、イラク治安当局、報道関係者、NGO 関係者、外交団、民間人等に まで拡大し、2006 年 2 月以降は宗派間の衝突が激化する事態が見られました。2008 年 3 月下旬、イラク治安部隊がサド ル派マフディー軍の掃討作戦を実施し、サドル派との衝突が拡大しましたが、同年 5 月 10 日、マーリキー政権とサドル 派は停戦に合意しました。同年 6 月 13 日、サドル師はマフディー軍を改編し、一部を除き文化・宗教・社会的活動を行 うと声明を出し、同年 8 月 28 日には 2007 年 8 月に発表したマフディー軍の武装闘争活動凍結の無期限延期を発表。それ 以降、最悪の時期に比して状況は改善しましたが、2011 年 12 月にイラク駐留米軍が撤収しており、また、ハーシミー副 大統領に対する逮捕状発行を契機に政治情勢が不安定になっていることから、今後の治安情勢に注意が必要です。

(2)攻撃手法としては、火器やロケット弾、迫撃砲等による攻撃に加え、自動車爆弾(VBIED)、簡易爆発装置(IED)、 爆発成形弾(EFP)を用いた爆弾テロが多くみられるほか、いわゆる自爆テロが多いことも特徴として挙げられます。ま た、最近では、イラク治安当局の治安維持能力の向上に対抗するべく、小銃や粘着爆弾を用いた手法もとられてきていま す。これらのテロ攻撃の目的は、イラク復興の妨害やイラク政府の信頼性の失墜、あるいは民族・宗派間の対立の扇動等 を通じて混乱を引き起こすことにあるとの見方もあります。また、自らが行ったテロ攻撃についてインターネット等を通 じて犯行声明を出す組織もあります。

3.誘拐事件の発生状況

イラクにおいては、これまで外国人が被害者となる誘拐事件も発生してきました。犯行主体は、テロ活動を行う武装勢 力に限らず、犯罪組織の関与も疑われており、また、各所に内通者がいることも考えられます。誘拐犯の動機も一様では なく、身代金を要求するもののほか、人質の国籍国政府に対し、イラクからの撤退や米国との協力の中止を求め、期限内 に要求が満たされなければ人質を殺害すると脅迫するものも散見されました。 標的については、外国企業の従業員、NGO 関係者、報道関係者などのほか、宗派間対立に伴いイラク人が誘拐される事 例も発生しています。手口については、多数で警護を圧倒し拉致する例や、警察官の制服を着た武装集団が事務所や住居 に侵入した上で誘拐する例など、強硬なものもみられます。なお、人質が殺害される模様がイスラム系過激派ウェブサイ ト等に掲載されることもあります。

4.日本人・日本権益に対する脅威

2003 年 11 月には、ティクリートで日本人外交官 2 人が殺害される事件が発生したほか、2004 年には、4 月に日本人計 5 人が拘束される事件(2 件。それぞれ 3 人及び 2 人) 、5 月にバグダッド南方のマフムーディーヤにおいて日本人ジャー ナリスト 2 人が殺害される事件、10 月に日本人旅行者 1 人が武装勢力に誘拐され殺害される事件が発生しました。この ように、イラクにおいては日本人が被害に遭うテロ・誘拐事件が現に発生していること、また、過去にウサマ・ビン・ラー ディンらアル・カーイダ幹部等によるとみられる声明の中で、日本が攻撃の対象として名指しされたこと等を考えれば、 今後も欧米を対象としたテロに日本人が巻き込まれる可能性のみならず、日本人や日本の関連施設がテロや誘拐事件の直 接の標的とされる現実的な危険性があります。

<2011 年 12 月末現在>

- 175 -

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 176 -

【イラン】 1.概況

(1)イランでは、南東部に「ジュンドッラー(「神の軍」の意) 」と呼ばれるスンニ派反政府組織が存在しており、同組 織による政府関係者・治安関係者等に対するテロがしばしば報じられています。

(2)また、クルド系の住民が多数を占めるクルディスタン州・東アゼルバイジャン州、及び西アゼルバイジャン州では、 特にイラク・トルコとの国境付近で、クルド人反政府組織「クルド労働党(PKK)」、及びその系列組織「クルド自由生命 党(PJAK) 」等が反政府的活動等を行っているとの報道もみられます。

(3)なお、イランは米国及びイスラエルと外交関係を有しておらず、米軍基地、米国大使館が無く、欧米資本によるショッ ピングセンター等標的となり得る欧米権益も少ないことなどから、反米イスラム過激派による大規模テロ事件が発生する 可能性は低いと言えます。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

(1) 南東部

南東部アフガニスタン・パキスタン国境付近においては、 「ジュンドッラー」によるテロ事件や治安部隊との戦闘が頻 発しています。ジュンドッラーは 2010 年 7 月にシスタン・バルチスタン州ザヘダンで、同年 12 月には同州チャバハール で、それぞれ多数の死傷者を伴う自爆テロを敢行しました。2011 年は、ジュンドッラーによる大規模爆弾テロは発生し ていませんが、イラン治安当局が爆発物を所持した同メンバーを検挙したとの報道が度々見られるほか、イラン治安部隊 とジュンドッラーとの交戦も報道されています。 また、同地域では武装した麻薬密輸組織による誘拐事件、暗殺事件、及び行政機関や治安機関に対する襲撃事件も多く 報じられています。

(2) 北中西部

北中西部イラク・トルコ国境付近においては、2011 年 7 月から 9 月にかけて、PJAK によるイラン治安部隊に対するテ ロや武装襲撃が頻発し、これを受けてイラン軍が PJAK に対する大規模な掃討作戦を展開しました。一連のテロ・交戦に よって、PJAK・イラン軍双方に多数の死傷者が出ています。9 月下旬、イラン軍高官が「PJAK は降伏し、イラン領内から 撤退した。 」との発表を行い、以来数ヶ月間 PJAK によるテロやイラン軍との交戦は報告されていませんでしたが、10 月 には PJAK の敷設した地雷が爆発し、イラン軍兵士が死亡する事件が発生しました。12 月下旬には再び治安部隊と PJAK との交戦が発生しており、引き続き十分な注意が必要です。

(3)その他

イラクを拠点としていた反政府組織 MKO(左翼過激派)については、近年イラン国内でのテロ活動は認められませんが、 イラン当局は、2009 年 6 月の大統領選挙後のデモにおいて民衆を扇動する役割を果たしたとして、一連の騒擾への MKO の関与を指摘するとともに、同メンバーの摘発を行っています。

3.誘拐事件の発生状況

- 177 -

イラン南東部では、武装麻薬密輸組織等による誘拐事件が多発しています。外国人が標的となることも多く、2003 年 12 月にはザヘダンにおいてドイツ人旅行者 2 名及びアイルランド人が、2005 年 12 月には同じくザヘダン周辺でトルコ人 旅行者 3 名が、2007 年 8 月にはケルマーン州バム(城塞都市遺跡が所在したが、2003 年の地震で崩壊)近郊でベルギー 人旅行者 2 名が、それぞれ誘拐される事件が発生したほか、2007 年 10 月には同じくバム近辺で武装麻薬組織により邦人 1 名が誘拐される事件も発生しました(2008 年 6 月に解放)。今後とも同様の事件が発生する可能性が排除されないこと から、引き続き十分な注意が必要です。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、イランにおいて、日本人・日本権益を標的としたテロの脅威が高いとはみられていません。しかし、イ ラン東部・西部国境地域では、政府関係者・一般市民・外国人をねらった誘拐・テロが発生していることを考慮すれば、 巻き添え等偶発的な被害、又は直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。 また、核開発問題等に関連し、在イラン・欧州各国大使館等に対するデモが頻繁に行われており、この点からも注意が 必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 178 -

【オマーン】 1.概況

これまでのところ、オマーン国内に拠点を置く国際的なテロ組織及び反政府組織の活動は確認されていません。しかし、 必ずしも国境管理は磐石とは言えず、周辺諸国からオマーンに不法入国する外国人が多数いることから、国外のテロ組織 がオマーン内に所在する欧米諸国の権益等に対しテロ攻撃を行う可能性は排除できません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年、外国人が金銭上のトラブルから既知の間柄の同国籍者を誘拐し監禁するなどの事案が発生しています。

3.日本人・日本権益に対する脅

オマーンにおいて、これまで日本人が被害者となったテロ事件は発生していませんが、2010 年7月ホルムズ海峡のオ マーン領海内で、日本の企業が所有する大型タンカーが、航行中に何らかの影響で船体に損傷を受ける事案が発生しまし た。事後、「アブドラー・アッザーム旅団」を名乗るイスラム過激派が犯行声明を出していますが、その真偽は定かでは ありません。 また、上記2.のとおり、外国人に対する誘拐、連れ去り事件が発生しており、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 179 -

【カタール】 1.概況

(1)2011 年中、カタールでは大規模な反政府活動や国際テロ組織の活動は確認されていません。カタール政府は 2004 年 2 月に「反テロ法」を発効させ、テロ行為のみならずテロ組織を支援する活動を厳しく取り締まっています。

(2)しかし、カタール国内には米中央軍が駐留していることや、カタールがリビアの旧カダフィ政権に対処するためN ATOと共に軍を派遣したこと、また、2011 年に発生した、いわゆる「アラブの春」に対してカタール政府が積極的に 介入していると見る向きもあること等から、米軍や西側諸国による軍事行動に反対する組織や、中東各国間の政治的な動 きに過敏に反応するテロ組織等が、カタール国内の西側権益やカタール政府機関施設等をテロの標的にするのではないか との見方もあります。 また 2008 年 3 月にはカタール初のカトリック教会が開設されましたが、一部イスラム過激派のウエブサイト上では同 教会の開設に否定的な言及がなされています。 その他、2022 年のサッカーワールドカップの開催地がカタールに決定したことで、カタール政府が一層の開放政策を 進める可能性があること、またスタジアムやホテル等のインフラ整備に多数の欧米資本の参入が予想されること等から、 今後こうした状況にイスラム過激派が反発を強める可能性もあり、注意していく必要があります。

(3)また、2005 年 3 月に、ドーハ市内の劇場において自爆テロ事件が発生していることや、2011 年 11 月にバーレーン 国内でのテロを計画していたテロリストがカタール国内で逮捕されたこと、2011 年 9 月にサウジアラビア政府に拘束さ れたアル・カーイダ系のテロリストに複数のカタール人が含まれていたと報じられていること等からも、当地において今 後テロ攻撃が企図・実行される可能性は十分に考えられます。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、カタールにおいて誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在まで、日本人・日本権益に対する具体的な脅威に関する情報は確認されていません。しかし、過去に日本を攻撃対 象として名指しする声明が、アル・カーイダ関係者と名乗る者等によりインターネット等を通じて出されたこともあるこ とを考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性もあり、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 180 -

【クウェート】 1.概況

(1)クウェートでは、2003 年 12 月の米軍車列に対する銃撃事件発生して以来、テロ事件の発生は確認されていません が、2009 年 8 月に治安機関襲撃などを企図したグループがテロの決行数日前に検挙される未遂事案が発生しました。こ の事案以外にも、クウェート内におけるテロとの関連が疑われる者の逮捕等について少なからず報道が行われていること もあり、国内におけるテロ発生の可能性は排除できず、十分な注意が必要です。 また、2005 年 1 月、治安当局が行った過激派組織の掃討作戦の際には、過激派と当局との双方に死傷者が出る激しい 銃撃戦となった上、クウェート治安機関や米国関連権益に対するテロ計画が明らかとなりました。これまでにこの事件の 関係者のほとんどが逮捕され、当局によれば組織はほぼ壊滅状態に追い込まれましたが、逮捕を免れ逃走中の被疑者もお り、これらの者が再び何らかの活動を行う可能性は完全には排除できず、十分な注意が必要です。

(2)また、2010 年 8 月にはクウェートの米軍基地やクウェート軍基地、石油施設・港湾などの経済インフラを標的に していたとされるスパイ組織が検挙され、イランとの繋がりも指摘されています。周辺国有事の際には米軍基地や経済イ ンフラに対するテロ攻撃の可能性も排除されず、このような施設には不要に近付かず、また普段より情報収集に努めるな どの心がけが必要です。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年に、身代金・政治目的の誘拐事件の発生は確認されていませんが、性的暴行目的の誘拐事件が年間数十件報告 され、うちアジア人女性等の外国人が被害にあったという例が多数を占めます。これまで日本人が同様の被害にあったと いうことは確認されていませんが、夜間における女性の単独外出は控えるなどの注意が必要です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

これまでのところ、日本人が巻き込まれる事件は発生していませんが、過去に日本を攻撃対象として名指しする声明が アル・カーイダ関係者を名乗る者等によりインターネット等を通じて出されたこともあることを考慮すれば、巻き添え等 偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 181 -

【サウジアラビア】 1.概況

2011 年、サウジアラビアでは、爆弾テロ、襲撃テロ等のテロ事件は発生していませんが、 「アラビア半島のアル・カー イダ」等の国際テロ組織と密接な繋がりを有しているとされるテロ容疑者が逮捕されました。隣国イエメンに拠点を置く 同組織は、サウジアラビア等に対するテロ攻撃を再三にわたって宣言しており、2010 年末頃から始まった「アラブの春」 と呼ばれる民衆運動に伴うイエメン情勢の混乱に乗じて、その活動範囲を広げる傾向にあるとみられています。サウジア ラビア治安当局は、2009 年 2 月に発表した最重要指名手配犯 85 人のリストに加えて、2011 年 1 月に新たに最重要指名手 配犯 47 人のリストを公表して国際手配するなど、これまで 5 回にわたって合計 213 名の指名手配犯を公表してテロ事案 根絶に向けて取り組んできましたが、未だ 130 名近くが手配・逃走中であり、テロ根絶までの道程は依然として険しいと 言わざるを得ない状況です。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

サウジアラビアの国境地帯(特にイエメンとの国境)においては、サウジアラビア治安当局が国境管理を強化していま すが、依然としてテロ関係者や武器・麻薬密輸グループ等による不法入出国が続いている模様であり、こうした事案の摘 発が続いています。

3.誘拐事件等の発生状況

サウジアラビアにおいては、外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

サウジアラビアにおいては、これまでのところ、日本人及び日本権益に対する具体的脅威に関する情報には接していま せん。しかし、アル・カーイダ関係者が過去にサウジアラビアもテロの標的に含まれる旨の声明を発出した経緯があり、 テロリストは外国公館・政府機関だけでなく、ホテル、ショッピングモール等、人が多く集まる場所を標的とするおそれ があることから、日本人がテロに巻き込まれる可能性は排除されず、注意が必要です。また、過去、日本を攻撃対象とし て名指しする声明がアル・カーイダ関係者と名乗る者等によりインターネット等を通じて出されたことがあることを考慮 すれば、日本人が直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。

5.その他

サウジアラビアの治安情勢は、周辺諸国の情勢と不可分であり、特にイエメン情勢をはじめとする周辺紛争地域の状況 がサウジアラビアの治安情勢に及ぼす影響に注意する必要があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 182 -

【シリア】 1.概況

(1)従来、シリアの治安状況は比較的安定していると見られてきましたが、2011 年 3 月以降、急激に悪化しています。 なお、最近の治安情勢悪化との関連性は不明ですが、過去数年間では以下のようなテロ事件等が発生しています。



2008 年 2 月、ダマスカス市内の新興住宅地カファル・スーセ地区において自動車が爆発し、ヒズボラの軍事部門

責任者イマード・ムグニエが暗殺されました。シリア政府はイスラエルによるテロと発表しましたが、現在に至るまで真 相は不明です。



2008 年 9 月 27 日、ダマスカス市内南環状道路サイイダ・ザイナブ地区への分岐点付近で、自動車爆弾により 17

人が死亡、14 人が負傷するテロ事件が発生しました。



2008 年 10 月 9 日、ダマスカスのヤルムーク地区にてシリア治安部隊とテロリスト・グループの間で銃撃戦が発生

しました。



2009 年 10 月 14 日にはダマスカス近郊で税関当局と密輸業者の銃撃戦があり、子供1人が巻き添えになり重傷を

負いました。



2011 年 12 月 23 日、ダマスカス市内のカファル・スーセ地区において、シリア政府機関の建物を狙った自動車爆

弾テロ 2 件が連続して発生し、シリア内務省の発表によれば、44 人が死亡、166 人が負傷したとされています。

(2)同国では、治安当局によるテロ組織に対する厳しい取締りが行われているものの、今後もシリア国内でテロ事件や イスラム過激派摘発に伴う銃撃戦が発生する可能性が否定できません。

2.誘拐事件の発生状況

シリア首相府中央統計局発行の「2010 年統計概要」によると、2002 年から 2006 年までの間に誘拐事件は急激に増加し、 2003 年から 2006 年までの誘拐事件平均発生率は 2002 年の約 2.61 倍となったものの、2007 年以降には大幅に減少してい ます。しかし、2007 年 3 月にハマ市のホテルを出発したカナダ人女性が行方不明となっており、誘拐事件に巻き込まれ た可能性があります。今後、邦人等外国人が被害に遭う可能性は排除できません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

シリアでは、治安当局による監視や取締りも行われていますが、2011 年 3 月以降、各地でデモ隊と治安機関の衝突等 が発生しており、国内治安に混乱が生じています。首都ダマスカスにおいても大規模なテロ事件が発生して、日本人がテ ロの巻き添え被害に遭うおそれも高まっていると考えられます。さらに、アル・カーイダ関係者を名乗る者等により、日 本を攻撃対象として名指しする声明が、過去にインターネットなどを通じて出されたこともあることを考慮すれば、巻き 添え等偶発的な被害のみならず、テロや誘拐の標的とされる可能性も完全には排除されません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ

- 183 -

の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 184 -

【トルコ】 1.概況

(1)治安情勢について

内戦終結後、反政府勢力の中心であるタジキスタン東部ゴルノ・バタフシャン自治州、同中東部ガルム地方等では、治 安情勢は改善されつつありましたが、2005 年以降、イスラム過激主義者の活動が活発化するに伴い、再び悪化傾向にあ ります。首都ドゥシャンベ市内においては 2007 年に 3 件、2008 年に 2 件、2009 年に 3 件、2010 年に 4 件、そして 2011 年 3 月にはドシャンベ市内のレストラン駐車場にて爆発事件がそれぞれ発生しています。右を除き、2011 年には、政府 側の反政府勢力への掃討作戦やウズベキスタン・イスラーム運動(IMU)及びヒズブ・タフリール(HT)に対する大 量検挙により、主立った事件発生はありませんでした。

(2) 各組織の動向

タジキスタン最高裁判所が公式に認定している過激主義組織として、アル・カーイダ、IMU、タリバーン、サラフィ、 HT、トジキストン・オゾード(自由なタジキスタン)などがあります。北部ソグド州を中心に活動しているHTについ ては、2010 年、タジキスタン治安当局が同組織への取締を強めた結果、多数の逮捕者を出しています。また、2009 年 1 月にタジキスタン最高裁判所が宗教団体サラフィを過激主義に認定し、治安当局の取締が強化されています。サラフィは 現在のところ、布教活動のみで、武力行使や反政府的な言動等は見られませんが、徐々に勢力拡大傾向にあります。また、 IMUにはイスラム教義指導を標榜したメンバー獲得の動きもあります。 報道によれば、2006 年 1 月にソグド州で発生したカイラクム刑務所襲撃事件については、IMUによる犯行でしたが、 同年 6 月にドゥシャンベ市内で発生の連続爆発テロ事件については、愉快犯的犯行であることが判明しています。2007 年以降発生した複数の爆発テロ事件については、どのような組織による犯行か不明でしたが、2010 年 9 月にソグド州ホ ジャンド市で発生したソグド州内務局組織犯罪対策課庁舎に対する自爆テロ事件では、宗教団体「タジクにおけるジャマ アト・アンサルラフ」が犯行声明を出しています。

2.誘拐事件の発生状況

内務省の発表によれば、2011 年中 6 件の誘拐事件が発生しており、そのほとんどがタジキスタン南部のアフガニスタ ン国境沿いで発生しています。誘拐事件発生の原因は麻薬売買に伴う金銭の支払いに絡むトラブルと見られ、現在のとこ ろ外国人を標的とした誘拐事件は発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

タジキスタンにおいては、ドゥスティ-ニジノピャンジ間、クルガンチュベ-ドゥスティ間道路改修プロジェクトや草 の根無償資金協力等の経済支援を通して、日本及び日本人に対する国民感情が大変良いと思われます。このため、日本人・ 日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いと見られていますが、国民の大多数が貧困層であり、貧富の格差が激しく なりつつある現状においては、日本人・日本権益が標的とされなくても、誘拐等に巻き込まれるおそれがありますので、 依然として注意が必要です。

4.タジキスタン政府のテロ対策

タジキスタンではテロ対策を専門に扱う機関は設立されていませんが、内務省及び国家安全保障委員会がテロ対策を推 進しています。また、緊急事態の発生に応じて関係機関が連携し、事態の対応に当たっています。

- 185 -

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 186 -

【バーレーン】 1.概況

(1)バーレーンでは、2011 年中、テロ事件の発生は確認されていませんが、同年発生したテロに関連する事案として、 7 月、爆発物を英国に持ち込もうとした英国人が逮捕された事案、11 月、バーレーン国内でテロを画策した容疑で5人の バーレーン人が逮捕された事案、12 月、在バーレーン英国大使館近くでの爆発事案、空港内で不審物が発見された事案 等が発生しています。 また過去には、2007 年 8 月、2008 年 6 月、同年 12 月及び 2009 年 4 月、国内におけるテロ計画や国際テロ組織への援 助等により複数のバーレーン人等が逮捕された事例が挙げられるほか、隣国サウジアラビアからの銃器類の密輸未遂事件 等も発生しています。

(2)バーレーンでは、イスラム過激派組織は確認されていませんが、米国や英国からは、バーレーンでのテロに関する 渡航情報が継続して発出されています。特に、バーレーン国内には米海軍第 5 艦隊の司令部があることや、多くの外国人 が集まる国際的なイベントが例年実施されることから、米軍兵士等の外国人が集まるショッピングモールや飲食店、各種 イベント会場、ホテル等を標的とするテロの可能性も排除できません。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を対象とした誘拐事件は発生していません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

(1)日本人・日本権益を直接の標的とするような具体的な脅威はこれまで認められませんが、上記のとおり、外国人が 集まるショッピングモールや飲食店、イベント会場やホテル等を標的とするテロが敢行された場合には、在留邦人が巻き 込まれるおそれも否定できません。

(2)また、過去には、日本を攻撃対象として名指しする声明がアル・カーイダ関係者を名乗る者等により出されたこと もあることを考慮すれば、巻き添え等の偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 187 -

【ヨルダン】 1.概況

(1)ヨルダンでは、2011 年に大規模なテロ事件の発生はありませんでした。しかし、ヨルダンは、イラク、パレスチ ナ、レバノン、シリア、サウジアラビアに囲まれ、イスラエルをめぐる情勢による影響を絶えず受けており、未遂を含む 近年のこれまでのテロ事件の発生状況などを総合的に考慮すると、ヨルダンの治安は依然安定しているとはいえず、今後 もテロ事件発生の可能性は排除されません。

(2)2011 年 5 月、パキスタン国内において米国の作戦によりアル・カーイダ最高指導者オサマ・ビン・ラーディンが 殺害されました。これを受けて、ヨルダン政府は、国内の米国・欧州権益等を狙った報復テロ事案の可能性を視野に入れ た徹底的なテロ対策を実施し、治安の強化に努めたため、ヨルダン国内においては、テロ事案の発生はありませんでした。 しかし、ヨルダンに近いエジプト国内シナイ半島のアリーシュ付近において、ヨルダンとエジプトを繋ぐ天然ガス・パイ プラインが年間を通じて 10 回爆破される事案が発生しており、同事案はエジプトとイスラエルを繋ぐ天然ガス・パイプ ラインを狙ったものであったと報じられています。

(3)ヨルダンで近年摘発された多くの事件は、武器調達がヨルダン国内で行われたこともあり、当局が事前に察知し、 未遂段階で検挙されています。しかし、これまでにヨルダンで実行された主要なテロ事件の背景にもみられるように、実 行犯が武器と共に隣接国(イラク等)から入国し、短期間のうちに犯行に及ぶケースもあり、現在、ヨルダン治安当局に とって国境管理は重大な課題となっています。

(4)このような経緯から、ヨルダン政府は、テロ再発防止のため、関連法令の整備や体制の強化等に取り組んでいるほ か、イラク及びシリア国境からの入国につき、より厳しい治安措置を講じるようになりました。また、治安当局の指導の 下、主要ホテルやショッピング・モールなどにおける警備強化が図られています。

(5)しかしながら、武器・爆発物等と共にヨルダンに入国しようとするテロリストを完全に捕捉することは困難です。 また、2008 年 7 月に発生したアンマン市内ローマ円形劇場における外国人旅行者に対する銃撃事件のような単独犯につ いては、当局もその動向を完全に把握することは難しく、ヨルダンにおいてテロ事件等が今後も発生する可能性は排除で きませんので、引き続き注意が必要です。

2.各組織の活動状況

(1)イラクのアル・カーイダ勢力は、ヨルダン人テロリスト、アブー・ムスアブ・ザルカーウィが率いていましたが、 同人の死亡後はエジプト人アブー・ハムザ・アル・ムハージルが後継者となったとされます(後者も 2010 年 4 月殺害)。 同組織の前身は「タウヒード・ワ・ジハード(一神教聖戦団) 」であり、2004 年 10 月、アル・カーイダに忠誠を誓う声 明を発出して以降、名称を「メソポタミアのジハード基地組織」に変更しました。2006 年、他の一部テロ組織と合併し て「イラク・イスラム国」と称するようになりましたが、同組織の主体はイラクのアル・カーイダ勢力であるとみられて います。

(2)ヨルダンにおいてイラクのアル・カーイダ勢力が実行したとされる主な事件として、 (ア)2002 年 10 月の米国人 外交官殺害事件、 (イ)2005 年 8 月のアカバにおける米国艦船に対するロケット弾発射テロ事件、 (ウ)同年 11 月のアン マン市内におけるホテル 3 か所連続自爆テロ事件(60 人が死亡、100 人以上が負傷したヨルダン最大のテロ事件)等が挙 げられます。

3.誘拐事件の発生状況

- 188 -

2011 年中、外国人を標的とした誘拐事件は発生していません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

(1)ヨルダン治安当局によれば、ヨルダン国内において、日本人及び日本権益を直接の標的とするテロ組織の存在は確 認されておらず、また、過去、日本人等を直接標的としたテロ事件も発生していません。ただし、過去には日本を攻撃対 象として名指しする声明がアル・カーイダ関係者を名乗る者等によりインターネット等を通じて出されている現状を考慮 すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。

(2)上記事情を踏まえれば、治安当局による厳しい取締りが行われているものの、ヨルダンにおいてテロ事件等が今後 も発生する可能性は否定できません。このため、常に不審者(車)に対する警戒を怠らない、欧米権益等テロの対象とな る可能性がある施設にはできる限り近づかない、欧米人がよく利用する観光ホテルのロビーには長時間留まらない、大型 ショッピング・モール等大勢の人が集まる場所では常に周囲の状況に気を配るなど、テロの被害に遭わないため十分に注 意する必要があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 189 -

【レバノン】 1. 概要

(1)2011 年、レバノンでは、3 月にエストニア人旅行者 7 人の誘拐事件及び本件に関与したグループによるベカー県ザ ハレでの教会爆破事件、5、7 及び 12 月にレバノン南部で活動している国連レバノン暫定隊(UNIFIL)を狙った爆弾テロ 事件が 3 件、11、12 月に南レバノン県ティールにおいて酒類を販売・提供するホテル、レストラン等における爆弾テロ が 2 件、11、12 月にレバノン南部からイスラエルへのロケット弾発射事件が 2 件発生しています。テロ事件の件数は計 9 件、負傷者は 20 人(死者なし。)であり、2010 年と比較すると件数、負傷者の双方ともに増えています(2010 年の発生 件数は 1 件、負傷者 3 人、死者なし。 ) 。

(2)UNIFIL に対するテロは 3 年 4 か月ぶり、イスラエルに対するロケット弾攻撃は 2 年 1 か月ぶりに発生しました。 これらの事件及びティールにおける酒類販売店等に対する爆弾テロでは明確な犯行声明がなく、イスラム過激派による犯 行という疑いの他にも、隣国のシリアにおいて 3 月中旬から始まった民主化運動がその後武力衝突にまで発展し、情勢が 混乱していることの影響を受けて発生したとの見方もあります。

2. 各組織の活動状況

(1)対イスラエル抵抗運動を標榜するヒズボラは、レバノン国会に議席を有し内閣に閣僚を出すなど、政党としての活 動を行っていますが、一方、米国、イスラエル等一部の国は依然、ヒズボラをテロ組織として認定しています。

(2)2005 年 2 月にベイルート市内で発生したハリーリ元首相暗殺事件等の捜査を行っているレバノン特別法廷(STL) の検察局は、6 月、ヒズボラ構成員 4 人を犯人として起訴しましたが、ヒズボラは、被告人らの身柄引渡を拒否する一方、 STL そのものを認めず、レバノン政府に政治的圧力を加え、STL への協力を拒むよう働きかけています。

(3)ヒズボラは、対イスラエル抵抗運動を口実に大量の武器を保有し、武器を手放すことを頑なに拒否しています。国 家の管理下にない同組織の武器は、国内での政治対立を押さえ込むための手段として用いられる可能性があり、治安上の 大きな問題となっています。

3. 誘拐事件の発生状況

2011 年 3 月 23 日にベカー県で発生したエストニア人旅行者 7 人の誘拐事件は、発生から 114 日後に人質全員が無事解 放され、犯人グループの大半も治安当局によって検挙されましたが、本件が身代金目的か政治目的であったのかは判明し ていません。事件首謀者は、過去にイラクで外国人の誘拐事件を行ってきたと言われ、依然逃亡中であり、今後もレバノ ン国内において外国人を標的とした誘拐事件が起きる可能性も否定できません。 また、ベカー県では、シリア人ビジネスマンや大企業の社長を狙った身代金目的と見られる誘拐事件などが数件発生し ており、特に同県において治安が著しく悪化している模様です。 さらに、シリア情勢の影響を受けて、レバノン国内からシリア人反体制活動家が行方不明になる事件が少なくとも 2 件発生しています。

4. 日本人・日本権益に対する脅威

2011 年中、日本人・日本権益を標的としたテロ、誘拐等の具体的脅威はありませんでした。しかし、同年 3 月には外 国人の誘拐事件が発生し、こうした脅威が完全に払拭されたとは言えません。レバノンで発生するテロ事件では爆発物が 多用されることから、巻き添えにより被害を受ける可能性があり、十分な注意が必要です。また、アル・カーイダ関係者

- 190 -

を名乗る者が、過去に日本や欧米諸国の権益を攻撃対象にすると明言したことがあることを考慮すれば、テロ事件に遭遇 し巻き添えとなる以外にも、日本人や日本権益が直接の標的となる可能性も完全に排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 191 -

【アルジェリア】 1.概況

(1)報道によれば、アルジェリアにおける 2011 年のテロ発生件数は 203 件(掃討作戦関連での事件を含む)で、テロ による死亡者数は 152 人(掃討作戦中の犠牲者を含む)でした。報道されていないテロ事件もあることから、実際のテロ 発生件数・犠牲者数はこれらの数字を上回っていると思われます。 テロ発生件数及びテロによる死亡者数は、アルジェ県に隣接するブーメルデス県及びその近郊 4 県(ティジ・ウズ県、 ブイラ県、ベジャイア県、ジジェル県)で全体の約 7 割を占めており、アルジェリア北東部山岳地帯に集中しています。

(2)アルジェリアでは、1990 年代初頭から、イスラム過激派による国内テロが多発し、今日までに 10 万人が犠牲になっ たと言われています。政府は元テロリスト服役囚の釈放や投降テロリストへの恩赦を認める一方で、掃討作戦を一層強化 し、テロリストやテロ・グループ幹部の逮捕・掃討を続けており、近年治安状況は改善傾向にあります。しかし、アルジェ リア北東部、特に山岳地帯では引き続きテロ事件が発生しており、テロの根絶には至っていません。また、テロ・グルー プが資金稼ぎのために、富裕層を誘拐し身代金を要求する、金融機関や商店を襲撃する、偽装検問で金品等を奪取すると いった、一般犯罪との区別がつき難い事件も発生しています。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

(1) 「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM) 」は、マグレブ地域を中心にイスラム国家を建設すること を標榜し、アルジェリア及びその周辺諸国の現地政府並びに国内の外国人・権益(特にフランス人をはじめとする欧米諸 国民・権益)を標的にテロ・誘拐を敢行するイスラム過激派組織です。前身のアルジェリアのイスラム過激派組織「サラ フィスト布教戦闘集団(GSPC) 」は、アル・カーイダへの正式合流が 2006 年 9 月に認められ、2007 年 1 月に現在の 名称に変更しました。それまでのテロ事件は主に小規模な手製爆弾や襲撃等によるものでしたが、2007 年以降、大量の 爆薬を用いるようになり、2007 年から 2008 年にかけては車両を用いた自爆テロが増加し、事件1件あたりの一般市民の 犠牲者数が増加しています。

(2)2011 年には自爆テロ 3 件が発生しました。2011 年 7 月 16 日、ブーメルデス県ボルジ・メナイエル地区の警察署に 対する車両を使用した 2 度の自爆テロ、8 月 14 日、ティジ・ウズ県ティジウズ市内の警察署に対する車両を使用した自 爆テロが発生しました。また、8 月 26 日、アルジェ県西部に隣接するティパザ県シェル・シェル地区の軍アカデミーに 対する 2 度の自爆テロが発生しました。

3.誘拐事件の発生状況

(1)アルジェリア国内では、特にティジ・ウズ県とブーメルデス県などの北東部の山岳地帯で、アルジェリア人の富裕 層をねらった事件が多発しています。北東部では外国人が誘拐される事件は確認されておりませんが、今後テロ・グルー プが無防備な外国人旅行者を誘拐し、身代金による資金稼ぎを行う可能性もあります。

(2)一方、南部砂漠地帯(ウアルグラ県、イリジ県、アドラール県、タマンラセット県及びティンドゥーフ県)では、 2011 年中に外国人誘拐事件 2 件が発生しました。イリジ県南部のアリデナ(イリジ県ジャネットの南 250 キロ)では、 2011 年 2 月 2 日から 3 日(いずれも現地時間)にかけて、イタリア人女性旅行者が運転手・ガイドとともに誘拐され、2 月 28 日、 「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM) 」は、TV局を通じて本件につき犯行声明を発出しま した。また、ティンドゥーフ県では、10 月 22 日から 23 日にかけての夜間、ティンドウーフ地区のラブニ西サハラ難民 キャンプで、難民の支援活動に従事していたスペイン人 2 人とイタリア人 1 人が武装グループに誘拐される事件が発生し ました。本件については、 「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM) 」の分派組織「西アフリカ統一聖戦運

- 192 -

動(MUJAO) 」が犯行声明を発出しました。これら2件の誘拐事件とも、2011 年 12 月末現在、人質は解放されてお りません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を直接の標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられています。しかし、かつて日本 を攻撃対象として名指しする声明がアル・カーイダ関係者と名乗る者によりインターネット等を通じて発出され、GSP CがAQIMに名称変更してアル・カーイダとの連携を表明したことを考慮すれば、日本人・日本権益が標的とされる可 能性は完全には排除されません。 また、テロの標的となっているのは、主として軍・警察等の治安関係者ですが、現場に居合わせて巻き込まれる一般市 民も少なくありません。さらに、政府関連施設や無防備な一般市民、外国企業をねらった事件も、少数ですが発生してい る他、2007 年に国連事務所も自爆テロの標的となりました。そのため、日本人・日本権益がテロに巻き込まれる可能性 もあります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 193 -

【アンゴラ】 1.概況

アンゴラでは 2002 年に内戦が終結した後、反政府勢力であった UNITA(アンゴラ全面独立民族運動)の武装解除及び政 治政党への移行が順調に進んだ結果、国内全域を活動拠点とした大規模なゲリラ及びテロ組織は確認されていません。

2.各組織の活動状況

(1)豊富な石油資源を有するアンゴラ北部の飛び地であるカビンダ州においては、1960 年代から、同州の分離独立を 目的とする「新カビンダ解放戦線(FLEC-R:FLEC Renovada)」及び「カビンダ解放戦線カビンダ軍(FLEC‐FAC:FLEC

Forcas

Armadas de Cabinda) 」の 2 つの反政府組織が活動しています。しかしながら、これらの組織は徐々に弱体化しており、 2003 年に FLEC-FAC 幹部ほか 8 名が投降した他、2006 年には政府と FLEC-R との間で和平合意もなされています。

(2)一方、FLEC-FAC は散発的な襲撃事件等を繰り返しています。2010 年 1 月、FLEC-FAC は、サッカーのアフリカ選手 権大会参加のため、コンゴ共和国からバスにてカビンダ州に入ったトーゴ共和国選手団を襲撃し、死傷者が出ました。こ の事件には、カビンダ独立運動の存在を世界的にアピールする目的があったものとみられています。アンゴラ政府はこれ をテロ行為であると強く非難すると共に、取り締まりを強化し実行犯と見られる 2 名を拘束しました。その後カビンダに おいて独立運動に関連したテロに関する情報はありません。

3.誘拐事件の発生状況

アンゴラ国内において、国際テロ活動や反政府活動によるものを含め、誘拐事件の発生は報告されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益を標的としたテロ情報はなく、脅威はそれほど高くはないとみられています。しかし外国人を標的と した金品目的等の犯罪が増加傾向にあり、誘拐等が発生する可能性が無いとは言い切れません。また、中国人が強盗に遭 遇し殺害される事件が発生している事に鑑みれば、中国人と区別されにくい日本人が犯罪に巻き込まれる可能性もありま す。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 194 -

【ウガンダ】 1.概況

(1)ウガンダ国内でこれまでに活動が確認されている反政府武装勢力として、LRA(Lord's Resistance Army:神の抵 抗軍)と ADF(Allied Democratic Force:民主同盟軍)があります。 LRA は 2008 年 12 月、ウガンダ軍・コンゴ(民)軍・南部スーダン自治政府軍による共同掃討作戦(ライトニング・サ ンダー)により、組織規模が縮小し、その活動拠点をコンゴ(民)、中央アフリカ共和国、南部スーダンに移しました。 結果、ウガンダ国内におけるテロ活動は減少傾向にあります。一方、2011 年に入り、ウガンダ国軍は、LRA がウガンダ国 内においても組織を再編成しつつあるとの情報を得たとして、コンゴ(民)との国境周辺の住民に警戒を呼びかけ、また、 2011 年 11 月、AU(African Union:アフリカ連合)は LRA をテログループと認定しています。 他方、 2011 年 10 月、米国政府は、米国軍顧問団をウガンダ他関係国に派遣し、LRA 指導者ジョセフ・コニーを排除す る作戦に参加させる旨決定しました。

(2)2009 年 10 月及び 2010 年 11 月、ソマリアのイスラム過激派組織「アル・シャバーブ」が、AU 平和維持活動部隊と して、ウガンダ軍兵士がソマリアに派遣されていることを不服とし、ウガンダに対するテロ攻撃の声明を発出。2010 年 7 月 12 日夜、ウガンダの首都カンパラ市内の 2 カ所において爆発事件が発生し、74 人が死亡、84 人が負傷しました。ウガ ンダ治安当局は、同事件を「アル・シャバーブ」による犯行と見ています。また、特定組織の犯行声明は出されていませ んが、2010 年 12 月 20 日には、ケニアからウガンダに向かうバス停留所にて爆発事件が発生し、この事件により 3 人が 死亡、35 人が負傷しました。 さらに、2011 年 4 月、ウガンダ治安当局は「アル・シャバーブ」が新たな攻撃を計画しているとのテロ警報を発出し ました。

2.誘拐事件の発生状況

ウガンダ治安当局の発表によると、ウガンダ国内における誘拐事件の発生状況は 2010 年度において 323 件、そのうち 成人を対象にした犯行が 23 件、未成年者を対象にした犯行が 301 件報告されています。 誘拐事件の傾向は被害者が成人(成人の場合、性別により異なります)であるか、未成年者であるかによって大きく異 なります。 まず被害者が成人男性である場合、金銭目的であることが多く、比較的高齢者であるケースが多く見られます。被害者 が成人女性である場合、強姦目的であることが多く、比較的若年者であるケースが多く見られます。いずれのケースも都 市部での犯行が目立ち、外国人や日本人が巻き込まれる危険性があります。 被害者が未成年である場合、宗教的な理由により神への供物や悪魔払いの進物目的であることが多く見られ、地方での 犯行が目立ちます。この種の誘拐に外国人や邦人が巻き込まれる可能性は低いと思われます。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益を標的としたテロは発生していません。しかしながら、日本がソマリア沖に自衛隊を派遣しているこ とから、ウガンダ当局は、「アル・シャバーブ」によって日本に関係する施設(大使館等)がソフトターゲットになる可 能性があると見ています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ

- 195 -

の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 196 -

【エジプト】 1.概況

(1)2011 年中、エジプトでは、1 月 1 日午前 0 時半頃、北部のアレキサンドリアにあるコプト教(キリスト教の一派) の教会で、23 人が死亡、90 人以上が負傷する爆弾テロ事件が発生しました。 本件は、イスラム教徒とコプト教徒間の社会的対立を煽り、エジプト社会を不安定化させる目的のものと考えられます。

(2)また、北シナイ県において、イスラエル、シリア、ヨルダン向けに輸出されている天然ガスのパイプラインが 10 回(2 月 5 日、4 月 27 日、7 月 4 日、7 月 12 日、7 月 30 日、9 月 27 日、11 月 10 日、11 月 25 日、11 月 28 日、12 月 18 日。既遂のみ。 )にわたり爆破される事件が発生しました。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中、報道によれば、エジプトでは、以下の事件を含む誘拐事件が断続的に発生しました。

(1)2 月、シナイ半島内のイスラエルとの国境地域付近において、覆面をした武装集団が国境警備隊員 3 人を誘拐しま した。

(2)2 月、イスラム過激派勢力がギザ近郊タルビヤにおいて聖マリア聖ミカエル教会の建築に携わる業者の家屋内に押 し入り、同業者の子女を誘拐しました。

(3)4 月、カイロ市内ヘリオポリス地区において、エジプト人女児に対する身代金目的の誘拐事件が発生しました。

(4)6 月、ミニヤー県において、コプト教徒の女性 2 人が誘拐され、イスラム教に改宗するように強制されました。

(5)12 月、シナイ半島北部のエルアリーシュにおいて 10 歳の少年が誘拐されました。

3.日本人・日本権益に対する脅威

エジプトにおいては、日本人・日本権益そのものに対する脅威はほとんど存在しないとされ、これまでのテロは、宗教 施設や観光地、重要インフラ施設で発生しており、日本権益及び在留邦人を対象としたものはありません。 しかし、エジプトには年間約 10 万人の日本人観光客が訪れていることから、観光地でテロが発生した場合、巻き添え 被害に遭う可能性は排除できず、実際にも 2009 年、カイロ市内の観光地ハン・ハリーリ市場(代表的な土産物街)に隣 接するフセイン広場で爆弾事件が発生し、外国人に死傷者が出た事例が発生しています。また、日本を攻撃対象として名 指しする声明がアル・カーイダ関係者を名乗る者等によりインターネット等を通じて過去に出されたこともあることを考 慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、標的とされる可能性も排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの

- 197 -

であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 198 -

【エチオピア】 1. 概況

(1)エチオピアでは、過去にオロモ解放戦線(OLF)等の反政府勢力によると見られるテロ事件が発生したほか、2008 年は、アディスアベバ市内で 1 件、ソマリ州の州都ジジガで 2 件、南部諸民族州で 1 件の爆破事件が発生しましたが、2009 年以降の発生はありません。2011 年 1 月、AU総会を狙った爆弾テロの動きがあったとされますが、未然に防止されま した。

(2) エチオピアは、国境紛争を抱えるエリトリア、アル・シャバーブが展開するソマリアと国境を接しているため、 テロ分子が他国から流入する可能性もあります。

2.誘拐事件の発生状況

2008 年 9 月にはエチオピア東部ソマリ州オガデン地区において、ソマリアから侵入した犯罪組織が同地域国境付近で 活動をしていた邦人 1 名を含む国際NGO職員 2 名を誘拐し、長期間にわたり拘束する事件が発生しましたが、2009 年 以降、誘拐事件の発生は確認されていません。

3. 日本人・日本権益に対する脅威

上記のとおり、2008 年 9 月、ソマリ州で日本人が誘拐される事件が発生しました。また、ソマリアからエチオピア側 に越境し、短時間の内に犯行を終えて再び国境を越えて逃亡する犯罪が増加する可能性があり、日本人・日本権益が標的 とされる可能性も排除できません。過去には、反政府勢力が無差別爆破テロ、外国人を標的にした誘拐を敢行しており、 こうした事件に邦人が巻き込まれる可能性は排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 199 -

【エリトリア】 1.概況

(1)エリトリアでは、1991 年以降、与党「民主主義と正義のための人民戦線(PFDJ) 」による一党制(臨時政府)が継続 していますが、こうした現状に不満を持つ反政府組織が国内外に存在すると言われています。

(2)首都アスマラにおいては、最近ではテロ事件の発生は報告されていません。しかし、スーダンとの国境付近やエリ トリア東部のエチオピア国境付近では、現政権を批判する反政府組織や、イスラム国家の樹立を標榜する非合法組織が活 動しており、不安定な状況が続いています。

2.誘拐事件の発生状況

現在までのところ、外国人をねらった誘拐事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 200 -

【ガーナ】 1.概況

ガーナでは、反政府組織や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年には外国人を標的とする誘拐事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益に対するテロ脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 201 -

【カーボヴェルデ】 1.概況

カーヴォベルデにおいては、反政府組織や国際的なテロ組織の細胞組織の活動は確認されておりません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 202 -

【ガボン】 1.概況

ガボンでは、反政府組織の活動や国際的なテロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を対象とした誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は一般に低いと見られていますが、注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 203 -

【カメルーン】 1.概況

(1)カメルーンでは、現在までのところテロ組織の存在は確認されておらず、テロ事件の発生も報告されていません。 また、イスラム過激派との繋がりも確認されておらず、イスラム過激派によるテロの脅威は高くないとみられます。 ただし、隣国ナイジェリアをはじめ周辺にイスラム過激派が活動している国々があることから、同グループの活動の影 響が懸念されます。

(2)南西州バカシ半島沖では、ナイジェリア系武装集団とみられるグループによる船舶への襲撃が散発的に発生してお り、船員が誘拐される事件が発生しています。

2.誘拐事件の発生状況

ドゥアラ市近辺の港湾やバカシ半島沖において誘拐事件が多く発生しています。2011 年中に発生した主な誘拐事件は以 下のとおりです。

(1) 2 月、バカシ半島沖で、同半島にある町の郡長を含む 13 名が海賊に誘拐される事件が発生し、犯人は多額の身代 金と拘束中の囚人 2 名の解放を要求しました。のち、誘拐された 13 名のうち治安当局関係者 2 名が死亡し、残る 11 名が 解放されました。

(2) 9 月、ヤウンデ市内の銀行前で市民団体のリーダーが誘拐され、誘拐犯に大統領選立候補者への後援活動につい て問われ、約 3 時間後に解放されました。

(3)9 月、西部州バフサムで 3 歳の男児が誘拐され、両親に対して身代金 700 万FCFA(邦貨約 120 万円相当)を要 求する脅迫電話がありました。

(4)11 月、ドゥアラ市内の住宅で泥棒が窓から侵入し、生後 2 ヶ月の乳児を誘拐しました。

(5)11 月、西部州バフサムで、3 歳の女児が誘拐されました。誘拐犯は水道会社を名乗り家政婦に門扉を開けさせ、家 政婦を拘束して女児をタクシーで連れ去り、その夜父親に電話で 1500 万FCFA(邦貨約 300 万円)の身代金を要求し ました。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益に対する直接的なテロ・誘拐の脅威は確認されていません。しかし、バカシ半島沖等 においては誘拐事件が発生しており、日本人・日本船舶も誘拐の対象となる可能性は排除できません。また、カメルーン はイスラム過激派が活動しているナイジェリアと国境を接していることから、同過激派がカメルーンにおいて活動する可 能性もあり、日本人がテロ・誘拐の巻き添えになる可能性は排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、

- 204 -

このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 205 -

【ガンビア】 1.概況

ガンビアでは、反政府組織や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認されておりません。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 206 -

【ギニア】 1.概況

(1)現在のところ、ギニアでは、テロ組織や反政府組織の活動は確認されていません。

(2)2011 年中のギニア国内でのテロ事件は確認されていませんが、過去には、1999 年に米国大使館文化センターへ時 限爆弾が仕掛けられた事件(未遂)が発生しています。

2.誘拐事件の発生状況

(1)2007 年 3 月、コナクリ市内で仏系石油卸販売会社(現地法人)トタール社社長が武装集団に誘拐される事件が発 生しました(400 万ギニアフランの小切手と引き替えに解放、支払った身代金の小切手を換金中に犯人逮捕) 。

(2)2009 年 9 月の軍人の一派がトタール社本部で起こした同社社長誘拐未遂事件を始めとして、同年 10 月から 11 月 にかけて、軍人あるいは軍人の身なりをした武装集団が、車両強奪目的のために一時的に運転者及び同乗者を連れ去り、 郊外で置き去りにするといった事件が多発しました。被害者の中には、当地在留の外交団・国際機関及び外資系企業関係 者等外国人も含まれています。

(3)2011 年は、ギニア国内での誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現時点では、日本人・日本権益が政治目的のテロの対象になる脅威は確認されていません。しかし、ギニアにおいて日 本人は裕福であると認識されているので、日本人を対象とした身代金目的の誘拐事件が発生する可能性は排除できません。 また、政治や経済情勢等の推移如何では国民の不満が騒擾事件に発展し、日本人が巻き込まれる可能性も排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 207 -

【ギニアビサウ】 1.概況

ギニアビサウでは、反政府組織の活動や国際テロ組織の下部組織の活動は確認されておりません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 208 -

【ケニア】 1.概況

(1)ケニアでは、近年、海賊事件や爆弾テロ事件が多発する隣国ソマリアの治安悪化の影響を受け、ソマリアとの国境 沿いにおいて外国人に対する誘拐事件や爆弾テロ事件等が発生し、特に 2011 年中、ソマリアのイスラム過激派組織「ア ル・シャバーブ」によると見られる外国人誘拐事件や爆弾テロ事件が多発しています。 ソマリア国境に隣接する沿岸州ラム県内のリゾート地において、2011 年 9 月、滞在中の英国女性がソマリアからケニ ア領域内に侵入した武装集団に拉致(同女性の夫は射殺)され、モーターボートでソマリアへ連れ去られる事件が発生し、 翌 10 月には、仏女性が同じくソマリアから侵入した武装集団に連れ去られる拉致誘拐事件が発生しています。また、10 月、北東部州ワージル県のダダーブ難民キャンプで、国際NGOのスペイン人2名が武装集団の襲撃を受け、拉致されて ソマリアへ連れ去られる事件が発生するなど、2ヶ月間で3件の外国人を被害者とする拉致誘拐事件が発生し、ケニア治 安当局は、何れの事件もアル・シャバーブ関係者による犯行とみて捜査しています。

(2)これら一連の拉致誘拐事件の発生を受けて、2011 年 10 月 15 日、ケニア政府は、国内治安を脅かしている「アル・ シャバーブ」のテロ行為を阻止するため、ケニア軍及び治安部隊によるソマリア領内への進攻を決定しました。これに対 し、同年 10 月 17 日、アル・シャバーブの報道官は、 「ケニア国内において、自爆テロを含む報復のためのテロ攻撃をす る」旨を宣言しました。

(3)この「アル・シャバーブ」による報復テロ攻撃宣言を受けて、ケニア政府は、首都ナイロビ市やモンバサ等の主要 都市を中心に、治安当局による国内警備体制を強化しましたが、 、10 月 24 日、ナイロビ市のダウンタウン地区内におい て、深夜バー及びバス乗り場に手榴弾が投げ込まれ、多数が死傷しました。翌 25 日は、手榴弾や銃器類を多数隠匿して いた「アル・シャバーブ」のメンバーが逮捕されました。 また 11 月、北東部州ガリッサ市内にある教会に手榴弾が投げ込まれ、数名が死傷する事件が発生し、さらに後日、同 市内のホテル内にあるカフェ及び教会付近の路上においても手榴弾が投げ込まれ多数が死傷するなどの事件が連続して 発生しました。ソマリアと国境を接する北東部州の各都市でも、手榴弾等によるテロ事件が発生しました。

(4)ケニアの治安当局は、このような国内の緊迫したテロ情勢を踏まえ、警備体制を継続して強化しています。

2.誘拐事件の発生状況

(1)9月11日午前2時頃(現地時間) 、ソマリア国境から約50Km 南方に当たるケニア沿岸州ラム県キウンガの沿岸 に位置するリゾートホテルにおいて、英国人夫婦が宿泊中のコテージ式の部屋に武装集団が押し入り、金品類を強奪した うえ、夫を銃器で射殺後、妻を連れ去る誘拐・強盗殺人事件が発生しました。犯人らは複数でモーターボートを使って犯 行に及び、妻をモーターボートで連れ去りました。

(2)10月1日未明(現地時間)、フランス人女性が、ソマリア国境から約100km南方に当たるケニア沿岸州ラム 県のリゾート地であるマンダ島沖 RasKitau 湾に面する自宅から、モーターボートでやってきたと見られる武装集団に よって誘拐されました。これに対し、ケニアの沿岸警備隊が犯人グループを一度は包囲したものの、同女性を救出できず、 女性は武装集団によってソマリア側に連れ去られました。 (※同女性は後日ソマリア国内で死亡。 )

(3)10月3日、ソマリアとの国境に近いケニア北東部州ガリッサ県ダダーブの難民キャンプにおいて、武装集団が、 国際NGO「国境なき医師団」で働く外国人援助従事者2名(スペイン人女性)の乗った車を襲撃し、同スペイン人2名 をソマリア側へ連れ去る誘拐事件が発生しました。

- 209 -

3.日本人・日本権益に対する脅威

ケニアにおいては、現在のところ、日本人・日本権益を直接の攻撃対象とするテロ組織は確認されていません。しかし、 2003 年 10 月及び 2004 年 5 月にアル・カーイダ関係者とみられる者により、日本を攻撃対象として名指しする声明が発 出されたことに留意する必要があります。また、外国人が多く利用するホテルや大型ショッピングセンター、レストラン 等、外国人を中心に人が多く集まる場所を狙ったテロが発生した場合、被害に巻き込まれる可能性もあることから、最新 の現地情報を収集し、特に多くの人が集まる場所においては、十分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 210 -

【コートジボワール】 1.概況

(1)コートジボワールでは、テロ組織の存在は認められていません。また、ここ数年においてもテロ関連事件は発生し ていません。

(2)2011 年 3 月から 4 月にかけての内戦中に国中に流出した武器を使用した強盗等が多発し、未だ治安情勢は不安定 です。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

コートジボワールにおいては、アル・カーイダ等テロ組織の存在は確認されていないものの、数万人規模のレバノン人 社会が存在し、レバノンを中心に活動しているイスラム教シーア派の政治組織「ヒズボラ」を支持している者も多いと言 われています。

3.誘拐事件の発生状況

内戦中の 2011 年 4 月 4 日、アビジャン市内のホテルにおいて、前大統領を支持する武装集団によって、フランス人 2 名、マレーシア人 1 名、ベナン人 1 名の計 4 名が誘拐され、全員殺害されました。

4.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は、低いと見られています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 211 -

【コモロ】 1.概況

コモロでは、現在のところ、国際テロ組織等の活動は確認されていません。また、国内で組織され、活動を行っている テロ組織の存在も確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

コモロにおける誘拐事件の発生は少ないとされています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益が直接的にテロ・誘拐の標的となる可能性は低いと考えられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 212 -

【コンゴ共和国】 1.概況

コンゴ共和国では、現在までのところ、国際テロ組織等の細胞組織の活動は確認されておりません。反政府勢力である 民兵組織「ニンジャ」は、同組織の指導者による武装解除及び国連開発計画(UNDP)を通じた武器回収や元民兵の社 会復帰計画の推進により、活動を沈静化させています。ただし、同組織は過去に列車の運行妨害や強奪行為を散発的に行っ ており、注意が必要です。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を標的とする誘拐事件は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。しかし、治安情勢の急激 な変化には、十分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 213 -

【コンゴ民主共和国】 1.概況

コンゴ民主共和国では、国際テロ組織の活動は確認されていません。コンゴ民主共和国の東部地域は、各非合法武装勢 力による攻撃が続いていましたが、2009 年に政府との間で和平合意が成立し、東部情勢は安定化に向けて大きく進展し ました。しかし、現在もなお、国軍兵士や各反政府武装勢力による銃撃戦、略奪及び性的暴行が繰り返されており、東部 地域は政府による統治が完全には及ばない不安定な地域であるため、テロ組織の温床となる可能性も完全には排除できま せん。

2.各組織の活動状況又は各地域の治安情勢

南・北両キブ州及びオリエンタル州東部は、ルワンダ及びウガンダの反政府武装勢力(「ルワンダ解放民主勢力(FD LR)」、「神の抵抗軍(LRA)」)が残存し、治安情勢がそれほど改善されていない地域であり、国連コンゴ民主共和国 安定化ミッション(MONUSCO)の支援を得て国軍がこれら外国武装勢力の掃討作戦を継続しています。

3.誘拐事件の発生状況

外国人を対象とした誘拐事件の発生は報告されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐事件の脅威は確認されていません。しかし、治安情勢の 急激な変化に十分注意する必要があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 214 -

【サントメ・プリンシペ】 1.概況

サントメ・プリンシペでは、反政府組織の活動や国際的なテロ組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を対象とした誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 215 -

【ザンビア】 1.概況

ザンビアでは、反政府組織の活動や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認されていません。しかし、国際テロ組織等が 近隣国から国境を越えて同国に潜入し、ひいてはテロを行う可能性は否定できません。

2.誘拐事件の発生状況

反政府組織や国際テロ組織等によるものを含め誘拐事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本人権益を標的としたテロや誘拐の脅威は高いとはみられていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 216 -

【シエラレオネ】 1.概況

シエラレオネでは、テロ組織の活動は確認されておらず、イスラム過激分子やアル・カーイダ関連組織の存在も確認さ れていません。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を標的とする誘拐事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益に対するテロ脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 217 -

【ジブチ】 1.概況

(1)近年、ジブチ国内においてテロは発生していません。しかしながら、ジブチ周辺には、ソマリアをはじめ、政治的 に不安定な国が存在することから、これらの国の情勢の変化がジブチに悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)ジブチ政府は、2011 年 12 月にアフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)部隊にジブチ軍の派兵を開始 しました。これに対し、2011 年 12 月 16 日、ソマリアの「アル・シャバーブ」が、ソマリアに派兵されるジブチ軍に対 してテロ攻撃を行う旨の声明を発出しました。右声明は、ジブチ国内においてテロ攻撃を行うことを示唆したものではあ りませんが、 「アル・シャバーブ」は、これまでも、ソマリアの暫定「政府」の支援を行う国、特にアフリカ連合(AU) の平和維持部隊であるAMISOMに軍を派兵する国に対してテロ等を含む各種手段を用いて報復する旨を宣言してお り、2010 年 7 月には、AMISOMに軍を派兵しているウガンダの首都カンパラにおいて爆弾テロを敢行し、2011 年 10 月にソマリアに侵攻したケニアの国内でも、手榴弾等を使用したテロ攻撃を行っています。こうした情勢に鑑みれば、 「ア ル・シャバーブ」又はそのシンパがジブチ国内においてテロを行う可能性は否定できません。

(3)2001 年 9 月 11 日の米国同時多発テロ事件以降、ジブチ政府は、テロ対策国家委員会を設置してテロ資金対策を含 むテロ対策に取り組んでいます。また、ジブチ政府は、テロとの戦いに参加する米軍等諸外国の軍隊に対し、空港や港湾 の使用及び国内への駐留を許可するなど積極的な協力を行ってきています。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

ジブチでは、極めて強固に組織化された治安当局が国内の各種犯罪を摘発している結果、目立ったテロ組織、反政府組 織の活動はみられません。

3.誘拐事件の発生状況

現在までのところ、外国人を対象とした誘拐事件の発生は報告されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を直接の標的とした事件は発生していません。しかし、今後、ソマリアをはじめ とする周辺諸国からテロリストが侵入する可能性は排除できず、また、過去にアル・カーイダ関係者と見られる者等から 日本を攻撃対象として名指しする声明が発出されたことがあることを考慮すれば、不測の事態が発生する可能性は排除で きません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 218 -

【ジンバブエ】 1.

概況

2011 年、ジンバブエではテロ事件の発生の報告はありません。またイスラム過激派の活動は確認されていません。

2.

誘拐事件の発生状況

政府は誘拐事件等の犯罪統計を公表していませんが、ジンバブエにおいて人身売買を目的とした誘拐事件が発生したと の情報もあります。

3.

日本人・日本権益に対する脅威

ジンバブエにおいて、日本人・日本権益に対するテロ、誘拐及び脅迫の発生は確認されておらず、テロ・誘拐等の脅威 は低いと考えられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 219 -

【スーダン】 1.概況

(1)1993 年、スーダンは米国によりテロ支援国家に指定されましたが、2001 年の米国同時多発テロ事件発生以来、テ ロ対策に関して米国との協力を強化し、国内に潜伏していたイスラム過激派メンバーの多くは出国もしくは国外追放され ました。

(2)そのため、スーダン国内におけるイスラム過激派メンバーの活動は限定的です。2008 年 1 月、米国際援助局(U SAID)職員がハルツーム市内を車で移動中、イスラム過激派メンバーによって射殺される事件が発生しましたが、同 事件の発生を受けて、政府が取締りを一層強化したことから、同事件以降、ハルツーム市内においてテロ事件は発生して いません。

(3)現在、国内ではアル・カーイダ関係者はほぼ根絶されたと言われています。一方、2011 年 5 月には、首都のハル ツーム市内でアル・カーイダ指導者のウサマ・ビン・ラーディン殺害を追悼する集会が開かれるなど、未だにアル・カー イダに対し共感を覚える者もいることから、テロが発生する可能性は排除できない状況です。

2.各地域の治安情勢

(1)ダルフール地域(西部地域)

2011 年 7 月、スーダン政府と「自由と正義運動(LJM) 」がダルフール和平に合意したものの、他の主要ダルフール 反政府勢力は合意枠組みに参加せず、2011 年 11 月には南スーダン系反政府勢力「スーダン人民解放軍北部勢力(SPL A-N)」との同盟結成を発表するなど、不安定な情勢が続いています。また、一部では未だにUNAMID及び人道支 援関係者等に対する誘拐、襲撃、略奪等が横行しており、治安状況は不安定です。

(2)南コルドファン州、青ナイル州及びアビエ地域(南部地域)

南コルドファン州及び青ナイル州は、南部独立後もスーダンにとどまったものの、元来南スーダン系住民が多数居住す る地域であり、未だに内戦時代の緊張が残存しています。特に、アビエ地域においては、依然行政機構が機能しておらず、 治安が不安定です。

3.誘拐事件の発生状況

日本人を標的とした誘拐事件は発生していませんが、2011 年に発生した外国人を標的とする誘拐事件(解放事案含む。 ) は、以下のとおりです。いずれも身代金誘拐の模様です。

(1)1 月 5 日、西ダルフール州において、2010 年 10 月に誘拐されたハンガリー国籍のUNAMID隊員1人が解放さ れた。

(2)1月 13 日、西ダルフールにおいて、国連の下請けで働く航空会社従業員のブルガリア人 3 人が誘拐された(6 月 6 日に解放) 。

(3)4 月 13 日、南ダルフール州カルマ難民キャンプにおいて、避難民により人質として捕らわれていた援助ワーカー 12 人が解放された。

- 220 -

(4)4 月 25 日、ユニティ州において、国際移住機関(IOM)の職員 2 人が、SPLM―Nによって自動車を乗っ取 られて紛争地帯への乗り入れを強いられたのち、行方不明になった。

(5)5 月 6 日、ダルフールにおいて、スーダン人 2 人が、外国人 9 人を誘拐した罪と国際援助団体の車両 1 台を盗んだ 罪により禁固 10 年の判決を下された。

(6)8 月 14 日、南ダルフール州都ニヤラ近郊において、イタリア人援助従事者1人が武装集団に誘拐された。12 月 16 日、同人は軍による治安作戦により解放され、実行犯 6 人が逮捕された。

4.日本人・日本権益に対する脅威

スーダンの対日感情は概して良好であり、現在までのところ日本人を標的としたテロや誘拐事件は発生しておらず、日 本人や日本権益に対する脅威は低いとみられます。しかし、国内では絶えず反政府勢力と政府軍との戦闘が発生している ことを考慮すれば、巻き添え等の偶発的な被害のみならず、政治状況次第で標的とされる可能性も完全には排除できない ので、十分注意する必要性があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 221 -

【南スーダン】 1.概況

(1)2011 年 7 月 9 日にスーダン南部が分離・独立して誕生した南スーダン共和国では、国際テロ組織及びイスラム過 激派等による国際テロ・ネットワークの活動状況は確認されていません。

(2)複数の反政府勢力が南スーダン国内で活動していますが、全体的に、その活動は限定的です。

2.各組織の活動状況

(1) 「神の抵抗軍(LRA) 」

ウガンダの反政府勢力のLRAは、2008 年 12 月、ウガンダ軍・コンゴ(民)軍・南部スーダン自治政府軍(当時) による共同掃討作戦により、組織規模が縮小し、その活動場所を南スーダン南部等(西エクアトリア州の一部地域に越境) に移し、住民への襲撃、略奪、誘拐行為を行っているとされています。 これに対して、2011 年 10 月、米国政府は、米国軍顧問団を南スーダン他関係国に派遣する等LRA掃討作戦に支援 を行っています。

(2)ジョージ・アトル率いる反政府勢力

南スーダン軍(SPLA)を脱退したジョージ・アトルが率いる反政府勢力は、南スーダンの政治的・軍事的改革を 目的として活動しています。 2011 年 9 月には、東部のジョングレイ州において、SPLAに対して待ち伏せ攻撃を行い、兵士 22 名が死亡、50 名が 負傷しました。同年 12 月、指導者のジョージ・アトルが中央エクアトリア州において、SPLAによって殺害されまし たが、現在もその残存グループが活動しています。

3.誘拐事件の発生状況

南北分離・独立以降、日本人を含む外国人を標的とする誘拐事件の発生は確認されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

南スーダンの対日感情は、日本人は南部分離・独立以前から支援してくれたという見方があるため極めて良好であり、 現在までのところ日本人を標的としたテロや誘拐事件は発生しておらず、日本人や日本権益に対する脅威は極めて低いと 考えられます。但し、国内では、スーダンとの国境付近における爆弾投下や部族間衝突、反政府勢力による襲撃といった 事案が散発的に発生していることを考慮すれば、巻き添え等の偶発的な被害のみならず、政情次第では標的とされる可能 性も排除できないので、十分注意する必要性があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011

- 222 -

年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 223 -

【スワジランド】 1.概況

スワジランドでは、1998 年の爆弾テロ以来、2008 年までにテロ事件が数件発生しましたが、それ以降テロ事件は確認 されていません。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

(1)1998 年および 1999 年、首都ムババネにおいて「ブラック・タイガー」と名乗る組織による爆弾テロが3件発生し ました。2005 年 9 月には火炎瓶テロが発生し、2008 年の総選挙にもテロ事件及びテロ未遂事案が数件発生しました。2011 年にはこのようなテロ事件は確認されていません。

(2)なお、スワジランドでは、1973 年に政党活動が禁止されて以来、民主化を要求する抗議運動がたびたび発生して います。2011 年は、3 月 18 日(ムババネ)及び 4 月 12 日(ムババネ及びマンジニ)に民主化要求デモが、7 月 27-28 日 (同上)には組合によるデモがそれぞれ行われました。都市部では、デモ参加者が暴徒化したり、デモと治安維持部隊の 衝突が起こる可能性があり、治安上の懸念が増しています。東部の主要都市シテキや南部の主要都市ンシュランガノでも、 ムババネ及びマンジニと比較すれば相対的に危険度は低いですが、同様の危険があり得ます。

3.誘拐事件の発生状況

最近、誘拐事件は年に 10 件前後発生している模様ですが、わいせつ目的がその大半を占めており、外国人を標的とし たもの、テロ組織等による政治目的・身代金目的の誘拐事件の発生は確認されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的とするテロや誘拐の脅威は確認されていません。しかし、民主化を求める 大規模な反政府デモや偶発的な騒擾が発生し、それに伴うテロ等に巻き込まれる可能性は排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 224 -

【赤道ギニア】 1.概況

赤道ギニアでは、国際テロ組織の活動は確認されていません。しかし、2009 年 2 月には大統領府付近で銃撃戦が行わ れるなど突発的な事件が発生しており、今後、政治・経済・社会情勢によっては、反政府組織等が出現することも考えら れ、政治的なテロ等の脅威にさらされる可能性も排除できません。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を対象とした誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 225 -

【セーシェル】 1.概況

(1)セーシェルにおいては、現在のところ反政府組織や国際テロ組織の活動は確認されていません。

(2)最近、ソマリアの海賊による船舶への攻撃及び乗っ取り事案がセーシェルの排他的経済水域内でも多発しているの で、注意が必要です。

2.誘拐事件の発生状況

2010 年にセーシェル沖を遊覧中の船舶が海賊に襲撃され、外国人乗組員が誘拐される事件が 2 件(被害者は計 4 人、 英国籍及びアイルランド国籍)が発生しましたが、身代金を支払った後に釈放されました。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益がテロや誘拐の直接の標的とされる脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 226 -

【セネガル】 1.概況

セネガルでは、反政府組織の活動や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認されておりません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 227 -

【ソマリア】 1.概況

ソマリアでは、2005 年にソマリア暫定連邦「政府」 (TFG)が樹立され、国際社会の支援の下、和平へ向けた努力が 続けられていますが、TFGに反抗するイスラム過激派組織「アル・シャバーブ」等の勢力との戦闘が続いており、全土 を実効的に支配する政府は依然として存在していません ソマリアでは、武器の密輸・密売が横行しており、沖合においては海賊行為が多発し、陸上では外国人をねらった誘拐 事件や国際機関職員等に対する殺害事件も発生しています。またイスラム過激派組織によるテロ攻撃も中南部を中心に多 発しています。 2011 年 10 月、ケニア軍が「アル・シャバーブ」掃討のためソマリア領内に進攻、その後、エチオピア軍もソマリア中 南部のエチオピア・ソマリア国境付近よりソマリア領内に進攻を始め、中南部の都市を中心に戦闘行為が行われており、 外国人が安全に入国・滞在し得る状況にはありません。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

「アル・シャバーブ」は、2006 年末に始まったTFG及びエチオピア軍の攻勢によりイスラム法廷連合(UIC)が 駆逐された後、UICの軍事部門が核となって組織されたもので、アル・カーイダ系勢力との繋がりも懸念されています。 ソマリアにおける厳格なイスラム法による統治を目指し、ソマリア中南部、首都モガディシュを中心にTFGやアフリカ 連合ソマリアミッション(AMISOM)等への攻撃を行ってきました。2011 年 8 月モガディシュからの戦略的撤退を 宣言しましたが、依然としてゲリラ的な攻撃を継続しています。

3.誘拐事件等の発生状況

(1)国際機関、NGO等の職員及び外国人を狙った身代金目的の誘拐事件が発生しています。また、ケニア領内で誘拐 された外国人の多くがソマリア領内に連れ去られています。

(2)ソマリア沖では海賊事件が多発し、その活動範囲もソマリアから遠く離れた沖合に拡大しつつあります。全ての船 舶が海賊の襲撃対象になり得、襲撃の際には、ロケット砲等の強力な武器や高速ボートを積載した母船を用いるなど、そ の手口はますます組織化、巧妙化しています。

4.日本人・日本権益に対する脅威

ソマリアにおいては、外国人、外国船舶を対象にした誘拐、海賊事件が発生しており、日本人、日本関係船舶も攻撃対 象の例外ではありません。また、過去、アル・カーイダ関係者とみられる者等から日本を攻撃対象として名指しする声明 が発出されたことがあることを考慮すれば、日本人・日本権益が標的とされる可能性は排除されません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 228 -

【タンザニア】 1.概況

(1)1998 年 8 月の在タンザニア米国大使館に対する、イスラム過激派によるものとみられる爆弾テロは、数十人が死 傷する大惨事となり、大きな衝撃を与えました。この事件を契機に、タンザニアでも外部勢力の侵入又はこれとの連携に よってテロが発生し得ることに対して、改めて注意が向けられることになりました。

(2)2001 年 9 月の米国同時多発テロ以降、世界のあらゆる地域でテロが発生する可能性がより強く認識され、タンザ ニアでもテロへの警戒が強化されています。しかし、テロ分子のタンザニアへの入国およびその国内での活動を完全に防 止するのは困難とみる向きもあります。こうしたことから、タンザニアにおいても、再びテロ事件が発生する可能性は排 除し得ません。

(3)2010 年 7 月、ウガンダの首都カンパラで発生した爆破テロにタンザニア人が関与しており、タンザニア国内のア ルーシャ市で逮捕されていることからタンザニアがテロ組織の活動範囲の一つとなっていることが推測されます。

(4)2010 年 10 月以降にケニアとソマリアの国境でタンザニア人 10 人が逮捕されたほか、入国管理局員 8 人が 400 人 以上のソマリア人をタンザニアに不法入国させていたことに鑑み、イスラム過激派組織アル・シャバーブとの関連性が取 りざたされ、内務大臣からテロ警戒が発令されました。

2.各地域の治安情勢

(1)ザンジバルにおいては 2000 年の大統領・国民議会選挙で与党CCM(革命党)と最大野党CUF(市民統一戦線) の支持者の間で衝突やテロ事件が発生し多数の死傷者が出ており、また、2004 年にも放火・爆発事件が発生しています が、2010 年 10 月の選挙においては、CCMとCUFの間で連立政権を樹立することで事前に合意が成り、選挙活動中、 負傷者及び逮捕者が出ることもなく、選挙は比較的平穏に終了しました。

(2)他方、2011 年 1 月、タンザニア本土においては、野党第 1 党に躍進したCHADEMA党がアルーシャ市で与党 に対するデモ行進した際、治安当局と衝突し、参加していた議員も含めて多数の死傷者と逮捕者が出ています。

(3)2008 年 2 月には、ブッシュ米大統領(当時)のタンザニア訪問の時期に合わせてテロ攻撃を計画していたとされ るタンザニア人 5 人、アラブ人 3 人、アジア人 1 人の計 9 人の容疑者が同大統領の訪問 2 日前に逮捕されるなど、テロ分 子がタンザニア領内に潜伏している可能性は排除できません。

(4)タンザニアの周辺国は貧困等の問題を抱えている国が多く、エチオピア、ソマリア、隣国のルワンダ、ブルンジ、 コンゴ(民)から不法に入国する者が後を絶たず、テロ組織の一員もこの中に紛れ込んで不法入国している可能性がありま す。

3.誘拐事件の発生状況

外国人やタンザニア人をねらった身代金目的の誘拐は発生していませんが、過去幾度となく、邦人旅行者が短時間誘拐 の被害に遭っています。短時間誘拐のいずれの被害もダルエスサラームで発生しており、複数のタンザニア人に強引に車 に押し込められ、人気のない路地に連れて行かれ、刃物等を突き付けられて金品等を強奪されています。

4.日本人・日本権益に対する脅威

- 229 -

現在までのところ、日本人・日本権益を直接の対象としたテロや誘拐の脅威は高いとはみられていませんが、ソマリア 海賊の活動地域は拡大傾向にあることから、タンザニアの近海で海賊の襲撃事案が発生する可能性は否定できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 230 -

【チャド】 1.概況

(1)チャドでは現在のところ、テロ組織の活動は確認されておらず、ここ数年間、テロ事件の発生も報告されていませ ん。チャドでは、現在のところ、イスラム過激派との繋がりも指摘されていません。しかし、 今後マグレブ及びサハラ 諸国のイスラム過激派組織「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQMI)」の活動の影響を受ける可能性もあ ることから、引き続き注意が必要です。

(2)チャドでは反政府勢力の活動が活発であり、スーダンとの国境近辺の東部地方で武装グループが国際NGO所属の 外国人職員を誘拐する事件等が多発していましたが、2010 年チャド政府がスーダン政府との間で国境治安措置について 合意をしたため、以後は東部地方の治安が改善し、誘拐事件の発生も減少しました。

(3)チャド反政府勢力である復興のための人民戦線(FPR:the Popular Front for Reconstruction)は、現在隣国 中央アフリカに潜伏し、チャド・中央アフリカ国境周辺で破壊・暴力活動を行っています。

(4)隣国リビアでの危機を受け、チャド北部には多数のリビア帰還民(チャド人)が流入し貧困が深刻化しています。

2.誘拐事件の発生状況

スーダンとの国境に近接する東部地方では、武装グループによる国際NGO所属の外国人を標的とした誘拐事件が発生 していましたが、2011 年中にチャド国内で発生した誘拐事件についての報道情報はありませんでした。しかしながら、 周辺国同様に身代金目的の誘拐は依然発生しているものとみられます。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、直接的に日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の可能性は低いとみられていますが、これらの巻き 添えになる可能性は排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 231 -

【中央アフリカ】 1.概況

(1)中央アフリカでは現在までのところ、テロ組織の存在は確認されておらず、テロ事件の発生も報告されていません。

(2)ウガンダの反政府勢力である「神の抵抗軍(LRA) 」がコンゴ民主共和国を経て中央アフリカ南東地方に侵攻し 誘拐・殺りくを繰り返しています。LRAの活動を阻止するため、現在までにウガンダ国防軍等が中央アフリカで討掃作 戦を実施していますが、完全にLRAの活動を停止させるまでには至っていません。 また、チャド反政府勢力FPRが中央アフリカ内に潜伏しており、中央アフリカとチャドの国境周辺で破壊・暴力活動 を行っています。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年中に発生した誘拐事件のうち、報道されたものは以下のとおりです。

3 月、中部の町ヌザコで、ウガンダの基地を追われた反政府勢力LRAが同町を襲撃し、少なくとも 6 名を殺害し数十 名を連れ去りました。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、中央アフリカにおいては日本人・日本権益への直接的な脅威は低いとみられますが、巻き添えになる可 能性は排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 232 -

【チュニジア】 1.概況

(1)チュニジアでは前政権下で、テロ撲滅に向けた経済・社会政策、イスラム過激派の徹底した取締りが実施され、治 安当局によって警戒が一層強化されたことから、2002 年 4 月にジェルバ島のユダヤ教礼拝堂前で発生した自爆テロ事件 (ドイツ人観光客等 21 人死傷)以降は、国内においてテロ事件の発生はみられません。また、これら対テロ対策は、2011 年 12 月に発足した新政権下においても引き続き行われるものと思われます。

(2)2006 年 12 月から 2007 年 1 月にかけて、チュニジア国内の外国公館や外交官を標的としたテロを計画していたと みられるチュニジア人らのグループと治安部隊との間で銃撃戦があり双方に死傷者が出た他、 政変後の 2011 年 5 月には、 テロリスト・グループとみられる団体と治安部隊の間で銃撃戦がありました。同グループは、アルジェリアを拠点とする 「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM)」からキャンプでの軍事訓練や武器の提供を受けていたとみられ、 こうしたグループが政情の不安定につけ込み、活動を開始し、今後国内でテロ事件が発生する可能性も排除されません。

2.誘拐事件の発生状況

2008 年 2 月、チュニジア南部砂漠地帯を四輪駆動の車両で旅行中のオーストリア人 2 名が「イスラム・マグレブ諸国 のアル・カーイダ(AQIM) 」を名乗るグループによって誘拐され、同年 10 月にマリ北部で解放されました。今後も同様の 事件が発生する可能性があります。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益に対する具体的な脅威は把握されていません。また、チュニジアにおける対日感 情は概ね良好と言えます。 ただし、今後、イスラム過激派勢力の台頭並びに中東情勢等により、日本権益への脅威が増したり対日感情が悪化する 可能性も完全には否定できません。また、外国人・外国権益に対する攻撃に日本人・日本権益が巻き込まれるおそれもあ りますので、十分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 233 -

【トーゴ】 1.概況

トーゴでは、現在までのところ、アル・カーイダを含むテロ組織や反政府組織等の存在は確認されておらず、また、テ ロ関連事件の発生も確認されていません。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

国内でテロや誘拐等の凶悪事件は発生していませんが、国境付近では旅行者等通行人(車)の金品を目当てとした強盗 団の襲撃事件が発生しています。周辺の近隣国内でも外国人を狙う誘拐事件が発生しているので、十分な注意が必要です。

3.誘拐事件の発生状況

誘拐事件の発生は確認されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 234 -

【ナイジェリア】 1.概況

(1) ナイジェリアでは、2011 年中に、報道されただけでも未遂を含め計 72 件の爆弾テロが発生しました。そのほと んどはイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」の犯行とみられ、うち約半数の 34 件が同組織の拠点である北部のボルノ州 で発生しました。また、 「ボコ・ハラム」は、8 月 26 日、首都アブジャ所在の国連ビルで発生した自動車爆弾による自爆 テロ(国連職員等 23 人が死亡、80 人以上が負傷しました)に関しても、犯行声明を発出しました。この事件は、ナイジェ リア初の国際機関を標的とした自爆テロでした。さらに、「ボコ・ハラム」は、治安機関や反対勢力等に対する襲撃を繰 り返し、これまでに数百人を殺害しました。

(2)現在、特に治安の悪化が深刻な地域は、北部、中北部プラトー州、ナイジャー州の一部及び南部のナイジャー・デ ルタ地帯及びその周辺地域です。 北部では、2009 年に「ボコ・ハラム」が治安機関と衝突して多数が犠牲となったほか、2010 年から、ボコ・ハラムの 報復とみられる自爆テロ、警察署等の襲撃や警察官の殺害等が急増し、今なお北部各地でテロ、襲撃等が繰り返されてい ます。 中北部のプラトー州の州都ジョスでは、部族間や宗教間の対立により暴動や殺人が頻発しています。2011 年中、報道 されただけでもプラトー州では部族間、宗教間の対立に伴う襲撃や殺人事件が計 25 件発生、100 名以上が殺害され、う ち未遂を含む爆弾テロ 6 件が発生し、依然として収拾のつかない状況にあります。 南部では、反政府武装組織「MEND」(Movement for the Emancipation of the Niger Delta)等の武装集団によって石 油関連施設が攻撃・破壊されたほか、外国人等の富裕層や石油関連企業職員等が誘拐される事件が頻発しています。

2.各組織の活動状況

(1) イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」の活動状況

「ボコ・ハラム」は、2002 年に北部のボルノ州で結成されたと言われています。 「ボコ・ハラム」とは、ハウサ語で「 (西 洋の)教育は罪」という意味で、過去には自ら「ナイジェリアのタリバーン」を名乗ったこともありました。2009 年 7 月、北部のバウチ州の州都バウチ市において、 「ボコ・ハラム」が警察署を襲撃したことをきっかけに治安部隊と衝突し、 最終的な死者は 700 人を超えたとされています。その後 2010 年から、 「ボコ・ハラム」は警察等の取締りに対する報復や 反対勢力等に対する襲撃等を活発化しています。2011 年中は、 「ボコ・ハラム」の犯行とみられる自爆テロ及び爆弾を使 用した襲撃が急増し、数百人が犠牲となっています。治安機関の取締り強化により「ボコ・ハラム」の活動が拡散してい るため、今後、いつどこで「ボコ・ハラム」による爆弾テロ等が発生するか予測できない状況にあります。

(2) 反政府武装組織「MEND」の活動状況

ナイジェリア政府収入の約 7 割以上は南部地域で産出される原油関連収入に依存しているにもかかわらず、地元に対す る利益の還元が十分されていないとして、南部地域住民の間には政府に対する強い不満が存在しています。こうした不満 を背景として、2000 年から多数の武装集団が結成され、2006 年に銃器で武装した MEND が結成されたと言われています。 その後、MEND は数ある武装集団の中でも最大規模を誇るようになり、MEND による石油関連施設の攻撃や破壊、外国人の 誘拐が激増しました。2009 年には MEND に対する恩赦が実施されましたが、それでも 2010 年 10 月、首都アブジャ市街地 で、MEND による車両爆弾テロ事件が発生し、少なくとも 12 人以上が死亡、多数が負傷し、この事件の犯人として MEND 構成員の数名が逮捕されました。2011 年中も、MEND や他の武装集団による石油関連施設の攻撃・破壊、誘拐、強盗事件 等が起きています。

- 235 -

3.誘拐事件の発生状況

ナイジェリアでは、武装集団が身代金目的で外国人を誘拐する事件が 2006 年後半から激増し、2007 年には 170 人以上 の外国人が誘拐されました。2009 年、治安当局は「2009 年上半期のナイジェリア人を含む誘拐被害者総数は 512 人で、 2008 年の 353 人を 70 パーセント近く上回っている。 」と発表しました。これに対して治安当局は、誘拐事件捜査の専門 組織を新たに編成して取締りを強化したほか、上記 MEND への恩赦もあり、その後の誘拐事件は若干減少傾向に転じまし た。2011 年は、計 36 件の誘拐事件が報道されたものの、被害者総数は報道等されていません。過去の被害者数から推定 すると、この数は氷山の一角とみられ、更に多くの誘拐事件が発生していると思われます。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を直接の標的としたテロや誘拐事件等の発生は確認されていません。しかし、 「ボ コ・ハラム」は、各地で自爆テロ等の爆破事件を敢行しているため、今後、いつどこでテロ事件が発生するか予測できな い状況です。さらに、国連ビル爆破事件以降、 「ボコ・ハラム」とイスラム過激派組織「イスラム・マグレブ諸国のアル・ カーイダ(AQIM)」等とのつながりがナイジェリア治安当局によって確認されており、過去、日本を攻撃対象として 名指しする声明がアル・カーイダ関係者と名乗る者等によりインターネット等を通じて出されたことがあることを考慮す れば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。 また、南部のナイジャー・デルタ地帯及びその周辺地域を中心に外国人等の富裕層を標的とした身代金目的の誘拐事件 等が引き続き多発しており、外国人であるという理由だけで標的となる可能性が非常に高いです。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 236 -

【ナミビア】 1.概況

独立以来ナミビアにおける治安は概ね落ち着いた状況にあり、テロ組織等の活動は見られません。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を標的とする誘拐事件は発生していません。2008 年に誘拐事件 1 件の発生が報告されていますが、外国人を標 的とするものではなく強盗が目的でした。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益を直接の対象としたテロや誘拐の脅威は低いと考えられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 237 -

【ニジェール】 1.概況

(1)ニジェール共和国では、同国北部、西部を中心にイスラム過激派組織「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ (AQIM) 」による外国人を狙った誘拐事件が連続発生しています。

(2)リビア情勢不安定化に伴い、リビアとの国境付近であるアガデズ地方では、武器や麻薬の密輸グループやAQIM の活動が活発化しています。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

(1) 「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM) 」

AQIMは、北部、西部の国境付近や砂漠地帯において、身代金を目的として外国人の誘拐・強盗を敢行しています。

(2)旧反政府勢力「正義の為のニジェール人運動(MNJ) 」

1990 年頃より、北部トゥアレグ族を主とする反政府勢力がアガデズ地方を中心に活動しています。1995 年に政府との 和平合意が結ばれ、活動は沈静化していましたが、2007 年に MNJ は和平合意を不服として活動を再開し、2008 年の政府 軍と MNJ との交戦では、両者に多数の犠牲者を出しました。北部で活動する主な反政府組織は「正義の為のニジェール人 運動」 (MNJ)とその分派の「ニジェール愛国戦線」 (FPN)、 「復興軍事戦線」 (FFR)の 3 組織でしたが、2009 年 12 月には、 リビアの仲介の下、3 組織とも武装解除を達成しました。これを受けて、ニジェール政府は 2007 年よりアガデズ地方に 敷かれていた戒厳令を解除し、元反政府勢力メンバー800 名の武装蜂起の罪を免赦しました。なお、FFR のリーダーで反 政府勢力の歴史的人物であるリサ・アグブラが、2010 年 3 月に過去の暗殺容疑でニアメにて逮捕されています。

3.誘拐事件の発生状況

AQIMによる誘拐事件が発生しています。2011 年 1 月 7 日、ニアメ市内のレストランでフランス人男性 2 名がAQ IMによって誘拐され、8 日、ニジェール・マリ国境地帯における救出作戦後、両名とも遺体で発見されました。また、 2011 年 4 月 22 日、北部アガデズ州の隣国マリ、アルジェリアとの国境付近でフランス人男性がAQIMによって誘拐さ れ、7 月に殺害されました。さらに、過去、同年 9 月 16 日、ニジェール北部アガデズ州でフランス人 5 名及びトーゴ人、 マダガスカル人各 1 名の 7 名がAQIMによって誘拐されました(2011 年 2 月 24 日から 25 日にかけての夜間、フラン ス人、マダガスカル人及びトーゴ人各1名の計 3 名はニジェール国内で解放。 ) 。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在まで、日本人・日本権益を直接標的としたテロ・誘拐事件の発生は報告されていませんが、AQIMによる外国人 を対象とした誘拐事件が頻発していること、さらに、日本を攻撃対象として名指しする声明がアル・カーイダ関係者と名 乗る者等によりインターネット等を通じて出されたことがあることを考慮すれば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、 直接の標的とされる可能性にも注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記)

- 238 -

「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 239 -

【西サハラ地域】 1.概況

2011 年 1 月、西サハラ北部に位置するアムガラ及びその近郊において、 「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(A QIM) 」と関連のあるグループが保管していた多数の武器、弾薬が押収されました。 同地域の近隣国では、アル・カーイダ組織と関連性があるAQIMによる活動が活発化しており、複数のテロ・誘拐事 件が発生しており、モロッコ軍及び治安当局は、AQIMの活動に対し厳しい警戒を行っています。

2.誘拐事件の発生状況

現在のところ、西サハラ地域において外国人を標的とした誘拐事件は確認されていませんが、同地域近隣国には、外国 人を誘拐しAQIMに売って資金を得る組織があるとされています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

これまでのところ同地域における、日本人・日本権益に対する具体的な脅威情報は確認されていません。しかし、過去 に日本を攻撃対象として名指しする声明がアル・カーイダ幹部と名乗る者等により発出されたことがあることを考慮すれ ば、巻き添え等偶発的な被害のみならず、日本人が直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 240 -

【ブルキナファソ】 1.概況

(1)ブルキナファソでは、現在までのところ、テロ組織や反政府組織は確認されておらず、大規模なテロ事件も発生し ていません。また、アル・カーイダ等の国際テロ組織の存在は確認されていません。

(2)しかし、ブルキナファソ北部のニジェール及びマリ国境沿いの地域は、国境警備当局の目が届きにくく、ニジェー ル及びマリにおいて外国人をねらった誘拐を行っているイスラム過激派組織「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ (AQIM) 」や反政府組織の活動が活発であることから、引き続き十分な注意が必要です。

2.誘拐事件の発生状況

現在までのところ、外国人を対象とした誘拐事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を直接の標的とした脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 241 -

【ブルンジ】 1.概況

ブルンジ政府の AU ソマリア平和維持軍(AMISOM)派兵に対し、ソマリアのイスラム過激派「アル・シャバーブ」がブ ルンジへの攻撃を引き続き表明していることから、ブルンジ政府はテロ攻撃に対する警戒を強化しています。

2.各組織の活動状況

政府の政策に反対する一部武装グループによると思われる襲撃事件等が発生しているため、国内の治安情勢については、 注意が必要です。

3.誘拐事件の発生状況

ブルンジでは、現在までのところ日本人の被害は報告されていません。また 2011 年中、外国人を標的とした誘拐事件 の発生はありません。 ただし、過去に外国人が直接の標的になった誘拐事件が発生しています。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。しかし、これまでに外国 人を標的とした誘拐・殺人事件等が発生しており、日本人が同様の事件に遭う可能性も排除できないことから、十分な注 意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 242 -

【ベナン】 1.概況

(1)ベナンでは、現在までのところ、アル・カーイダを含むテロ組織や反政府組織等の活動は確認されていません。

(2)他方、ベナンはテロが頻発しているナイジェリアと隣接していることもあり、テロリストが流入してくる可能性も 排除できません。

2.各組織の活動状況または各地の治安情勢

テロをはじめとする重大な犯罪は確認されていません。しかし、近隣諸国や国境付近では車両や金品目当ての強盗団に よる襲撃事件が発生しています。

3.誘拐事件の発生状況

現在までのところ、外国人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 243 -

【ボツワナ】 1.概況

ボツワナ共和国では、目立った部族間対立はなく、テロ組織と認められる組織もなく、過去にテロ事件も発生していま せん。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

特になし。

3.誘拐事件の発生状況

現在までのところ、外国人を標的とした誘拐事件の発生は報告されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益に対する脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 244 -

【マダガスカル】 1.概況

マダガスカルでは、現在のところ、国際テロ組織等の活動は確認されていません。また、国内で組織され、活動を行っ ているテロ組織の存在も確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

誘拐事件は、2011 年に 15 件程度発生(報道ベース)しています。大半が身代金目的と考えられる事件であり、マダガ スカル国内の富裕層が標的となっています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益が直接的にテロの標的となる可能性は低いと考えられます。 ただし、マダガスカル国内において富裕層にあたる日本人は、誘拐の標的となる可能性があり、誘拐の脅威は存在しま す。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 245 -

【マラウイ】 1.概況

マラウイにおいては、現在までのところ、国際テロ組織や関連組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

マラウイでは、外国人の誘拐事件の発生は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、マラウイでは、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 246 -

【マリ】 1.概況

(1)サハラ砂漠南部、マリ北部の砂漠地域(キダル州、ガオ州、トゥンブクトゥ州)は、定住人口が少なく、広大な国境 (全長 7,000Km)及び起伏の激しい砂漠の地形により、マリ治安当局の監視・追跡が困難であることから、イスラム過 激派組織(「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM) 」 )にとって格好の活動地域となっています。

(2) 2011 年、AQIMは、マリ及び周辺諸国(アルジェリア、モーリタニア、ニジェール)で外国人を標的にした誘拐 事件を引き起こしています。

(3)2011 年 1 月、首都バマコにおいて、AQIM関係者を名乗るチュニジア国籍の男が、フランス大使館の前でガスボ ンベを爆発させた後、同大使館に向けて銃を発砲し、付近にいたマリ人が負傷する事件が発生しています。

(4)マリ政府は周辺諸国との合同パトロールに関し、相手国領内(250 ㎞)まで越境し、テロ組織等の追跡を可能にする 協定を締結しています。また、AQIMの掃討作戦を行うと共に、武器・麻薬密輸等国際犯罪組織の取締りに努めていま すが、装備・能力不足のため、取締りは容易ではありません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年にマリで発生した誘拐事件は、以下の通りです。

(1)11 月 24 日、モプチ州ホンボリにおいて、フランス人 2 名が武装集団に誘拐される事件が発生 しました。12 月 8 日、マリ特別部隊により実行犯は逮捕されましたが、誘拐された 2 名はAQIMに転売された模様で す。

(2)11 月 25 日、トゥンブクトゥ州トゥンブクトゥ市において、武装集団により欧州人 3 名(スウェーデン人、オランダ 人、南アメリカ国籍を有するイギリス人)が誘拐されたほか、誘拐に抵抗したドイツ人 1 名が殺害される事件が発生しま した。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在のところ、日本人・日本権益を標的とした脅威は確認されていません。しかし、マリ北部地域、特にアルジェリア、 モーリタニア、ニジェールとの国境付近に関しては、AQIMによる外国人(旅行者を含む)を狙った誘拐事件が発生し ています。また、過去に、AQIMは、アルジェリアで中国人及び中国権益を標的にしているという情報もあり、日本人 は中国人と外見が似ていることから、被害に遭遇する可能性も考えられますので、十分注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 247 -

【南アフリカ共和国】 1.概況

南アフリカでは、特に日本人・日本権益を対象とするテロ組織等は確認されていません。一方、過去に爆弾テロ事件に 関与したとみられるパガド等の活動に対しては、当局は注視を続けています。

2.各組織の活動状況

以下に掲げる組織の存在が確認もしくは指摘されています。

(1)パガド(PAGAD:People Against Gangsterism and Drugs)

西ケープ州を中心にイスラム過激派組織「パガド」が存在します。当初、パガドは、自警団の性格を有していましたが、 イスラム過激派組織「キブラ(Qibla) 」により支配された後は同国におけるイスラム国家建設の兵站組織の一端を担って いると見られています。パガドは、 「G-FORCE」と呼ばれる軍事組織を有し、パイプ爆弾を自ら製造・使用しています。2000 年にはパガドに関連すると見られる 11 件の無差別爆弾テロが発生し、31 名が重軽傷を負った他、パガド裁判を担当する 裁判官の殺人事件、パガド裁判の証人に対する殺人事件が発生しています。 また、2008 年 9 月にはパガドの指導者が刑務所から出所し、地方都市に支部を開設した他、2009 年 8 月には不法集会 で関係者が 58 名逮捕されたこと等から、当局は厳しい監視を続けています。

(2)アル・シャバーブ(Al-Shabaab)

当局は公には否定しているものの、同国には、ソマリアの武装勢力「アル・シャバーブ」が西ケープ州に関連施設を有 し、同施設がアル・カーイダ等テロリストの隠れ蓑、又は資金調達、資金洗浄、テロ計画策定の場所となっているとの指 摘がなされています。

3.誘拐事件の発生状況

誘拐事件については、最新の犯罪統計(2010 年 4 月~2011 年 3 月)によれば、3,604 件発生(前年比 24.7%増)してお り、わいせつ目的誘拐や夫婦間のトラブルによる実子誘拐等に加えて、身代金目的の誘拐事件も発生しています。また、 マフィアによる誘拐も行われていますが、テロ組織等による政治目的及び資金調達目的の誘拐事件の発生は確認されてい ません。 しかし、同国では、419 詐欺事件(ナイジェリアを主な舞台として頻発してきた国際的詐欺事件)の手口により被害者 が監禁され、その後身代金を要求する事件も発生しています。2011 年 11 月には、人助けを請う内容の詐欺メールに返信 した日本人が、南アフリカまで赴いて犯人グループと接触し、大金を詐取されましたが、同被害者は、犯人グループ側と の連絡を断ち、帰国したため、誘拐事件にまで発展しませんでした。

4.日本人・日本権益に対する脅威

現在まで、日本人・日本権益を直接の攻撃対象とするテロ組織及び犯罪組織等は確認されていません。しかし、上述の 419 事件については、経済的に豊かな国の事業者、個人等が狙われており、金品目的で邦人が被害に遭う可能性は否定で きません。

<2011 年 12 月末現在>

- 248 -

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 249 -

【モザンビーク】 1.概況

現在、モザンビークでは、反政府組織や国際テロ組織の活動は確認されておらず、テロ事件の発生も報告されていませ ん。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年、外国人を狙った誘拐事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は低いとみられています。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 250 -

【モーリシャス】 1.概況

モーリシャスでは、現在のところ、国際テロ組織等の活動は確認されていません。また、国内で組織され、活動を行っ ているテロ組織の存在も確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

モーリシャスにおける誘拐事件の発生は少ないとされています。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益が直接的にテロ・誘拐の標的となる可能性は低いと考えられます。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 251 -

【モーリタニア】 1.概況

(1)モーリタニアでは、2005 年 6 月に北東部の軍駐屯地襲撃事件が発生して以来、イスラム過激派組織「イスラム・ マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM)」あるいはそれに関係する組織によるテロ・誘拐活動が活発化しました。し かし、2010 年以降は平静を取り戻し、同年 8 月の南東部及び 2011 年 2 月のヌアクショット近郊で発生した自爆テロ未遂 を除けば、モーリタニア国内においては外国人をターゲットとするテロ・誘拐事件は発生していません。ただし、マリと の国境地帯では、2011 年 12 月に検問所が襲撃され、警察官 1 名が拉致されるという事件が発生しました。

(2)アブデル・アジズ大統領は、大統領就任以来、「テロとの戦い」を最重要政策の一つとして位置づけて強力な治安 対策を推進し、国境地帯や国内各所に数多くの検問所を設置してテロリストの国内への侵入を防ぐとともに、隣国マリ領 内にあるAQIMの拠点に対する先制攻撃も実施しています。その一方で、モーリタニア人若者に対するAQIMのリク ルート活動は依然として続いていると見られ、またAQIMによる報復攻撃も懸念されることから、今後も注意が必要で す。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

(1)モーリタニア国内においては、2009 年までAQIMによると思われる多くのテロ事件が発生しましたが、2010 年 は南東部ネマにあるモーリタニア軍の駐屯地に対する自爆テロ未遂一件、2011 年もヌアクショット近郊における自爆テ ロ未遂一件に留まりました。どちらの事案においても、同国の治安部隊が異変を察知し、未然に阻止しました。

(2)AQIMは、隣国マリ領内の「ワガドゥー」樹林地帯に対モーリタニア作戦の前線拠点を設けていると見られてい ます。

3.誘拐事件の発生状況

上記1(1)のとおり警察官の拉致事件が発生しましたが、外国人を対象とした誘拐事件は発生していません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

AQIMは、フランスや米国等の欧米人を主な標的としていると見られますが、近年の誘拐事件は身代金目的に行われ ている例が多いことから、日本人が誘拐の標的とされる可能性も排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については、国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等に その受け入れを強要し、又は社会に恐怖を与える目的で行われる人の殺戮行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 252 -

【モロッコ】 1.概況

(1)2011 年 4 月、外国人観光客が多数訪れるマラケシュ旧市街のジャマエルフナ広場に面したカフェで、遠隔操作に よる爆破テロが発生し、17 人が死亡し、20 名以上が負傷する被害が出ました。このテロは欧米人観光客を標的としたも のであり、死傷者のほとんどは外国人観光客でした。 現在、GICM(モロッコ・イスラム戦闘グループ)等の主要なイスラム過激派組織はほぼ壊滅的な状況にあると見ら れています。しかし、近年摘発されたグループの多くはインターネットを通じて新たに結成されたグループであり、依然 としてモロッコにおけるテロの脅威は存在しています。 また、2011 年中に摘発されたテロ・グループの中には、アル・カーイダや「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイ ダ(AQIM) 」による訓練を受けていた者や、何らかの関連を持っていたグループもあります。 これらのグループは、主にモロッコ国内の外国権益や治安機関に対するテロ攻撃を計画していたほか、欧州、モロッコ 国内でリクルート活動を行い、イラク、アフガニスタン、ソマリア等に自爆テロ要員やゲリラ活動要員を派遣していたと みられています。

(2)アルジェリア発祥のテロ組織「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM)」は、隣国のマリ等におい て活動を活発化させていると見られますが、モロッコ 国内における活動は今のところ確認されていません。しかし、モ ロッコ国内で摘発されたグループの一部はAQIMと関係を有していたと見られていることから、今後 AQIMがモ ロッコ国内において活動を行う可能性も排除されません。

(3)モロッコは、貧富の差、若年層や高学歴者の高失業率等といった社会問題を抱えており、イスラム過激派勢力は不 満を持つ特に貧困層の若者を対象に、リクルート活動を行っていると見られています。 モロッコ政府はこれに対し、2011 年から 2015 年までの 5 年間にわたり、農村部の貧困状況の改善及び地域的・社会的 格差の是正等を図るための「人間開発に係る国家イニシアチブ(INDH) (第 2 期)」を実施しており、モロッコ政府が 同イニシアチブに基づいて、地域的・社会的格差を解消し、間接的にテロの温床をなくしていくことが期待されています。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年、モロッコにおいて外国人を標的とした誘拐事件は確認されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

これまでのところ日本人・日本権益に対する具体的な脅威情報は確認されていません。しかし、過去に日本を攻撃対象 として名指しする声明がアル・カーイダ幹部と名乗る者等により発出されたことがあることを考慮すれば、巻き添え等偶 発的な被害のみならず、日本人または日本権益が直接の標的とされる可能性も完全には排除できません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 253 -

【リビア】 1.概況

(1)2011 年 2 月、東部州で発生した民衆蜂起を契機に、リビアは一時内戦状態となり、その後NATO諸国等の空爆 もあってカダフィ政権は崩壊、10 月には反体制派が組織した暫定国民評議会(NTC)が全土解放宣言を行いました。

(2)反体制派には、かつてリビア・イスラム戦闘集団(LIFG)やアル・カーイダに関連する人物が参加していたと も言われています。また、国内の混乱に乗じてアル・カーイダの幹部がリビアに侵入したとの報道もあります。さらに、 カダフィ派残党によるテロの可能性も指摘されています。内戦中武器が拡散したほか、各地で組織された武装勢力が残留 し、さらに旧政権によって釈放された一般犯罪者の存在もあり、テロの可能性は排除できません。

2.誘拐事件の発生状況

2011 年は、誘拐事件の発生は確認されていませんが、旧政権が行った反体制派の弾圧の過程で、都市住民に対する集 団拘束などが行われました。また、国連人権理事会のリビア調査委員会報告によれば、旧政権側と反体制派双方が拘束な どを行った由です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する具体的な脅威に関する情報は確認されていませんが、国内の治安情勢はまだ予断を許さない 状況で、引き続き十分な注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 254 -

【リベリア】 1.概況

リベリアでは、反政府組織や国際テロ組織の細胞組織の活動は確認されていません。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を標的とする誘拐事件の発生は報告されていません。

3.日本人・日本権益に対する脅威

現在までのところ、日本人・日本権益に対するテロ脅威は確認されていません。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 255 -

【ルワンダ】 1.概況

1994 年 7 月、ルワンダ愛国戦線(RPF)は、1990 年 10 月に始まった内戦を制し、新政権を樹立したものの、その後もコ ンゴ民主共和国との国境沿い地域等において反政府勢力による武力攻撃が繰り返し行われました。しかし、国軍(現在の 警察を含む)及び地方自治体が密接に協力することにより、ルワンダ当局は 2001 年までにルワンダ全土の治安を完全に 回復させた結果、現在のルワンダ全土の治安情勢は比較的良好であり、政府要人や外国人のルワンダ国内各地の移動には 何ら制限はありません。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢

(1)一方、現在、隣国のコンゴ民主共和国東部地域においては、ルワンダ反政府勢力である「ルワンダ解放民主軍(FDLR)」 等が活動を繰り返しています。国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO) 、コンゴ民主共和国国軍(FARDC)及び ルワンダ国防軍(RDF)の密接な協力により、FDLR の勢力が急速に弱体化しつつある上、ルワンダの治安維持能力が日々 向上していることから、FDLR 等がルワンダ国内においてテロ攻撃を行う可能性はこれまでよりも低くなっていますが、 引き続き注意は必要です。

(2)ルワンダはアフリカ連合ソマリア治安維持部隊(AMISOM)に部隊を派遣していないため、これまではアル・カーイダ につながるソマリアのイスラム過激派(アル・シャバーブ)による主要攻撃対象とはなっていませんでした。しかし、2011 年 10 月のアル・シャバーブ掃討のためのケニア軍によるソマリア侵攻をカガメ大統領が支持するとの報道がなされたた め、具体的なテロ関連情報はないものの、ルワンダが攻撃対象となる可能性は排除されません。

(3)2010 年に、キガリ市内で散発した手榴弾事件は、2011 年 1 月及び 3 月にも発生しましたが、その後は手榴弾事件 発生の報道はありません。しかし、同事件の背後関係や目的等についてはこれまでのところ十分に明らかにされておらず、 政府側発表も事実と乖離していることがあり、真相は不明です。ルワンダ政府は、これら手榴弾事件をルワンダ反政府勢 力によるテロ行為であると断定していますが、ルワンダに駐在する外交団の多くは、手榴弾事件を脅威としつつも、情報 不足であることからテロと断定するには至っていません。

3.誘拐事件の発生状況

外国人を対象とした誘拐事件の発生は報告されていません。

4.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。しかし、キガリ市内において手榴弾事件が散 発していること及びコンゴ民主共和国東部情勢が安定していないこと等から、不特定多数を狙った事件や情勢の急速な変 化等に十分注意する必要があります。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011

- 256 -

年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 257 -

【レソト】 1.概況

レソトでは、過去にテロは発生しておらず、レソト国内の治安に影響を与えるようなテロ組織の活動も確認されていま せん。2011 年も、国内でのテロや国境をまたいだテロ関連事件は発生していません。しかし、レソトと南アフリカの国 境は警備が緩く、組織犯罪の中継地点になる可能性があるため、レソト警察は国境や空港で警戒を呼びかけています。

2.誘拐事件の発生状況

外国人を標的とする誘拐事件が発生したという報告は見られません。警察からの公表はありませんが、情報筋によると レソト国内では金銭取得を目的とした誘拐事件が年に数十件発生している模様です。

3.日本人・日本権益に対する脅威

日本人・日本権益に対する脅威は一般的に低いと言えますが、偶発的な騒擾事件や誘拐・暴力事件等に巻き込まれる可 能性はあります。特に都市部では金品を目的とした一般犯罪が増加傾向にあり、人種を問わず外国人をターゲットとする ケースがありますので、昼夜を問わず単独行動は避け、慎重に行動するなどの注意が必要です。

<2011 年 12 月末現在>

(注記) 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にそ の受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、 このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、社団法人海外邦人安全協会が、外務省から提供された 2011 年 12 月末現在の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したもの であり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

- 258 -

View more...

Comments

Copyright © 2017 HUGEPDF Inc.